過去の入選作

2015年03月27日 (金)【みえDE川柳】 お題:送る

天 まごころに混ぜて下心も送る/入来武家屋敷さん

宮村典子先生 正直な句だ。どんな人間も生涯を清く正しくは生き通せないはず。難儀な世の中を無事に生き抜くためには下心だって必要な場合もあるだろう。まごころで薄めた下心は必要悪かも。見え見えの下心を優先させて生きるのとは違うのだ。「まごころ」に救われる。人間が詠んだ人間臭のする川柳。

 

地 あす送る人と酔えない酒を飲む/相模秋茜さん

宮村典子先生 「あす送る人」は作者にとって、きっと大事な人なのだろう。どこか遠くへ旅立つのだろうか?その人と酌み交わす今夜の酒は、いくら飲んでも酔えないのだという作者の心情が何とも切ない。気持ちの籠った作品である。

 

人 愛妻の送りバントに助けられ/まさしさん

宮村典子先生 「送りバント」は、いわゆる犠牲バント。大げさに言えば身を捨てて相手を救う行いである。作者は、何か精神的な窮地に陥り身動き出来ない状態になったところを奥様の機転によって助けられたのだろう。「愛妻」への感謝の気持ちがしみじみと伝わってくる。「送りバント」が効果的。

 

<入選>

お茶の間に癒し送ってくるラジオ/デコやんさん

ゴミ袋持たされ見送られる朝/夏実さん

家猫に恋を許すと送り出す/野の子さん

父の日に送る祝いは着払い/極楽トンボさん

懸賞へ個人情報送らされ/samuさん

抜け殻がずらり送信済みリスト/金子鋭一さん

ライバルの送別会でする握手/せいじさん

 

宮村典子先生 宮村典子先生

「送る」という課題をどう広げたか?自分だけの見付け、気付きはあるか?などを話しながらの選句でした。作句、投句を楽しんでいただいている皆さんの作品を一句ずつ拝見するのは、選者にも張り合いのある時間です。ちょっと表現を変えると佳句になるのに…と思う作品もあります。しっかりと推こう(見直し)してくださいね。今月の天・地・人は、作品の中に人間が居る(心情を詠んだ)ところを評価しました。

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2015年02月27日 (金)【みえDE川柳】 お題:食べる

天 太陽をゆっくり食べる地平線/高節さん

宮村典子先生 「太陽を食べる」という発想がすてきですね。意外なものを食べて大成功です。地平線に沈んでゆく夕陽を見ながら、これから先のことに思いを巡らしている作者の姿が目に浮かびます。「この先の人生をゆっくり生きていきたい」という思いが句の後ろに感じられます。上手な句です。

 

地 弁当をきちんと食べる反抗期/極楽トンボさん

宮村典子先生 反抗期の子供は、何を言っても「うるさい!」で返してきます。それでも朝になると何事もなかったようにお弁当を作る母親、そして弁当箱を空にして帰ってくる子供。お弁当でつなぐ絆を信じる母性愛が胸に響いてきます。『お母さん、子供の反抗期が始まったら、お弁当を作ってあげましょう!』そんなことを教えてくれるような句です。

 

人 チョコレートここが我慢のダイエット/鬼ころしさん

宮村典子先生 2月14日のバレンタインデーには、私も、息子がもらってきた義理チョコを、3箱ぐらい食べてしまいました。
カロリーの高いチョコレートはダイエットの天敵なのに、目の前に置かれると食べてしまうという根性無しです。
「ここが我慢の」が効いていて説得力があります。続行!ダイエットですね。

 

<入選>

恋わずらい食べてるうちは大丈夫/草野たえさん

食べごろの私に誰も気づかない/たまきさん

山盛りの愛ですたんと召し上がれ/岡本恵さん

恋文を食べてポストの赤い顔/すずらんさん

食べ尽くすのは不可能なイチゴ狩り/アラレさん

足だけを食べ放題にされる蟹(かに)/流星さん

同じ釜の飯を食ってもつく格差/マイクさん

 

