2016年05月20日 (金)【みえDE川柳】 お題:世界
雨の日はすこし違った世界観/比呂ちゃんさん
私たち庶民は、思想家でも哲学者でもないが、それなりの世界観を持っている。世界観は人生観より大きく、いろいろなもの包含している。しかし、そこは庶民の悲しさ、その時々の気分でどうにでも変わる。その庶民の定まらない世界観を、たった17音でみごとに表現してみせた。「雨の日」もいいが「すこし違った」が絶妙。
神さまのくしゃみで出来たビッグバン/春爺さん
ビッグバンと呼ばれる宇宙誕生の壮大なドラマの発端が、神さまのくしゃみだったとは知らなかった。万物創造の始まりは、神さまの鼻がむずむずして、それを我慢できなかったからだと、作者は教えてくれる。神さまも私たちと同じようにくしゃをなさることも初めて知らされた。くしゃみとビッグバンの取り合わせが見事。
水槽の中がわたしの世界です/五月雨さん
擬人化といって、動物や物を人に擬して表現した川柳は多いが、この句はその反対を詠んだところがお手柄。鯛(たい)だろうか伊勢えびだろうか? はたまた水族館の鮟鱇(あんこう)だろうか? いずれにしても大海からこんな狭い世界に閉じ込められてしまった可哀相(かわいそう)な魚たち。いやいや、ひょっとしたら水槽の中の私は自分のことかも知れない。
<入選>
世界中わっと注目浴びる志摩/アンドブルーさん
日本人ヒトの好(よ)さでは世界一/西井茜雲さん
具沢山世界に誇るお味噌汁/あそかさん
羨ましい君の呑気(のんき)な世界観/麦乃さん
未完成世界平和というパズル/ガターマウスさん
バイトとは違う世界に4月から/半田山々坊さん
タラレバの世界でぼくを慰める/八面太郎さん
蟻(あり)だってきっと持ってる世界観/デコやんさん
世界地図一度国境消してみる/船岡五郎さん
胃カメラで知った私の別世界/加藤当白さん
吉崎柳歩先生
「世界」は比較的作りやすい題だったと思います。自分という存在は「ちっぽけなもの」、それに対して世界は、文字通り大きく広いもの。「世界」以外にも「世界一」や「世界新」「世界中」とか、語彙も豊富です。大きい物と小さい物との取り合わせは川柳になりやすい。入選句は、その取り合わせが他の句より優れていたと言えるでしょう。中でも天地人の各作品は、絶妙の取り合わせだったと言えるでしょう。
投稿者:NHK津放送局 | 投稿時間:18:50