はいばら 蔵 |
千代紙は、小物を包んだり折り紙などに使ったりする美しい装飾が施された紙です。 |
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木版を用い、和紙に一枚一枚刷られてきました。
千代紙が広まったのは、木版多色刷りの技術が完成した江戸時代中 ごろのことです。
千代紙と いう名は、千代姫という名前からとったとも、千代田城と呼ばれた江戸城の大奥で好まれたからともいわれています。 |
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武家の女性たちは千代紙を贈り物や菓子を包むのに使いました。
これは「残菓包み(ざんかづつみ)」という包み方。 |
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さまざまな紙細工にも用いられました。
これは「たとう」と呼ばれる女性用の小物入れ。 |
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こちらは本を持ち運ぶときに使う「紙挟み」。内側には華やかな千代紙が貼られています。
千代紙の魅力は、なんといってもその図柄にあります。 |
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はいばら 蔵 |
画面一杯の菊の花。幕末から明治にかけて活躍した絵師、河鍋暁齋(かわなべ きょうさい)の作といわれています。 |
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こちらは大正ロマンを代表する画家、竹久夢二が手掛けました。
いずれも可愛らしく、変化に富んだ図柄が女性たちの心を捉えてきました。
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江戸から続く しにせ には千種類以上の千代紙の図柄が残されています。
高橋「よーく見ていただくと一つ一つのこだわりがあるんです。こちら「空(から)刷り」で刷ってあります」
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空(から)刷りとは、版木に色を載せず凹凸を付ける木版の技法。
団扇(うちわ)の骨の部分が溝になっているのがお分かりですか。
よく見なければ分からない職人の技。
千代紙鑑賞、壱の壺。
「こだわりは細部に宿る」
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千代紙は職人の共同作業で作られます。
まずは絵師が下絵を描きます。
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よく見ると、同じ絵柄を写しているのに、一つ一つが微妙に描き分けられています。
永野「よく見ると違います。そのほうが全体として見た時に自然な感じに仕上がる。」
花や葉の後ろに、かすかに見え隠れするススキ。絵師のこだわりです。 |
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下絵に命を吹き込んでいくのが彫師の仕事。
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いま彫っているのは何十人ものお福が描かれた図柄です。
細いところは、わずか0.5ミリ。
石井「線の中に変化をつけて絵にイキイキと表情を持たせる。」 |
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画面一杯、埋め尽くされたお福。一人一人の表情がさまざまに描き分けられています。
細部に隠れたこだわりが千代紙をより生き生きとしたものにしているのです。
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