宮村典子先生 宮村典子先生

「食べる」という課題は、作りやすかったようですね。その分、同想句がたくさんありました。いわゆる「食べられるものを食べる」という発想ですと、食べ方の工夫やひねりが必要になります。「食べられないものを食べる」という発想に持っていくと意外性のある作品になります。そして、どちらも表現の方法が鍵です。入選句を参考にしてくださいね。

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2015年01月30日 (金)【みえDE川柳】 お題:スタート

天 言えませんいつから好きになったかは/入来きんかんさん

吉崎先生 今はもう順調に「お付き合い」が始まっている?いやめでたくゴールインしている二人かも知れない。初めてバレンタインデーのチョコレートを贈ったのは3年前だっけ?でも、本当はもっと前から、あなたを好きになっていたのです。それがいつかは「言わぬが花」。女心(男心かも)の機微をユーモアたっぷりに詠んでいる。

 

地 お祭りのようなスタートの青春/久実さん

吉崎先生 全部で17音字だが、5・7・5の定型では読めない。お祭りのような/スタートの青春 と8・9で読むか、お祭りのような/スタートの/青春 と8・5・4で読むしかないだろう。いずれにしても「お祭りのようなスタート」って、いったい何だと思わせるのがこの句のポイント。答は青春。そういえば…、などと想像が膨らむ。

 

人 ゲートを開くと走るしかない競走馬/オリオン座さん

吉崎先生 たとえ競争に勝ったとしても、ご褒美に自由にしてくれるわけでもないのに…。と競走馬も思っているかも知れない。しかし、そこは競走馬の本能。いったんゲートが開けば(スタートに立てば)全力で疾走する。もちろん競争馬とは自分たち宮仕えのことだろう。会社や上司に不満があっても、始業ベルが鳴れば走るしかないのだ。

 

<入選>

よーいどん今年もいっぱい笑います/笑いじょう子さん

しまかぜでババ七人が伊勢参り/元気なバーバさん

ときめいてスタートさせるダイエット/せいじさん

引き金の指に見とれて出遅れる/大釜洋志さん

スタートの位置に初心を置き忘れ/ほろ酔いさん

1月ですでに息切れする抱負/極楽トンボさん

飲みすぎたのでスタートは明日にする/アラレさん

 

吉崎先生 吉崎柳歩先生

1月に相応しい題でした。年末年始という慌ただしい期間にもかかわらず、230を越す句が寄せられました。その中から、たった10句の入選です。何が当落を分けるのか?それはやはり第一に「オリジナリティ(独創性)」でしょう。
「スタート」という題で考えるとき、皆さん同じような場面が浮かんでくるものです。自分自身の経験や周囲を細かく観察して、自分だけの「見つけ」「思い」を川柳にしましょう。ありふれた言い方でなく、独自の表現ができれば、入選にぐっと近づくでしょう。

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2014年12月26日 (金)【みえDE川柳】 お題:師走

天 大鍋の底で師走が焦り出す/紫パールさん

宮村典子先生 吉崎先生 1年を大鍋に例えれば、12月(師走)はその底。上手い比喩である。作者は、年頭に立てた計画を全クリアー出来ないまま師走に至ったのである。「ああ、今年のうちにあれもこれもやっておかなければ……」という焦りの心境を「大鍋の底」「師走が焦り出す」と表現して秀句になった。師走の実感がよく伝わってくる。

 

地 ポインセチアの赤も踊っている師走/山茶花さん

宮村典子先生 吉崎先生 師走の花屋さんに、ポインセチアが赤い顔を並べると街はクリスマスムード。そのポインセチアを踊らせて、この句はとてもリズミカルでユニーク。まるでクリスマスソングが聴こえてくるようだ。「赤も」の「も」が効果的に「師走」を盛り上げる。

 

