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命毛に用いられるのは山羊、馬、狸などの動物の毛。生まれてから一度も刈られていない毛を使います。
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実森さん 「極力、透明度、この光っている所ですね。それが長いほど良いんです。」
命毛にするために選び抜かれた山羊の毛。毛先は、透き通り、柔らかくなめらかです。
痛んでいる毛を丹念に取り除き、状態の良い毛だけを残します。
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一般的な筆は、命毛となる山羊の毛に長さを変えた馬、狸などの毛を混ぜて作ります。
毛を混ぜ合わせては質の悪い毛をすいていく。
完成までに七十以上の工程をふみます。
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命毛とその他の毛が、バランス良く調和した極上の筆先。
こうした筆先は、熟練の職人しか作ることができません。 |
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古来、書家は筆によって書体を変えてきました。
前衛書家の岡本光平さんに様々な筆で書をしたためて頂きました。
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まずは馬の毛を使った筆。馬からは比較的長い毛がとれるので大きな筆によく使われます。
岡本光平さん 「馬の毛っていうのは、非常に弾力が強いですよ。跳ね返る反発力がありますからね。それを旨くこうリズムにのってやっていくと、非常に力強い線がビンビンと生まれるのが馬毛の特徴でしょうね。力強い楷書とかね。荒々しいかすれなんかが出てくる。非常に豪快に書いてくるには良いんじゃないですかね」
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毛先の弾力を使ったスピード感溢れる線。
豪快な命毛の入りと抜ける時のかすれが躍動感を生みだします。 |
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続いては、山羊の毛を使った筆。柔らかい筆の代表です。
岡本さん 「これは非常に穂が長いでしょ。したがって墨がたくさんスポイト状態に入っているんですね。だから長い線をずーっと続けて書くのに向いている毛の種類と筆の姿なんですね」 |
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柔らかい命毛が自由自在に紙の上を滑っていきます。
行書や草書を書くのに向いている筆です。 |
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筆によって多彩な表現が生み出される書の世界。
その美は、上質な命毛によってのみ、あらわすことができるのです。
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