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まずは、回る姿に注目です。
全国で開かれている独楽回し大会。
子供たちの腕前もなかなかのもの。夢中になる姿は今も昔も変わりません。
指導しているのは、藤田由任さん。
全国を回って、子供たちに独楽の楽しさを伝えています。
こちらは藤田さんが作った、独楽の博物館。
40年以上に渡って集め続けた、8000点ものコレクションが展示されています。 |
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藤田「飾ってて見るのも美しいんですけど、回ってこそ独楽なので、やっぱり一本足で、微動だにしないで、まっすぐ回ってる独楽っていうのは、ホントに見ていてきれいだなと思うんですけど。
そういうのを眠っている状態と言うんですけど、やっぱり寝相のいい独楽は見ててほれぼれしますね」
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まっすぐに立ち、眠っているように静かに回る姿。
独楽ならではの美しさです。 |
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独楽鑑賞、最初のツボは、
「回る姿の寝相を見よ」。
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60年以上に渡って、曲独楽を演じてきた三増紋也さん。
華麗な技を披露するために、なくてはならないのは、一定の姿勢で正確に回り続ける独楽です。
これは、扇子の上で独楽を回す芸。
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江戸時代に作られた曲独楽です。
漆がはがれ、ポツポツと何かが埋め込まれているのが見えます。
実はここに、眠る独楽の秘密が隠されているのです。 |
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数少ない江戸独楽職人の一人、広井政昭さん。
この道、60年の達人です。 |
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材料には、広葉樹のミズキを使います。
硬くて手触りのいい材質が適しているといいます。
まず、木材をロクロに取りつけ、形を作って行きます。
寝相よく回るようにするには、全体を均一に削らなければなりません。
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色を付けた後、木の中心に軸をまっすぐ通します。
わずかなぶれも許されない、集中力を要する作業。
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一見、完成したように見えますが…
重心がずれて、まっすぐ回りません。 |
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広井「軸を通した段階で100%大丈夫ということは、まずないです。
1年に1回くらい何もしなくても回ることはありますが、それはもう奇跡に近い」 |
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広井さんが、おもむろに回っている独楽の軸に、筆を近づけます。 |
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軸の一部分に絵の具がつきました。
広井「木って言うのは重い所と軽い所があるでしょ。
それで回転をすると遠心力で重い方が上にいっちゃうんですよ。
すると軽い方が下に行きますよね。
だから絵の具を付けると、そこにぶつかるわけですよね。すると、この大体真下当たりが独楽で言うと軽いんですよ」
独楽は回転させると、遠心力で重い部分は上に行く為、軸は、軽い方へ傾きます。
筆を近づけると、軽い部分に絵の具がつくのです。
この絵の具を手がかりに、軽い部分を特定し、バランスを調整します。
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軽い部分に穴を開け、そこに鉛を埋め込みます。
この作業を何度も繰り返し、微妙な調整を加えていくのです。
先ほど、ご紹介した江戸時代の曲独楽。
眠る独楽の秘密は、この鉛にありました。
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丹念に仕上げられた独楽。
回してみると、地面にまっすぐ立ち、一見、止まっているようにも見えます。
独楽が寝相よく眠っている姿です。
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曲独楽師の三増さんは、広井さんが作った独楽を、長年、使っています。
眠る独楽だからこそなし得る、名人芸。
お次は、刀の刃を独楽が渡ります。
刃を、寝相よく伝っていく様は、圧巻。
独楽の最も美しい姿が、ここにあります。
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