人 少しだけ良い年寄りになる師走/侘び介さん

宮村典子先生 吉崎先生 この句もユニーク。いろんなことを想像させて思わずほほえんでしまう。作者は、自分中心のわがままな1年を過ごしたことを反省しているようにも見えるし、楽しんでいるようにも思える。とにかく忙しい師走ぐらいは少しだけ大人しくしよう。「良い年寄り」に皮肉を利かしているのである。

 

<入選>

飲み会を軸に師走のスケジュール/かぐや姫さん

通帳の出入り激しくなる師走/節っちゃんさん

新聞の切り抜き整理する師走/吉川勇さん

しくじって師走のゴミにしてしまう/B子さん

褒められたおせち今年も手をぬけず/ひろりんさん

少しだけ夢を齧って(かじって)年暮れる/相模秋茜(さがみしゅうせん)さん

百八つ聞いたことない除夜の鐘/祥太郎さん

 

宮村典子先生 宮村典子先生 吉崎先生 吉崎柳歩先生

今月は「師走」という時節の題であったためか同想句が多かったようです。でも「師走」について感じること、思うことを575にまとめるという楽しさを味わっていただいている様子がうかがえ、257句を楽しく拝見しました。
助詞の使いかたを直せば佳句になる作品があったり、推こう不足で残念な作品もありました。誰もが思いつきそうな発想を捨て、視点を変えてみたり、自分の思いをどんな言葉で表現するか……を、よく考えながら来年も川柳を楽しんでくださいね。

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2014年11月28日 (金)【みえDE川柳】 お題:残る

天 褒められた小さな記憶だけ残る/比呂ちゃんさん

宮村典子先生 人生、いいことも悪いことも半々だと聞いたことがあります。だからこそ人は生きていけるのでしょうね。
嫌なこともいっぱいあるし、むしろその方が多いと思います。そんな中で、「褒められた」記憶は確かに心の中にうれしく残ります。特に信頼している人からもらった「褒め言葉」は、それがどんな小さなことでも、一生涯自分を励ます宝物になるのです。
人は人によって生かされる。褒められた小さな記憶は、作者にとって生きてゆくための大きなエネルギーになっているのです。

 

地 ときどきは揺すって残り確かめる/青色パールさん

宮村典子先生 何を揺するのかな?と思わせます。そう言われれば自分も揺すって残りを確かめるものがあるよな…と、誰でも身に覚えがありそうで共感を呼ぶ作品です。甘いものが好きな人ならお菓子の残り、お酒が好きな人なら酒瓶の残りかも。
詩人は、詩のうを揺するかも知れませんし、命を揺すって余生を確かめたり……なんて。読みが広がりますね。

 

人 かば焼きの香り消すため回り道/茜雲さん

宮村典子先生 かば焼きを食べた作者は、まっすぐ家に帰ると妻(夫?)や子どもたちに「自分だけズルーイ」と言われそうで、わざわざ遠回りをして家路に着いたのでしょう。その様子が愉快に伝わってきます。
普通は、「かば焼きの匂い」とするところですが、あえて「香り」としたのは「香ばしい匂い」であるということを強調しているのでしょうね。

 

<入選>

温もりの残る布団が離さない/デコやんさん

剃り残しの髭が一本威張ってる/エミリーさん

絞り切るのは不可能なマヨネーズ/アラレさん

冷蔵庫に得体の知れぬ残り物/リサパパさん

廃校のブランコ風を乗せるだけ/ゆめかさん

フィクションも加え歴史として残る/流星さん

大丈夫心の中に父がいる/かぐや姫さん

 

宮村典子先生  宮村典子先生

今月の課題は「残る」でした。いろんな「残る」があり楽しい選でしたが、298句中、入選は10句で厳しい選になりますことをお許しくださいね。下五の「残ってる」という表現が気になる句がありました。着想が優れている場合は「~てる」も生きるのですが、どうしても句意が軽くなりますので気を付けてください。「~残っている」の句もありましたが、これは下六になり句のリズムが悪くなります。簡単そうでなかなか難しい川柳です。どうぞチャレンジを楽しんでいただきますように……。

