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最後は伊万里焼。
日本を代表する磁器です。
伊万里焼は、江戸時代の初めに佐賀県・有田で誕生しました。
最初に作られたのは染付。
呉須と呼ばれる絵の具で青の絵付けをした磁器です。
続いて、多くの色を使った色絵が登場。 |
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そして17世紀後半、伊万里焼の名を世界に知らしめる様式が完成しました。
中心となった作り手の名から、「柿右衛門」と呼ばれます。
たっぶり余白を取った中に、青や赤で描いたみずみずしい絵柄が特徴です。
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この明るく澄んだ色彩が、ヨーロッパの王侯貴族も夢中にさせました。
柿右衛門は、色の透明感と鮮やかさが際立っています。
この違いを生む秘密は、地肌の白にあるのです。 |
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人間国宝の十四代酒井田柿右衛門さん。
柿右衛門の白にはどんな特徴があるのでしょうか。
酒井田「柔らかい白になってるんです。その上に乗っている色絵ってのが、ほんわりと楽しそうに、非常にこう、鮮明な色に見れるというか、色の本当の本質を見れるというか、やはり白の温かさというのが非常にいいと思います」
色彩を際立たせるのは、温かな白でした。
三つめのツボ
「色絵が際立つ柿右衛門の白」 |
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有田で焼かれる磁器の原料は、泉山の陶石。
鉄分が多く、焼くと地肌が青みを帯びるため、色絵の色彩をくすませてしまいます。
そこで、ほかの山で採れる2種類の土を混ぜ、青みが出ない素地を作ります。
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形を作り素焼きにすると、真っ白な磁器に。
素焼きにしたものを、同じ土で作った釉薬に潜らせます。
そしておよそ40時間。
1300度の炎が、あの柔らかな白を生み出します。
完成した白は濁手(にごしで)と呼ばれます。
濁しとは、この地方の方言で米のとぎ汁のことです。
酒井田「合わせ土してますので、単身の石と違いまして、非常にろくろの成形のときに手がかかる、あるいは乾くときに窯の中で非常にロスが出ます。それだけ犠牲を払っても、やはり色絵の美しさっていうか、味を出したかったのじゃないですかね」 |
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こうして出来た器に、絵付けを施していきます。
磁器ならではの精ちな模様です。
そして、三たび窯の中へ。
すると、濁手の白はそのままに、絵の具が鮮やかに発色します。
真っ白な画用紙に描いた水彩画のように、透明感あふれる色彩。
柿右衛門は、日本で生まれた色絵磁器の最高峰なのです。 |