日本人の手によって生み出されたこの透き通るような赤が西洋の人々を魅了しました。
七宝鑑賞、壱の壺 「赤透(あかすけ)にルビーの輝きを見よ。」
ルビーは宝石の中でも産出量が少なく富と権力の象徴としてヨーロッパで珍重されてきました。
その色を人工的に作り出したのが赤透(あかすけ)です。
七宝の透明な釉薬はガラスの成分となる硝石や珪石などから作られます。
ガラス質の原料に鉄や銅などの金属を加える事で様々な色が生み出されます。
七宝は翡翠やエメラルドなどの宝石の色を再現しようとしてきました。中でももっとも難しかしいのがルビー色の赤透(あかすけ)です。
この透き通るような赤を生み出すために明治の職人達は試行錯誤を繰り返しました。
明治13年 太田甚之栄(おおたじんのえ)という職人がついに赤透の釉薬の開発に成功しました。
甚之栄は金を混ぜ溶かしたガラス質の原料をさらにもう一度低温で焼く事で透明な赤が出せる事を発見しました。
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