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ではまず、オルゴールの仕組みに注目してみましょう。
こちらはオルゴールの心臓部。
櫛歯(くしば)と呼ばれる櫛の形をした金属板が、次々に弾かれていることが分かります。 |
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櫛歯を弾く役目をしているのがシリンダー。シリンダーには無数の細かい突起、ピンがあり、回転しながら櫛歯を弾くことで音色が生まれます。 |
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ピンの配列を見てみましょう。
シリンダーの表面を広げて伸ばし、譜面と比べると、よく似た配列になっていることが分かります。ピンの配置で音階と音と音との間隔が決まります。 |
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一見、何の規則性もないように見えるピンの配列ですが、そこには計算され尽くした機能美が宿っています。
そこで、オルゴール鑑賞、一つ目のツボは、
「シリンダーに印された旋律を愛でよ」 |
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こちらは、日本で唯一、シリンダーを手作りしている工房です。
専門のスタッフが、お客さんの要望に応じたオリジナルオルゴールを製作しています。
編曲から調律、曲の記録に至るまで、すべてを手作りで仕上げます。 |
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シリンダー作りを見せていただきました。
楽譜を元に、シリンダーのどの部分にピンを打つか、位置を計算で割り出し、穴を開けます。
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そして、金属製のピンを一本一本手作業で植えていきます。
ピンの角度は音色に影響するのでチェックが欠かせません。
最後に一本一本、念入りに調整していきます。
技術スタッフリーダーの和田さんです。
和田「ピンがまっすぐ植わってなく、あっちこっち向いていると、リズムがバラバラになってしまうので、まっすぐ植えるのが重要になります。」 |
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究極のピンを持つオルゴールがあるといいます。
「ルクルト・グランジェ・エクスプレッシブ」
いったいどのようなピンなのでしょうか? |
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通常はまっすぐに打つピンが、微妙に曲がっていることが分かります。
しかも、一本一本そのカーブはさまざま。
これは、オルゴールのある欠点を補うためなのです。
名村「オルゴールは鉄の歯をピンが弾くだけですから、常に同じ音しか出ません。そうすると、音楽を表現するときにメリハリがどうしもないんです。」 |
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そこで、「ルクルト・グランジェ・エクスプレッシブ」は、数千本あるピンを一本一本、リズムを狂わさない程度、わずかに曲げることで、音色にメリハリを付けているのです。
名村「少しカーブが弱いと強く弾くことができますし、丸くなっていますと弱く弾きます。ルクルトグランジェエクスプレッシブは究極の、タッチまで表現してしまうというオルゴールの技術のおもしろさがあると思います。」
いかに美しい音楽を奏でるか、職人の究極の挑戦がシリンダーに刻まれているのです。 |
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紙腔琴(しこうきん)は明治17年、銀座の楽器店で考案された自動演奏装置です。
木箱の上部に通した穴のあいた紙ロールが、ハンドルを回すと流れていきます。
紙ロールの穴だけを空気が通ることでメロディーを奏でる仕組みです。 |
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紙腔琴は明治天皇に献上されています。
こちらがその献上品。
総漆塗りの箱は、みごとなまき絵が施されています。
日本が誇る装飾美を注ぎ込んだ、まさに芸術品です。 |