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和紙と木でできた屏風は、日本で独自に発展した調度品です。 |

紫織庵 蔵 |
扇(おうぎ)のように折りたたむことができることからひとつひとつの面を扇(せん)と呼びます。
これは室町時代以降、基本的なスタイルとされた六曲一双(ろっきょくいっそう)の屏風です。
右隻左隻を対にして飾ります。
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屏風は、7世紀ごろには中国から伝わったといわれます。
寝殿造りの家屋で風よけとして使われ「風を屏(ふせ)ぐ」道具、屏風と呼ばれました。
屏風にはむかしから美しい絵が描かれてきました。 |

サントリー美術館 蔵 |
徳川幕府の御用絵師だった狩野探幽が描いた『桐鳳凰図屏風(きりほうおうずびょうぶ)』。 |
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権力者たちは巨大な屏風に金箔(きんぱく)などを使ったきらびやかな絵を描かせ、富と権力を誇示しました。 |
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屏風を多く所蔵するサントリー美術館の学芸員、石田佳也さん。
石田「権力者が国を代表する贈答品として屏風を贈るようになったので、当時の画家の粋を集めた屏風が残っているのです。」
屏風は生活の道具を越えて名画のキャンバスとなったのです。 |
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東京都、墨田区。屏風だけを展示する個人博物館。
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そのご主人、屏風師の片岡恭一さんです。
片岡「絵より、角や裏とか紙に目が行く、そういうところに目を向けて絵を支えてるのは本体であることを知って欲しい」 |
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屏風は和紙や布による表装で決まる、と片岡さんは言います。
屏風鑑賞、一つ目のツボは
「表装が絵を引き立てる」 |
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屏風は、何層もの紙を重ね貼りして作ります。
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屏風にとって最も重要なのが蝶番(ちょうつがい)の部分。
紙の蝶番で扇を透き間無くつなげることができ、さらに360度動かすことができるので、折りたたむことが可能になったのです。
そして大画面を作ることができ、屏風にはさまざまな絵が描かれるようになります。
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狩野探幽が描いた『桐鳳凰図屏風』。
将軍家の婚礼の儀に使われた、とされる豪華なものです。
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この屏風には細かい龍の文様が織られた金糸の裂(きれ)や、葵(あおい)の紋の飾り金具で表装が施されています。 |

サントリー美術館 蔵 |
屏風に描かれた絵は、細部にまで心配りがされた表装とともに今に受け継がれているのです。 |