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夏の風物詩、花火。
毎年大小5千近くの花火大会が開催されるほど、日本人に愛されてきました。
華麗な色彩、全身に響き渡る音、そして火薬の香り・・・。
日本の花火は、世界に類を見ない複雑な美しさを生み出してきました。
まずは、花火の色に注目です。
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一つの花火が次々と色を変化させていくのは、日本ならでは。
秋田県大仙市の花火師、久米川正行さん。
シーズン前は、何度も花火の試し打ちを行い、思いどおりに色が変化するか、確認します。
久米川「変わる瞬間なんですよね。我々が見たいのは。変わる瞬間。どのように変わっていくか。
変化もパパパと変えていかないと。明るさだけで、変化がわからなかったという場合も出てくるんで。その辺やっぱり難しいですよ」
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三色に変化する花火を打上げます。
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金色から、赤、そして銀色へ。
わずか数秒の間に移り変わる光の芸術です。
花火鑑賞壱のツボ。
「千変万化する色を味わう」
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江戸の人々が楽しんだ花火の色。それは、ほの暗い橙(だいだい)色でした。
これは「和火(わび)」と呼ばれる花火。
木炭を原料とする火薬が、燃える色です。
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明治に入り、マッチの原料、塩素酸カリウムが輸入されると、花火の色に革命が起こりました。
塩素酸カリウムによって、ストロンチウムや銅、バリウムなどの金属化合物が燃やせるようになり、鮮やかな色が出るようになったのです。
さらにこうした金属化合物を混ぜて燃やすことで、多様な色が生み出されました。
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こちらは、大仙市の久米川さんの工場です。
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ずらりと並ぶのは、花火玉です。
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花火玉の中には「星」と呼ばれる火薬が詰められています。
この星に、色を変える秘密が隠されています。
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星はすべて職人の手づくり。
これは、球状の火薬に、水で溶いた火薬を加え、少しずつ大きくしていく「星掛け」という作業。
「星掛け」を繰り返すことで、火薬の層を作っていきます。
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適当な大きさになると、天日で乾燥させます。
完全に乾燥させては、再び「星掛け」をし、数週間かけて完成させます。
数秒の間に、花火の色を一斉に変化させるためには、ひとりの職人が同じ条件で作った星が必要です。
久米川「子育てと同じだってこと。そういう気持ちで作らないと。星ばっかりじゃなく、花火ってのは、子育てと同じですよ。あきらめたり省略したりするとね、ダメ。絶対いいものができないから」
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これは、ピンクからレモン色へと変わる花火。わずか数秒の間に全ての星が、同時に変化をしました。
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一つの花火が瞬間に見せる千変万化の表情。
それは、職人の技が生み出す日本ならではの色模様です。
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