2017年02月24日 (金)【みえDE川柳】 お題:あたたまる
あたたまる話でペンが蝶になる/やんちゃんさん
他に、ペンがあたたまる、ペン先があたたまるという句があったが、この作品はペンが蝶(ちょう)になると表現して意表をついた。
いい話を書きとめようとペンが弾む様子、嬉(うれ)しい話を聞いたペン(わたし)の幸せを蝶に喩えてあたたかい句になった。
書き添える朱墨厳しくあったかい/よもやま話さん
朱墨(しゅずみ)と書いて朱墨(しゅぼく)とも読む。採点や注意書きや訂正などに用いる朱色の墨のことであるが、簡単に言えば赤ペンというところだろう。句の添削場面を思い浮かべた。「全然ダメだなぁ…」と思う作品の添削ほど難しいことはない。
何故(なぜ)なら厳しい添削愛が要るから。でも、その愛で両者があたたまるのである。
雪掘って掘って見つけたふきのとう/雪ちゃんさん
春に期待する特別の何かがあるのだろう。「掘って」の繰り返しが効果的で、春を待ち焦がれている様子がよく伝わってくる。
気持ちが溢(あふ)れていていじらしくなるぐらい、その想いにあたたまる。
<入選>
あたたまるみえDE川柳きく時間/トガクシさん
鍋のふた取ったら湯気のフラダンス/いさおくんさん
あたたまる頃に彼女の降りる駅/加藤当白さん
焚き火から焚き火に走る通学路/福村まことさん
手作りの座布団並ぶ無人駅/だじゃれまんさん
感動のページで栞あたたまる/海峡ちどりさん
二世帯の理想はスープさめる距離/よしじろうさん
孫書いた「平和」の二字にあたたまる/E子さん
あたたかい便座日本は平和だな/うぐいす餅さん
どっぷりと肩までつかる天下り/さだえばあちゃんさん
宮村典子先生
402句を1句ずつ読ませていただく選句の時間が嬉しい。言い得て妙な句、深く頷(うなず)く時事句、感情の籠った句に注目しました。母の愛にあたたまる、孫の可愛(かわい)さにあたたまる、仕舞(しま)い風呂にあたたまる……という句が多くありましたが、それで、どう思ったか、どう感じたか、もう一歩、気持ちの深いところを詠むという苦労が足りなかったかな…という気がしました。苦労は実る……は川柳にも言えると思います。どんどん挑戦してください。
投稿者:NHK津放送局 | 投稿時間:18:50