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能に始まり、歌舞伎や狂言など、伝統芸能の囃子(はやし)に使われてきたのが、鼓です。
鼓の原型は奈良時代、大陸から日本に伝わってきたといいます。
室町時代以降、能が武家の教養に欠かせないものになると、鼓は形も音色も洗練され日本独自の楽器として発達しました。
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鼓には大きく分けて「大鼓(おおつづみ)」と「小鼓(こつづみ)」の2種類があり、音色を使い分けて演奏します。
まったく異なる音色を発する、大鼓と小鼓ですが、基本的な形は同じです。
それでは、鼓の構造を見てみましょう。
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鼓は、ふだん、それぞれの部分をばらばらに保管し、演奏する時に組み立てます。 |
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「鼓胴(こどう)」と呼ばれる、音を共鳴させる部分。砂時計のようなくびれた形をしています。 |
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「表と裏」、2枚の革は「調べ緒(しらべお)」によって鼓胴に固定されます。
この鼓独特の「形」にこそ、美しい音色を生み出す秘密が隠されているのです。
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そこでまずは、鼓の「かたち」を探っていきましょう。
こちらは、日本でも数少なくなった、小鼓の製作修理師、鈴木理之さん。
鈴木「鼓胴の部分は、音質とか音量とかを決定する、とても大切な部分で、いわば、鼓の心臓部に当たる、といわれているんです。くびれが美しいと音も美しくなる。形態が大事。」
鼓鑑賞、一つ目のツボは
「くびれが生む妙なる響き」 |
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それでは、「鼓胴」の形に秘められた音の秘密をひもといていきましょう。
一本の木材を、砂時計型に型取りし、中をくり抜いていきます。
職人は、鼓胴の内部を経験と勘によって、正確に円筒状に彫り出していくのです。 |
| 実は、鼓の音は、この内部の形によって決まります。
両端はすり鉢状に。そして、その間をつなぐ部分は中心に向かって直径が微妙に小さくなっていくように彫られています。
その差は、わずか数ミリです。
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| 鈴木「良い鼓というのは、音がいかに良く抜けるかというところをポイントに作っているわけです。表を打った音が裏へいかにして空洞を通って伝わっていくか、これが非常に大事なところ。中のこう配を彫る技術が一番大事。」 |
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鼓の音は、表革を打った時の空気が中で圧縮され、それが破裂するように
裏側に抜けていきます。
そのため音が、より大きく聴こえるようになるのです。
かつて鼓は屋外で演奏されることが多い楽器でした。
そのため、遠くまで良く音が通るくふうが重ねられ、このような形に発達していったのです。
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鼓の音は、表革を打った時の空気が中で圧縮され、それが破裂するように
裏側に抜けていきます。
そのため音が、より大きく聴こえるようになるのです。
かつて鼓は屋外で演奏されることが多い楽器でした。
そのため、遠くまで良く音が通るくふうが重ねられ、このような形に発達していったのです。
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さらに、名品の音抜けの良さは、中の空洞を見ればわかります。
レントゲン写真で見てみると、 ゆがみが無く、寸ぶん違わずシンメトリーな形にくりぬかれています。
見えない内部を完璧な形に彫り出す超絶技巧、みごとです。
鼓胴、革、調べ緒が三位一体となって奏でる、鼓の音色。
それは、長い時間をかけて洗練されてきた形あってのことなのです。
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