最初は、下地を作ります。
龍山が作った書体を写した紙を張りつけ、それに沿って彫り込みます。そこに砥粉を混ぜた黒漆を埋め込み、下地が出来上がります。
文字を盛り上げる筆は蒔絵筆。さらに細く作り変えます。漆は、硬めに調整した粘りのあるものを使います。
大竹さん 「漆っていうのは、墨と違って一気に書いて盛り上がるものじゃないですから、何度も何度も一本の線を書くのに筆がいくわけです。それで、一回で書いたように盛り上げなければだめ。」
この作業のある日は、朝から一切重たい物は持ちません。手が震えてしまうからです。
何度も漆を置き、伸ばし、盛り上げる…真っ直ぐ進む「飛車」…。
その勢いがこの一本の縦の線に込められます。
駒に命をふきこむ瞬間です。
最後に手掛ける、玉将と王将。40枚ある駒の中で最も太い線。たっぷりと威厳に満ちた貌です。 |