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唐津焼の最大の楽しみ、それは器を「育てる」ことです。
数多い唐津焼の中で最も人気があるのが、ぐい呑みや徳利などの酒の器です。
こちらは愛好家垂涎の、斑唐津のぐい呑みです。
使い込むことで、釉薬が薄くなり青や黒の小さな斑模様が浮かんできます。 |
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愛好家は自慢のぐい呑みを持ち寄って、杯を交わします。
こちらはコレクターの等々力孝志さんです。
この日はフランス人のコレクターを招いて唐津焼談義です。
等々力「唐津の杯の魅力は、育てる楽しみなんです。
これで酒を飲めば、この硬い肌がトロトロになるんです。トロトロになったこの杯でお酒を飲めば気持ちも、そして骨までトロトロ になる。それが唐津の杯の魅力。」
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こちらは桃山時代から 使われてきたぐい呑み。
しっとりとした光沢を放っています。
唐津焼鑑賞 参の壺は
「肌のとろみに酔いしれよ」
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ぐい呑みの育て方は至って簡単。
酒を手にとり、肌や高台をなでながらしみこませます。
日々お酒で磨くことで 肌につやが生まれます。 |
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400年に渡って育てられたぐい呑み。
角が取れて、手に馴染む優しい形になっています。
酒と器を一緒に味わう。
それが唐津焼の大きな魅力です。
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最後に、究極の唐津焼の育て方をご紹介しましょう。
こちらは、古唐津の陶片です。
井上清さんは古美術店を営む傍ら、焼き物の修復を手がけています。 |
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異なる器の陶片を継いで作ったものを「呼び継ぎ」と言います。
この茶わんには9つの陶片が使われています。
漆で陶片を継ぎ、そこに金を施す技法は、江戸時代の終わりに始まりました。
桃山時代から伝わる完全な形の古唐津は数が限られています。
「なんとか古唐津を手にしたい」 そんな愛好家の想いが、 「呼び継ぎ」の器を作らせました。 |
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井上「唐津が一番呼び継ぎは多いかもしれませんね。
細かく合わせて53継ぎというという話も聞いたことがありますから。
それだけの数のものでも付けて楽しむと言うことかもしれないし。」
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呼び継ぎの器も日々使うことで、 育っていきます。
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唐津で生まれ育った一力安子さんです。
60年前、嫁入り道具として3点の呼び継ぎの茶わんを持ってきました。
作ったのは古唐津の研究家だった安子さんの父親、 九一さんです。
九一さんは戦前から古唐津の窯跡を調査し、発掘した陶片で呼び継ぎの器を作って楽しんでいました。
一力「いつもなでていましたね。しゃべるときもいつもこうやって、こうやっていたような気がします。」
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父親から受け継いで60年あまり、安子さんも折に触れて、茶わんを取り出し使ってきました。
繰り返し使うことによって生まれたつややかで柔らかい肌。
唐津焼は人に育てられてこそ輝く焼き物なのです。 |