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古代中国で始まり、日本に伝えられた紙作り。
奈良時代から平安時代にかけて、独自の材料や技術が開発されていきました。 |
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和紙の代表的な原料は楮(コウゾ)です。
大陸から伝わった紙には麻などが使われていました。
日本の野山に育つ植物を原料にしたことから、和紙の歴史は始まります。
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楮の木で、紙に使われるのは樹皮の部分。
表面の層を除いた「白皮」です。
皮をはいだ木材から作られる洋紙とは、この点が大きく違います。
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和紙の中で、特によく知られている越前奉書紙(えちぜん・ほうしょし)。
古くから公文書に使われました。浮世絵にも欠かすことはできません。
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こちらは、世界一薄い紙といわれる土佐典具帖紙(とさ・てんぐじょうし)。
この薄さにもかかわらずたいへん丈夫で、文化財の修復などに使われます。
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東京・日本橋で350年前から続く和紙の専門店。
店長の一瀬正廣さんにうかがいました。
一瀬「和紙は木の皮を原料としていますので、非常に繊維自体が強じんでして、洋紙に比較しますと非常に強いということが言えるかと思います。」
和紙の強さを試してみましょう。
ほぼ同じ厚さの和紙と洋紙で輪を作り、引っ張ると……洋紙の方が切れてしまいます。
丈夫さも、和紙の大きな特徴です。
和紙鑑賞、最初のツボは
「優雅さに秘めた強さあり」 |
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和紙の強さの秘密はどこにあるのでしょうか?
柔らかくなるまで煮た楮の白皮を念入りにたたき、白皮の繊維をほぐします。
洋紙の場合、材料の繊維は原形を残さないほどに打ち砕きますが、和紙は、ある程度繊維の形を保ったまま仕上げます。 |
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楮を使った和紙では、繊維の長さは5ミリから10ミリ。
一方、洋紙は1ミリ以下です。
この繊維の長さが、和紙の強さの理由。 |
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しかし、長い繊維のまま紙をすくことは、容易ではありません。
楮の繊維をただ水に溶いたもので紙をすいてみましょう。
長い繊維は固まり、ムラになって、薄く広がりません。 |
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そこで登場するのが、これ。
トロロアオイなどの植物から採った粘りのある液体で、「ネリ」と呼ばれます。
これを楮の繊維とともに水に混ぜ紙をすくのが、和紙独特の製法。
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ネリを加えることによって楮の繊維はほぐれ、まんべんなく広がります。
また粘りがあるため、水分はすぐに簀(す)から流れ落ちてしまわず、よく揺することができます。
そうすることで、さらに薄く均一に繊維を広げていくのです。
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薄く広がった繊維は、互いに強く接着し、強度のある紙に仕上がります。
美しく、そして強い。
和紙が、生活のあらゆる場面に生かされてきた理由です。
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