2021年09月01日 (水)グーグルがパートナー? "みえDXセンター"設置の狙いとは

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デジタル改革の司令塔となる「デジタル庁」発足と時を同じくして、三重県に立ちあげられた「みえDXセンター」。県内外を拠点に活動する様々な分野の専門家が、デジタル化に向けた相談に直接応じる新たな窓口です。グーグルやZoomなども「パートナー」として登録しているといいます。

 

いま、話題のDX=デジタル・トランスフォーメーションは地方でどう進むのか。設置の狙いや今後の課題について、三重県デジタル社会推進局で局長を務める、田中淳一氏に話を聞きました。

 

(聞き手:記者 鈴木壮一郎)

 

ーー「みえDXセンター」では、何ができるのか。

 

田中局長:
「みえDXセンター」は、企業や専門家を紹介するワンストップの相談窓口です。センターに相談を寄せてもらえば、必要に応じて専門家やデジタル分野をけん引する企業の皆さんをご紹介する形になります。

 

県内の事業者や役所の方々など、あらゆる立場の方々がDXに取り組む第一歩を踏み出すための応援をしたいという思いで立ちあげました。

 

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ーー具体的には、どういう相談を想定しているのか。

 

田中局長:
本当に些細なことでいいなと思ってるんですけど、例えば老人クラブで「スマホの使い方を教えてほしい」とか。あるいは県内企業で「世界最先端のテクノロジーについて教えて欲しい」とか。簡単なご相談から専門的なものまで、気軽に寄せていただきたいと思っています。

 

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ーーどういう人が助言してくれるアドバイザーとして登録されているのか。

 

田中局長:
「みえDXアドバイザーズ」は、デジタルの専門家に限らず、ジェンダーや、ダイバーシティー、情報発信といった新しい社会作りに必要な分野の専門家に参画していただいています。

 

また「みえDXパートナーズ」は、国内外のDXを牽引している企業の皆さん、例えばグーグルやアマゾン、それからZoomやスラック、ソフトバンクやドコモなど、国内外の企業に登録していただいています。専門家の方々には、県内の企業と一対一で相談に対応してもらい、パートナーズの企業には、複数の県内企業を対象にセミナーを開いてもらうことなどを想定してます。

 

DXは、デジタルを活用した新しい社会をつくっていくということですが、デジタルを中心とした社会ではなくて、「どんな社会に向かっていきたいのか」ということに、どうデジタルを活用していくかを考えていくべきだと考えています。


例えば市や町のみなさんが、デジタルを活用した社会作りをしていこうという時に、デジタルの専門家だけではなくて、新しい社会作りに必要となる様々な分野の専門家からアドバイスをもらったうえで、DXを進めてほしいと思っています。

 

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ーー県として専門的なデジタル人材を事業者などに紹介する背景には、どのような課題があるのか。

 

田中局長:
デジタル人材・DX人材と言っても、非常に定義が難しいです。また、デジタルに精通した人材というのは、日本の中でも非常に数が限られてきているという現状もあります。県内全域でDXを推進していくためには、市や町、それから県内企業の皆さんが、それぞれ個別にデジタル人材確保に向けてアプローチをしていくよりも、一元的な相談窓口を県が設けた方が、圧倒的にスピードが速くなるという狙いがあります。

 

きょう(9月1日)政府にデジタル庁が発足しましたし、全国的にも三重県のように、デジタルの専門部署の新設を計画をしていると聞いています。そういったことから今後、デジタル人材の“枯渇”は避けられないというイメージはあります。

 

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ーー地方においてデジタル人材の確保は非常に大きな課題。解決に向け必要な方策は。

 

田中局長:
デジタル人材・DX人材の確保に関する方策は、2つしかないです。1つは新規で獲得する。そして、もう1つは育成していく。この2つだと思います。


そうなると、デジタルの専門家を外部から呼んでくるばかりではなく、内部で育成していく方がより現実的で有効だと思っています。今、三重県のデジタル社会推進局には私を含めて50人のメンバーがいますが、その全員が、三重県のこれからのDX人材になっていくと思いますし、内部の人材をデジタル時代に適応した人材に育成していくということが極めて重要だと思っています。

 

私は、これまでデジタルだけでなく、地方創生にも関わってきましたけれども、「人と人が出会って化学反応を起こしていく」ということそのものが、地域を豊かにしていくと考えています。ですので、できるだけ幅広い専門家と、地域の方々がたくさん関わっていただき、新しい社会作りに役立ててもらえればと思っています。


「デジタルによって社会がどう変わるのか」ではなくて、「どんな社会にするためにデジタルを活用していくのか」ということをみんなで一緒に考えていきたい。デジタルを遠い存在と考えないでいただいて、どんな小さなことでも結構なので、どんどん相談を寄せていただきたいです。

投稿者:NHK津放送局 | 投稿時間:20:00


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