まずは、かなで書かれた、書の最高傑作をご覧いただきましょう。
古今和歌集の歌が、3首書かれています。
では、これをどう鑑賞したらいいんでしょうか?
名児耶「文字の数が、例えば和歌が31文字だとしますと、その文字の数がそう多く見えない方がいいんですね。同じ歌を書いてあったら、すっきり見えるほうが多分きれいだと思うんですね」
なるほど。すっきりと見えますね。でもどうしてなんでしょう?
名児耶「かなの美しさの1つとして連綿(れんめん)するということ、曲線でつないでいくということがあります。それがごく自然に、例えば最初墨をつけて太いのからだんだん自然に細くなる、その行がまずバランス良くないといけない」
文字と文字とをつなげて書くことを、“連綿”といいます。
この連綿の線が、太くなったり細くなったりしながら、巧みに変化していることがわかります。
線の強弱が、全体にすっきりした印象を与えていたのです。
さらに連綿で書かれた文字をよく見ると、崩し過ぎずに書かれていることがわかります。
名児耶「つまり、一字一字は非常にしっかりとよく見ると書かれているんですね。で、それがくりかえすように、うまく太いところから細いところへ自然となっていく。つなげながら自然に変化をさせる。一文字を1つの点と、つまり一字を点、一行を線、一ページを面として、点線面がバランスが取れるといいと思いますね」 |