2021年11月26日 (金)【みえDE川柳】 お題:照らす
告白の真面目さ照らす里言葉/福村まことさん
真面目一筋で歩んできた青年にとうとう告白の時が来た。もじもじしながら飾る言葉も思いつかず、里の言葉で思いを届けたのだろう。きっと、真心が伝わったに違いない。飾らず、つくらない実直な姿が目に浮かび、おもわず応援したくなる。今でもこんな真面目な若者がいると思うとほっとさせられる。
灯がともり行燈の絵が踊り出す/ゆきちさん
秋祭りなのだろうか。夕暮れになり、行燈にあかりが入るとそこに書かれている絵がパッと浮かびあがって一斉に踊りだすと言うのだ。作者の素晴らしい感性に拍手を送りたい。時節がら控えられてきた、こうした行事も以前にも増し賑やかに、執り行うことができる日が来ることを願いたいものだ。そんなところまで思いが拡がっていく句である。
合格の二文字を照らす花明かり/汐海 岬さん
満開の桜の明かりに照らし出された合格の二文字。これ以上ない幸せと希望に満ち溢れた句。花明かりに照らし出されたものを詠んだ句はこの一句だけである。まして、照らし出されたものは「合格の二文字」とくれば、作者の眼の付けどころの良さに感心せずにいられない。躊躇なく「人」の句に戴いた。
<入選>
お日さまが照らしシーツの白さ増す/ゆうさん
酸欠の地球を照らすお月さま/あそかさん
平等に照らしてほしい宝くじ/まゆゆさん
母の知恵新米ママの先照らす/三日坊主さん
照らされてきっちり並ぶ屋根瓦/小宮やすさん
一隅を照らすコラムが温かい/青い鳥さん
スポットをいちど浴びたら癖になる/春爺さん
照らされたふたりに容赦ないマイク/颯爽さん
夕焼けに照らし出される今日のウソ/なるほどマンさん
門灯が無事の帰宅を迎え入れ/牛美さん
丹川修先生
「照らす」の題に対し、やはり多くの方が、思い浮かべるのが、「月」「星」「太陽」などでしょう。従い、よく似た句が多く見られました。反面、おやと思われるものが照らされている句も多数あり、なるほどと感心させられました。しかし、その中には、お題の「照らす」に対し、少し無理のある(強引すぎる)引用と思われるものも多くあり、楽しい中にも、かなり苦しい選となりました。繰り返しのコメントになりますが、独自性の高い句にまさしくスポットを当てさせていただきました。たくさんご投句を戴きありがとうございました。
投稿者:NHK津放送局 | 投稿時間:18:50