2018年06月29日 (金)【みえDE川柳】 お題:傘

天 古い傘ひらけば遠い恋が降る/汐海 岬さん

宮村典子先生 昔々の恋の思い出を手繰る心持ちが感性豊かに表現されていて素敵(すてき)で素晴(すば)らしい。単に意味を伝えるのではなく、読み手、聞き手に想(おも)いを感じさせるような作り方がこの作品の力。古い傘をひらくと遠い恋が降る……、発想に詩心が溢(あふ)れる。

 

地 忘れられた傘のしずくは乾かない/アンドブルーさん

宮村典子先生 百均の傘が出回り始めてから、特に置き忘れの傘が増えたような気がする。大袈裟(おおげさ)な言い方かも知れないが存在する全ての「もの」に「命」があると考える時、忘れられたままの「もの」には耐えがたい寂しさがある気がする。この「傘」を人間として鑑賞すると特にその感が強くなる。対するものへの思いやりに欠ける自分勝手な振る舞いに、「喝」のような一句。

 

人 ずぶ濡れの子猫を抱いた赤い傘/あそかさん

宮村典子先生 雨の中に置かれた子猫を見て、思わず抱き上げた女の子の姿が目に浮かぶ。この句のポイント「赤い傘」はもちろん女の子。「ずぶ濡れの子猫」への何とも言えない可愛(かわい)い優しさに癒される。子猫の幸せを祈りたい。

 

<入選>

水色の傘で青空できあがり/たかあきさん

あの頃は傘で飛べると信じてた/久ちゃんさん

黒板の相合傘で仲裂かれ/はなぶささん

一年生傘から足が生えている/花キャベツさん

傘立てに今も忘れぬ恋ひとつ/よっちゃんさん

合格に空を持ち上げ開く傘/福村まことさん

青い空破れた傘の隙間から/麦乃さん

僕は右君は左の肩濡らす/十六夜さん

未練捨てきっぱり傘の雫切る/ホッと射てさん

差さぬよりマシと福祉の破れ傘/橙葉さん

 

宮村典子先生 宮村典子先生

 梅雨の季節に「傘」という課題はピッタリでした。が、「相合傘」の同想句が多く、「傘の中」「ビニール傘」など具体的すぎる使い方も多かったですね。そんな中から、「傘」に繋(つな)がる自分の気持ちを上手(うま)く表現していると思う句を入選としました。
 句の中にウンと思わせるところがあり「なるほどなァ」「言い得ている」となると成功です。言い過ぎてもダメ、言い足りなくてもダメ、入選13句の壁はキツイかも知れませんが、挑戦の楽しみを続けてくださいね。

投稿者:NHK津放送局 | 投稿時間:18:50


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