2020年11月27日 (金)【みえDE川柳】 お題:育つ

天 胎動に個性の育つサイン来る/福村まことさん

丹川修先生 胎児の動きを感じると共に、一つの命の中にその個性までが育つような気配を感じる若い夫婦が、そっとおなかに手を当て、耳をすます様子が目に浮かぶ。また、どこかの組織の内部から新しい動きや変革を求める兆しが感じられる。そんな読み取り方もできる。「胎動に個性が育つ・・・」という目の付け所が素晴らしい。サインの表現が心憎い。

 

地 天才が育つ予定のおもちゃ箱/風船さん

丹川修先生 このおもちゃ箱にはどんなおもちゃが詰まっているのだろうか。今日ならデジタルのような電子部品の詰まったおもちゃなのか。はたまた昔からある積木のような素朴なおもちゃなのか。いろいろ想像をさせられる興味楽しい句である。しかし、どんなおもちゃでも良い。幼児の眼(め)で捉え、触ったり色々なおもちゃで遊ぶうちに、あらゆる興味や想像力を育み、それが、無限の才能を開花させることに結び付くのだろう。

 

人 伸びしろを見込んで妻は服を買う/安田蝸牛さん

丹川修先生 育ちざかりの子は、みるみる間に大きくなる。先日、買ったばかりの服もすぐに小さくて着られなくなる。子の成長を喜びながらも、大きめの物を買わねばと言う主婦の経済観念を面白く詠んでいる。ただ、伸びしろ(太る)があるのは、自分であったり、夫であったりと捉えれば、また違った楽しさがある。

 

<入選>

ベランダでこの子と呼ばれ育つ茄子/花キャベツさん

蓋のない箱で育った型破り/あそかさん

今の名を知らずに泳ぐ出世魚/ツワブキさん

エリートを育てる父母の血統書/スイッチさん

残された時計に亡夫の育ち聴く/小宮やすさん

こんなにも小さかったかベビー服/ジャック天野さん

もうあんなこと喋ってる隣の子/松ぽっくりさん

倒木が朽ちて育てた若芽立つ/桑名の川子さん

スマホ持つ育ち盛りの八十路です/淺川八重子さん

たくましく自力で育つこぼれ種/富田さよ子さん

 

丹川修先生 丹川修先生

 色々なものを「育てる」楽しい句をたくさんいただきました。「お腹が育つや体重が増える」「子や孫の成長」を句材にしたものが多くありました。しかし、繰り返しのアドバイスになりますが、多くの人がまず思い付く、いわゆる第一発想の句は、なかなか入選にはなりにくいものです。
 また、単純なウケ狙いのユーモアだけでは、句に深みが生まれません。体の奥からこみあげてくるようなユーモアに挑戦してください。加えて、くどいようですが、5・7・5の定型を尊重してリズミカルな作句を心掛けていただければと思いますね。数多くの投句をいただきありがとうございます。

投稿者:NHK津放送局 | 投稿時間:18:50


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