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2014年10月31日 (金)【みえDE川柳】 お題:旅

天 寝てばかりいたが楽しい旅だった/アラレさん

吉崎先生 大方の人は車窓の景色も旅の楽しみの一つだろうが、作者はそうでもないようだ。今晩の楽しみに備えて、あるいは昨晩の盛り上がりで眠れなかったのかも知れない。前句(寝てばかり~)と後句(楽しい~)の落差が効果的。

 

地 ちょっと月まで行ってきました土産です/オリーブさん

吉崎先生 近未来、あるいはもっと先の月旅行を想定した川柳。「ちょっと月まで」の導入部が心憎い。結語の「土産です」の見事な落ち。「月の石」なんて、その頃はもう平凡すぎて、誰も喜ばないだろう。
どんな土産なのか聞いてみたくなる。

 

人 伊勢参りは旅と思わぬ伊勢の人/流星さん

吉崎先生 伊勢神宮は日本人の心のふるさと。日本人にとって伊勢参りは念願の旅なのだ。一方、地元の人にとっては散歩やウォーキングの先にある「お伊勢さん」にすぎないのだ。伊勢の人は幸せなのか不幸なのか?やはり幸せなんだろう。

 

<入選>

飛行機を降りて雲海歩きたい/フリージアさん

おばさまのラジオ止まらぬバスツアー/小林祥司さん

みちのくを芭蕉気取りで旅をする/わはくまさん

リポーター自費でゆっくりしたい旅/藤袴さん

ご近所へお土産返すための旅/ななかまどさん

戻る家あって楽しい旅に出る/のぼのサブローさん

振り向けば道順のない旅だった/高節さん

 

吉崎先生 吉崎柳歩先生

応募句数はやや少なかったが、人数は増えているのではないか?同じ人の発想では、と思われる類想句がぐんと減っていた。よく推こうされ質の高い作品が多かったので、その意味では今回は厳選だった。
「旅と」いう題は魅力的なテーマであるだけに、これまでにも数多く詠まれてきた。よい句なのに既に詠まれている内容の句もあった。あなた独自の想い、見解を独自の表現で詠むことが大事です。

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2014年09月26日 (金)【みえDE川柳】 お題:焼く

天 点火して秋を焼いてる彼岸花/ジュンペーさん

吉崎先生 9月に入ると彼岸花がぼちぼち咲いてくる。そしてそれはまもなく、田畑や堤防ののり面などを真っ赤に染めていく。その「ぼちぼち」と「一面に咲く様」を「点火して秋を焼いてる」と詠んだ作者の感性が素晴らしい。

 

地 夕焼けを引っぱっている赤トンボ/高節(こうせつ)さん

吉崎先生 正式名称は「アキアカネ」。夏には御在所の山頂でも見られる。秋になると平地に降りてきて群れて飛ぶ。空中でホバリングしていたかと思うと、ツツーっと水平移動したりする。その様子を「夕焼けを引っぱる」と表現したのは見事。

 

人 ラブレター焼かずに全部取ってある/木村伝之介さん

吉崎先生 たぶん女性が詠まれた作品。もうお孫さんもいらっしゃる奥さんかも知れない。結婚する前に今の御主人からもらったラブレターなんだろう。「全部取ってある」に今の幸せな結婚生活がうかがわれる。それとも、他の人のラブレター?

