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続いては、壁の「仕上げ」に注目です。
壁は部屋や用途によって仕上げが異なります。埼玉県にある遠山邸。
この家の外壁は、強度を増すため、鉄粉を加えた壁です。
トイレや廊下など狭い場所の壁は、着物が触れてもすれないように、ツルツルに磨かれています。 |
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微妙な壁の仕上げは鏝(こて)の技術が決め手。
数寄屋建築を多く手がける左官の久住誠さんは、百丁近い鏝を使い分けています。
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「仕上げの種類だけ鏝があって、鏝数がある」
土壁鑑賞 二の壺 「鏝先に技あり」 |
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鏝によって壁の仕上がりはどのように変わるのでしょうか?
こちらは格式を重んじる広間。壁も上品に仕上げることが求められます。
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ここで使うのは硬く、分厚い鏝。
土の力に負けず、表面をムラなくきめ細かになでることができます。
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侘(わ)びた趣の茶室は、素朴さを引き立たせた仕上げにします。
薄く柔らかい鏝で優しくなで、土やわらの質感を残します。
職人はこのように鏝を使い分け、部屋に最適な壁の表情を作り出しています。
でもどうしてこんな微妙な違いを出すのでしょう?
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実は日本の伝統的な建築は、書道と深い関係がありました。
書道の真・行・草という書体が、建築にもそのまま当てはまるのです。
一画一画を正確に表現する真書。 |
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流れるように大胆に崩して書く草書。 |
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そしてその中間の行書。
この書体の様式が建築にも取り入れられ、壁もそれを考慮して塗られています。
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こちらは真の間。大切な客を迎える部屋で、直線と直角で構成された、格式ばったつくりです。
壁もまたきめ細かくかっちりと仕上げています。 |
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ややくだけた行の間は、寛いだ空間を演出するため、 壁はざっくりと仕上げています。 |
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そして草。千利休がつくった茶室、待庵です。
侘びた小屋のような雰囲気を出すため粗く仕上げた壁は、深い精神性を醸し出しています。
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