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まずは畳に注目です。
和室といえば、欠かすことのできないものが畳。
日本独自の敷物です。
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日本の暮らしと切り離すことのできない畳。
どんな作りになっているか、ご存じですか?
畳の土台は、稲わらを圧縮した畳床。
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ここに畳表をかぶせます。
さらに縁を縫いつけて出来上がりです。
畳の良し悪しを決めるのは、何と言ってもこの畳表。
いぐさという植物を使った織物です。
色や線の美しさ、弾力、香り。畳は、さまざまな感覚を刺激します。
和室鑑賞・最初のツボ
「畳のぜいたくは五感で知る」 |
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広島県福山市。
高品質ないぐさの産地として知られます。
世界各地の湿地に育ついぐさ。
日本では弥生時代から利用されてきました。
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刈り取ったいぐさには、泥染めという加工が施されます。
同じ地域の土で泥水を作り、いぐさをさっと浸すのです。
泥染めをして乾燥させたいぐさは、銀色を帯びた独特の色合いになります。
畳特有の香りも、この泥染めによって生まれるのです。 |
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福山一帯で収穫されたいぐさは、地元で畳表に織られます。
「備後表」とよばれ、古くから最高級品とされてきました。
いぐさを密度高く織り込んでいるので、畳の目がくっきり盛り上がります。
足がしびれにくい理由は、ここにあります。
ほどよい弾力があり、盛り上がった部分が座る人の体重を分散させるのです。
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敷き方にも見どころはあります。これは、現在最も一般的な配置。
外側から渦を巻くように置き、畳の合わせ目がT字状になるようにします。
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なぜ、この敷き方が広まったのでしょうか。
建築家の加美山敦嘉(かみやま・のぶよし)さんにお聞きしましょう。
加美山「同じ方向に畳を敷いてしまうと部屋の雰囲気がすごく硬くなる。それで、このように渦巻くように敷いていく。そのことによって部屋全体がものすごく優しい感じになると思うんです。」 |
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かつては、時と場合に応じて畳の敷き方を変えることがありました。
全て同じ向きに並べる敷き方は不祝儀敷きと呼ばれ、家庭では葬儀などの時だけ行われました。 |
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こちらは、畳を2枚ずつそろえて卍(まんじ)のような形に置く方法。
江戸時代半ばまでは、普通の8畳間の敷き方でした。 |
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現在の敷き方が好まれるようになったのには、いくつもの理由があります。
和室で、最も人の視線が集まるのは床の間。
畳を並行に置くことですっきりとし、飾り付けが引き立ちます。
また、人が出入りする方向といぐさの繊維の向きが合うため、畳表がすり切れるのを防げます。
そして、外側の畳の目と光の入る方向が直角になり、線の美しさが強調されるのです。
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三畳、四畳半、十畳で構成された広間。
人の動きや光の向きを考えた配置が、最大限に生かされています。
見て美しく、座って快適。
和室の心地よさは畳で決まるのです。 |