 

<入選>

バーベキュー月に見とれて焦げた肉/月子さん

七輪で焼いたサンマは高級魚/BBブンゴさん

焼き蛤殿も美味だとかぶりつく/桑名出のちづちゃんさん

焼かれたらゴメンなさいをするスルメ/デコやんさん

あ美しく焼くトーストもジェラシーも/こはくさん

ときめいて胸を焦がしただけの恋/エブリィ・ベアーさん

急げ急げ火勢と競う消防車/一寸法師さん

 

吉崎先生 吉崎柳歩先生

焼き餅を焼く、恋に身を焼く場合は「焼く」でいいが、単に嫉妬する、妬む場合なら「妬く」と書くべきで、題の意味には外れる。ちなみに「焼く」は他動詞、「妬く」は自動詞。
同じ発想の句を、少し表現を変えて何句も出される方があるがもったいない。よく考えて(推こうして)一つに絞ろう。そして違う発想の句を、それもよく推こうして出されたほうが、入選の可能性はぐんと高くなるでしょう。

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2014年08月29日 (金)【みえDE川柳】 お題:思い出

天 思い出になかなかなってくれぬ傷/アラレさん

宮村典子先生 この傷は、手や足に負った傷ではなくて、いわゆる心に負った辛い傷でしょうね。簡単な失恋ではなく、一生に一度の本気の愛が実らず負った深い傷のように思われます。
普段は、すっかり忘れているのですが、何か不安な、つまらない気持ちになった時に、ふと思い出される切なくて甘い記憶が「思い出になってくれぬ傷」に秘められています。
また、あるいは、人間関係のギクシャクで生じてしまった傷が、まだ癒えていないのかも知れません。
いずれにしても、読み手の胸に響いてくる作品です。

 

地 立たされた思い出雨が降っていた/柴ちゃんさん

宮村典子先生 この句は、具象を詠んで心象を表現しています。
いつまでも廊下に立たされていたあの日は、確かに雨が降っていた……
立たされた原因は何だったろう?
忘れられない思い出の一場面として、作者の心のアルバムに残っているのです。
なぜなら、その時、作者の胸に降った悔しい、切ない雨は今も思い出の中で降り続いているのですから。

 

人 ピースして良い思い出にする写真/鷺草さん

宮村典子先生 記念として残す写真だからとりあえずピースしておこう!思い出のために撮る写真だからシアワセを残そう!
「良い思い出にする」に、そんな作者の心の動き(川柳らしい)がみえます。
確かに、ピースした写真とアルバムで再会するとうれしくなりますものね。
だから、若者も、おじいちゃんも、おばあちゃんもカメラに向かって楽しそうにVサイン。

 

<入選>

宿題の思い出だけが残る夏/はづきさん

線香花火思い出ポトリ落ちました/こはくさん

思い出に会いたくなって目を閉じる/夏子さん

コンビナートあの下だった潮干狩り/星流さん

思い出の断捨離これが難しい/銀色ダリアさん

思い出のジグソーパズル埋まらない/茶臼山一号墳さん

思い出という皿に乗せれば美しい/かずこさん

 

宮村典子先生  宮村典子先生

今月の課題は「思い出」。ちょうど夏休みの時期ですから、ピッタリの課題でした。
「思い出は……」という書き出しの句が多くありましたが、「……は」で始まると、どうしても報告、説明句になってしまいがちです。
この夏の思い出、または、自分の胸の中にある一番の思い出を手繰りだし、そこに焦点を当てると、インパクトのある句になるでしょう。
作り過ぎ、言い過ぎの句も多くありました。難しいですが、シンプルに書いて意味のある句を目指してください。

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2014年07月25日 (金)【みえDE川柳】 お題:輝く

天 青春という名の輝いた未熟/竹内いそこさん

宮村典子先生 「輝いた未熟」がすばらしい。
世間知らずで無鉄砲だったけど、いつでも、どんなことにも一生懸命で、いちずで、正義感にあふれていた青春時代は、 まさに自分史で一番輝いた時代だった……。
それを「輝いた未熟」と表現した作者の感性に脱帽。

 

地 輝いてますね末尾に添えておく/ソーソボさん

宮村典子先生 誰にどんな手紙を書いたのだろう。
普通に自分の近況かも知れないし、または、お互いの活動についての報告や、感想かも知れない。
「輝いてますね」と末尾に添えた、作者の細やかな気遣いは、受け取った人を温める優しさを持っている。

 

人 おばあちゃんかてペディキュアをしたい夏/プチトマトさん

宮村典子先生 「おばあちゃんかて」が句を楽しくさせている。
年齢が来て高齢者組に入れられる「若いおばあさん」は、もしかしたら団塊の世代かも。
「ペディキュアをしたい夏」と詠んだのは、「まだまだ、ホントのおばあちゃんではありません」っていう、若いおばあちゃんの自己主張?
輝きましょう、おばあちゃん!

