2015年08月28日 (金)【みえDE川柳】 お題:花火
自分史に仕掛け花火をセットする/海ほおずきさん
仕掛け花火は作者の野心でしょうか。自分の一生、こんなものじゃない、まだまだやり残したことがあるし、やりたいこともある。そんな自分を奮起させる起爆剤に「仕掛け花火」をもってきたところがうまいですね。
自分が納得出来る一生にしたいという、前向きな強い意志を感じます。
ああ平和花火がとても美しい/まゆゆさん
さらりとした表現の奥に平和の尊さを訴えている作者がいます。戦後70年の今年の花火だからこそ、作者は特別の感慨を持って「ああ平和」とつぶやいたのでしょう。その想いに深く共感します。願わくは、花火は永遠に咲く平和であって欲しいですね。
花火ショー見せぬとビルの仁王立ち/せいじさん
乱立したビルの谷間からは花火が見えません。邪魔をするビルを、仁王が立ちふさがっているかのようだとは面白い発想です。花火が見えなくなるほどビルが多くなった街は立派でもつまらないですよね。
<入選>
甲子園に津商ナインの大花火/水たまりさん
儚(はかな)さを抱いて夜空に咲くティアラ/火花さん
美しい花火を上げて過去を消す/久実さん
「生き過ぎた」「でも死ねないね」花火見る/B子さん
夏祭り花火に届けかたぐるま/ゆめこさん
町の灯を消して花火が盛り上がる/中村恵さん
一発で憂さを晴らした大花火/正司(まさし)さん
大花火果てて心の闇を増す/相模秋茜さん
大花火スマホに入れて持ち帰る/たまきさん
好きだからネズミ花火で狙い撃ち/金平糖さん
宮村典子先生
時期的にピッタリの課題で、どんな花火が出現するだろうと楽しみでしたが、遠花火・線香花火・大花火の句が圧倒的に多く、同想句が並びました。そんな中で、意外性のある句、また、当たり前のことをうまく表現しているな…という句を入選にしました。毎月の課題から、時事、人情、ユーモアへと発想を広げて、鋭く、優しく、楽しい川柳に挑戦してくださいね。もちろん、どんな句にも作者の気持ちが込められていることが大事です。「川柳は人間」ですから。
投稿者:NHK津放送局 | 投稿時間:18:50