2022年04月22日 (金)【みえDE川柳】 お題:かばん

天 六年でこんなに縮むランドセル/田舎のマダムさん

橋倉久美子先生 小学校に入学したときには、ランドセルを背負わせるのもかわいそうなほど小さくて、まるでランドセルが歩いているようだった我が子。それが卒業を迎えた今では、ランドセルが背中にちょこんとくっついているように見えるほど、大きくたくましくなった。
 当然ながらランドセルが縮んだわけではなく、子どもの方が大きくなったのだが、「こんなに縮む」という率直な感動の表現で、子どもの成長を喜ぶ気持ちがまっすぐに伝わってくる句になった。

 

地 金曜日カバンにためた愚痴を捨て/汐海 岬さん

橋倉久美子先生 そうか、サラリーマンの鞄には、仕事に必要な書類やパソコンだけでなく、愚痴も入っていたのかと気付かされた。月曜日から愚痴を溜め続けた鞄は、金曜日にはさぞいっぱいになっていたことだろう。
 ところでこの愚痴、いったいどこで捨てたのだろう。居酒屋でぶちまけてきたのか、それとも家に着く前にその辺の溝にでも流したのか。いずれにせよ、週末にはできるだけ鞄を元気で満たして、また月曜日を迎えるのだ。「金曜日」という設定が生きている。

 

人 夕焼けも入り込んでるランドセル/ムギさん

橋倉久美子先生 ランドセルというのは、教科書やノートだけでなく、夢や希望はもちろん、道草をして手に入れた石ころや草花、時にはカエルやダンゴムシなど、ありとあらゆるものを入れるものらしい。夕焼けだって、入れようと思えば入るのだ。
 その上この句は、夕焼けを「入れる」のではなく、「夕焼けも入り込んでる」と、まるで夕焼けがこっそりと忍び込んだかのように詠んでいるところがおもしろい。入り込んだ夕焼けがその後どうなったかを考えると、いくつもの童話が作れそうだ。

 

<入選>

会うたびに孫に背負わすランドセル/みほりんさん

一年生ママも鞄に入りたい/涼妻喧母さん

親の夢だけであふれるランドセル/よっちゃんさん

家族入れ父の鞄の重いこと/夜半亭あぶらー虫さん

終活がわたしの鞄軽くする/宮のふみさん

お出かけをいまかいまかと待つかばん/メダカさん

おばちゃんのかばんに飴が住んでいる/火の鳥さん

銀行を出ると無口になるかばん/ピエロさん

疲れきったかばん乗せてる終電車/久実さん

寅さんの失恋詰まる旅カバン/流星さん

 

橋倉久美子先生 橋倉久美子先生

 463句のご投句をいただきました。ありがとうございます。
 「かばん」は身近な題ですが、身近過ぎてかえって発想が広がりにくかったのか、よく似た内容の句が多かったように思います。また4月という時節柄、ランドセルの句がたくさんありました。
 入選しやすいのは、意外だけど言われてみれば納得できるという発想の句ですが、たとえ発想が似ていても、表現によって入選に近づくことができます。「似た発想の句を投稿したのに没だった」という方は、入選句の表現に注目してみてください。
 いずれにせよ、リズムが整っていること、言いたいことが伝わりやすいこと、文字や言葉遣いに誤りのないことが大切です。投句の前に、もう一度確かめてみてください。

投稿者:NHK津放送局 | 投稿時間:18:50


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