 

<入選>

雨雲の上にお日さまスタンバイ/めぐみさん

輝いて先ず一勝の校歌聞く/流星さん

アルバムの中に輝く君がいる/花子さん

潮騒が満ちて輝く真珠貝/高節さん

蛾の気持ち輝く蝶に教えたい/千野力(ちのちから)さん

子に語る失敗談が輝いて/ひまわり娘さん

お祭りになると輝く旦那さま/郷野あきさん

 

宮村典子先生  宮村典子先生

今月の課題は「輝く」で、作りやすいかな…と思ったのですが、案外、作りにくかったようで、説明や、報告になってしまった句が多くありました。
見つけや気付きのよい句もありましたが、表現不足だったり、中八でリズムが悪かったりで入選に届かなくて残念な気がしました。
今月の天・地・人は、いずれも、きれいな5・7・5(定型)の型になっていません。
意味の切れ目に沿って読むと、天は9・8、地は8・9、人は7・5・5となっています。
でもいずれも合計17音で心地よいリズム感があります。
現代では、このような型も準定型と言って一般的になっています。

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2014年06月27日 (金)【みえDE川柳】 お題:じめじめ

天 じめじめとしてるポストの中までも/久実さん

宮村典子先生 梅雨最中、じめじめ満載の句。「ポストの中までも」には、物理的なじめじめに、作者の心理的なじめじめ状態が投影されている。
もしかしたら、作者が出そうとしている手紙は、とても気の重い内容なのかも知れない。
「してる」が気になるが、リズムを考慮しての策だろう。さらりと書いて思いの深い作品である。

 

地 ナメクジがくつろぐ植木鉢の裏/アラレさん

宮村典子先生 なめくじが「くつろぐ」という措辞(言葉の使い方)に感心。じめじめという言葉を使わず(題を読み込まず)に、「じめじめ感」を上手に表現している。意外な着想は川柳を生かす力。この感覚を大事にしてほしい。
くつろげる場所、あなたにもありますか?と問われているような気もする。

 

人 紫陽花を発光させる梅雨の空/豊後ぶんごさん

宮村典子先生 あじさいは咲き始めの白っぽい青色から、徐々に色合いと濃さを変えていく。まさに七変化である。その変化を「発光させる」と表現したのは作者の感性。梅雨の季節だからこそあじさいのすてきな風情に出会えるのだ…と詠む、作者のプラス思考に共感する。

 

<入選>

紫陽花の色香に迷うカタツムリ/あさか舞さん

じめじめの畑でみみず恋をする/大和撫子さん

じめじめを相合傘がはね返す/しゅうさんさん

部屋干しでシャツも嫉妬も生乾き/颯爽さん

なにもかもうやむやのまま雨止まず/西口勝久さん

じめじめを日帰りの湯に捨てに行く/竹島晃さん

みなネアカうちに除湿機いりません/磯の香りさん

 

宮村典子先生  宮村典子先生

今月の課題「じめじめ」は作りにくかったかも…と心配していましたが、なかなかユニークな作品があり安心しました。
ただ「あじさい」「カタツムリ」「部屋干し」「除湿機」「ナメクジ」「じめじめ…」を使った同想句も多くありました。
そんな中、それぞれからの発想、気付きに意外性があり、心象句また、明るく楽しい気持ちをうまく表現した句が今月の入選10句です。観賞して、今後の作句の参考にしてくださいね。

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