2017年10月27日 (金)【みえDE川柳】 お題:スポーツ

天 駆け引きが恋に似ているカーリング/鶏冠さん

宮村典子先生 カーリングは、石(ストーン)の進路をデッキブラシのような道具で掃いてスピードや方向を調整しながら円(ハウス)の中心に近づけるのだが、相手の戦略を探りながらの競技で、「氷上のチェス」とも言われているらしい。この性格を以(もっ)て「恋の駆け引きに似ている」と表現した作者のセンスに脱帽。

 

地 天国と地獄を分けた甘い球/西井茜雲さん

宮村典子先生 野球だとしたら勝ち進んでいた9回裏での出来事だろう。今日の試合は貰(もら)った…と思ったのが気の緩みだったか、最後の一球が甘かった。逆転の憂き目にあってしまったのだ。野球解説者の言葉のようでもあるが、川柳として読むと「甘い球」は人生街道での油断にも通じる。どんなに順風満帆の人生を歩んでいても、ちょっとした気の緩み(油断)が身を破滅させることがある。

 

人 じいちゃんのスポーツ今日も一万歩/菊人形さん

宮村典子先生 健康維持のために一日に一万歩が提唱されている。日々の散歩での一万歩はなかなか難しいが、これを実行されているとしたら、それはまさにスポーツに値するだろう。素晴(すば)らしい!この句、「じいちゃん」だからスポーツになり「川柳」になった。

 

<入選>

ランニング小さな秋を拾う道/やんちゃんさん

秋の空いわしも速度あげ泳ぐ/汐海岬さん

徒競走しているような秋の雲/比呂ちゃんさん

スポーツの番組つけてごろ寝する/E子さん

三日坊主運動靴のせいにする/ペースかめさん

逆転に一喜一憂してビール/あそかさん

ランナーのようにコースを回る寿司/スランプさん

TOKYOの五輪見るまで死ねません/いさおくんさん

ジグソーパズル脳にスポーツさせてやる/アラレさん

 

宮村典子先生 宮村典子先生

 秋=食欲・スポーツが連想されるが、スポーツは万人には向かないようで、実体験の句が少なかったですね。天・地・人の他にも、雲を擬人化して走らせたり泳がせたり、スポーツはごろ寝してテレビで見るに限るとの本音や、勝負を引き分けにしたい行司の気持ちを代弁したり、回る寿司(すし)をランナーに見立てたり、東京オリンピックに想(おも)いを馳(は)せたり、ジグソーパズルで脳の運動をしたり……と意外な発想があり楽しい選句でした。「スポーツ」の魅力は、運動が得意な人にはもちろん苦手な人にも〈元気〉をメッセージすることだと改めて思いました。

投稿者:NHK津放送局 | 投稿時間:18:50


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