過去の入選作

2014年08月29日 (金)【みえDE川柳】 お題:思い出

天 思い出になかなかなってくれぬ傷/アラレさん

宮村典子先生 この傷は、手や足に負った傷ではなくて、いわゆる心に負った辛い傷でしょうね。簡単な失恋ではなく、一生に一度の本気の愛が実らず負った深い傷のように思われます。
普段は、すっかり忘れているのですが、何か不安な、つまらない気持ちになった時に、ふと思い出される切なくて甘い記憶が「思い出になってくれぬ傷」に秘められています。
また、あるいは、人間関係のギクシャクで生じてしまった傷が、まだ癒えていないのかも知れません。
いずれにしても、読み手の胸に響いてくる作品です。

 

地 立たされた思い出雨が降っていた/柴ちゃんさん

宮村典子先生 この句は、具象を詠んで心象を表現しています。
いつまでも廊下に立たされていたあの日は、確かに雨が降っていた……
立たされた原因は何だったろう?
忘れられない思い出の一場面として、作者の心のアルバムに残っているのです。
なぜなら、その時、作者の胸に降った悔しい、切ない雨は今も思い出の中で降り続いているのですから。

 

人 ピースして良い思い出にする写真/鷺草さん

宮村典子先生 記念として残す写真だからとりあえずピースしておこう!思い出のために撮る写真だからシアワセを残そう!
「良い思い出にする」に、そんな作者の心の動き(川柳らしい)がみえます。
確かに、ピースした写真とアルバムで再会するとうれしくなりますものね。
だから、若者も、おじいちゃんも、おばあちゃんもカメラに向かって楽しそうにVサイン。

 

<入選>

宿題の思い出だけが残る夏/はづきさん

線香花火思い出ポトリ落ちました/こはくさん

思い出に会いたくなって目を閉じる/夏子さん

コンビナートあの下だった潮干狩り/星流さん

思い出の断捨離これが難しい/銀色ダリアさん

思い出のジグソーパズル埋まらない/茶臼山一号墳さん

思い出という皿に乗せれば美しい/かずこさん

 

宮村典子先生  宮村典子先生

今月の課題は「思い出」。ちょうど夏休みの時期ですから、ピッタリの課題でした。
「思い出は……」という書き出しの句が多くありましたが、「……は」で始まると、どうしても報告、説明句になってしまいがちです。
この夏の思い出、または、自分の胸の中にある一番の思い出を手繰りだし、そこに焦点を当てると、インパクトのある句になるでしょう。
作り過ぎ、言い過ぎの句も多くありました。難しいですが、シンプルに書いて意味のある句を目指してください。

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2014年07月25日 (金)【みえDE川柳】 お題:輝く

天 青春という名の輝いた未熟/竹内いそこさん

宮村典子先生 「輝いた未熟」がすばらしい。
世間知らずで無鉄砲だったけど、いつでも、どんなことにも一生懸命で、いちずで、正義感にあふれていた青春時代は、 まさに自分史で一番輝いた時代だった……。
それを「輝いた未熟」と表現した作者の感性に脱帽。

 

地 輝いてますね末尾に添えておく/ソーソボさん

宮村典子先生 誰にどんな手紙を書いたのだろう。
普通に自分の近況かも知れないし、または、お互いの活動についての報告や、感想かも知れない。
「輝いてますね」と末尾に添えた、作者の細やかな気遣いは、受け取った人を温める優しさを持っている。

 

人 おばあちゃんかてペディキュアをしたい夏/プチトマトさん

宮村典子先生 「おばあちゃんかて」が句を楽しくさせている。
年齢が来て高齢者組に入れられる「若いおばあさん」は、もしかしたら団塊の世代かも。
「ペディキュアをしたい夏」と詠んだのは、「まだまだ、ホントのおばあちゃんではありません」っていう、若いおばあちゃんの自己主張?
輝きましょう、おばあちゃん!

 

<入選>

雨雲の上にお日さまスタンバイ/めぐみさん

輝いて先ず一勝の校歌聞く/流星さん

アルバムの中に輝く君がいる/花子さん

潮騒が満ちて輝く真珠貝/高節さん

蛾の気持ち輝く蝶に教えたい/千野力(ちのちから)さん

子に語る失敗談が輝いて/ひまわり娘さん

お祭りになると輝く旦那さま/郷野あきさん

 

宮村典子先生  宮村典子先生

今月の課題は「輝く」で、作りやすいかな…と思ったのですが、案外、作りにくかったようで、説明や、報告になってしまった句が多くありました。
見つけや気付きのよい句もありましたが、表現不足だったり、中八でリズムが悪かったりで入選に届かなくて残念な気がしました。
今月の天・地・人は、いずれも、きれいな5・7・5(定型)の型になっていません。
意味の切れ目に沿って読むと、天は9・8、地は8・9、人は7・5・5となっています。
でもいずれも合計17音で心地よいリズム感があります。
現代では、このような型も準定型と言って一般的になっています。

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2014年06月27日 (金)【みえDE川柳】 お題:じめじめ

天 じめじめとしてるポストの中までも/久実さん

宮村典子先生 梅雨最中、じめじめ満載の句。「ポストの中までも」には、物理的なじめじめに、作者の心理的なじめじめ状態が投影されている。
もしかしたら、作者が出そうとしている手紙は、とても気の重い内容なのかも知れない。
「してる」が気になるが、リズムを考慮しての策だろう。さらりと書いて思いの深い作品である。

 

地 ナメクジがくつろぐ植木鉢の裏/アラレさん

宮村典子先生 なめくじが「くつろぐ」という措辞(言葉の使い方)に感心。じめじめという言葉を使わず(題を読み込まず)に、「じめじめ感」を上手に表現している。意外な着想は川柳を生かす力。この感覚を大事にしてほしい。
くつろげる場所、あなたにもありますか?と問われているような気もする。

 

人 紫陽花を発光させる梅雨の空/豊後ぶんごさん

宮村典子先生 あじさいは咲き始めの白っぽい青色から、徐々に色合いと濃さを変えていく。まさに七変化である。その変化を「発光させる」と表現したのは作者の感性。梅雨の季節だからこそあじさいのすてきな風情に出会えるのだ…と詠む、作者のプラス思考に共感する。

 

<入選>

紫陽花の色香に迷うカタツムリ/あさか舞さん

じめじめの畑でみみず恋をする/大和撫子さん

じめじめを相合傘がはね返す/しゅうさんさん

部屋干しでシャツも嫉妬も生乾き/颯爽さん

なにもかもうやむやのまま雨止まず/西口勝久さん

じめじめを日帰りの湯に捨てに行く/竹島晃さん

みなネアカうちに除湿機いりません/磯の香りさん

 

宮村典子先生  宮村典子先生

今月の課題「じめじめ」は作りにくかったかも…と心配していましたが、なかなかユニークな作品があり安心しました。
ただ「あじさい」「カタツムリ」「部屋干し」「除湿機」「ナメクジ」「じめじめ…」を使った同想句も多くありました。
そんな中、それぞれからの発想、気付きに意外性があり、心象句また、明るく楽しい気持ちをうまく表現した句が今月の入選10句です。観賞して、今後の作句の参考にしてくださいね。

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2014年05月30日 (金)【みえDE川柳】 お題:みえを「歩く」

天 歩数計半分稼ぐ左足/デコやんさん

宮村典子先生 歩数計を付けて、昨日は五千歩、今日は一万歩などと言うが、右足で何歩、左足で何歩とは聞いたことがない。
なるほど、半分ずつ稼いだと言われれば納得するしかない。うまいこと言ったものだ。
意外なところに気がついた川柳は貴重である。
人生街道を歩くのもしかり……人は支え合って生きていることに気付きたい。

 

地 熊野路の帰りは泣いたひざ小僧/正道さん

宮村典子先生 今年は、熊野古道の世界遺産登録10周年。その古道を歩いている人は年々増えている。
さて、古道の歴史に感じ入りながら歩き始めた熊野路も、帰り道になる頃には膝がガクガク。
それでも、作者は踏破できたことに大満足しているのであろう。
満足を誘う痛みは心地よいものなのだ。

 

人 老犬の足に合わせていく散歩/ねむねむさん

宮村典子先生 ほんの十数年前に生まれた愛犬。あんなに愛らしく走り回っていた子犬も、あっという間に年老いて、
もう歩くのもしんどそう。犬の寿命はだいたい15年ぐらいだろうか?
飼い主の優しい心情がよく表れた川柳。
老人に合わせて、ゆっくり歩いてくれる犬もいるらしい。
相手に合わせる歩調がすてきな関係を作るのだと……思う。

 

<入選>

海岸線歩けば長い三重の道/ひなたの布団さん

伊勢神宮参拝よりも味めぐり/We Are Dreamersさん

ツヅラトの襲われそうな道登る/西谷英彦さん

後ろ向き歩いて足を驚かす/匿名希望さん

せっかちと歩くと悲鳴あげる足/青いシクラメンさん

還暦に贈る真っ赤なスニーカー/めぐみさん

ミエゾウの足跡だから飾られる/アラレさん

 

宮村典子先生  宮村典子先生

今月の課題は「歩く」で、作りやすい分、同想句(同じ思いの句)が多くありました。
第一発想(課題から、最初に思いつくこと)の句は、みんなが考えるような平凡な句が多いと言われます。
でも、第一発想が、新鮮で鋭い場合もありますから一概には言えないことでもあります。
今、歩いていることについて思うことや、今までに歩いたところで印象に残っているところ、また、
これから歩きたいところなどをユニークに表現した作品をいただきました。

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2014年04月25日 (金)【みえDE川柳】 お題:みえの「春」

天 伊勢湾へ春はのんびりやってくる/ピンクの真珠さん

宮村典子先生 よいことか否かは別にして、三重県の気候が三重県人の、のんびりとした県民性を作っているような気がする。
この作品の作者はそのことに気付いているのである。(自嘲気味?)リズムも良く、仕立てもじょうずうまい。

 

地 信綱も芭蕉も詠まぬ花粉症/吉一さん

宮村典子先生 歌人・佐々木信綱も、俳人・松尾芭蕉も三重県生まれである。
この二人の偉大な文人を登場させ、花粉症を絡ませた意外な着想の「三重の春」。空気汚染のなかった時代の尊さに思いを巡らすほど、花粉症の症状がひどい昨今である。

 

人 お花見もしていないのに春が行く/橋倉久美子さん

宮村典子先生 今年こそは、お花見に行こう!と、桜の咲くのを楽しみに待っていたのに、仕事に追われ、家事・育児に追われているうちに、桜は咲いて散ってしまった・・・。
お花見も・・・の「も」に悔しさがにじむ。共感の多い句だろう。

 

<入選>

三重の春新番組で幕開けだ/はげじいさん

ムズムズとしてグズグズとしたら春/伊勢星人さん

試着室春に着替えておりますの/相馬まゆみさん

春やなぁほんまぬくうてええんやわ/たかこさん

春に手をひかれ初孫やってきた/本城恵美さん

買い貯めがピタリと止まる春四月/久保眞二さん

行きたいとこばっかで迷う三重の春/しだれ桜さん

 

宮村典子先生  宮村典子先生

初回から多くの投句をいただきました。ありがとうございます。その中から10句入選はなかなか厳しい選でした。
課題が「春」でしたから、ただ今の季節ということで、わりと作りやすかったようで、いろんな表現の「春」が寄せられております。桜と自分の生活を重ねて春をよんだ句が多くありました。
これからも課題にそって、暮らしの中の喜怒哀楽をよんでください。川柳がきっと、あなたの心を軽く、楽しくしてくれます!

 

投稿者:みえ~るくん | 投稿時間:18:50 | 過去の入選作 |   | 固定リンク


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