"コロナきっかけ"AKB48と高校生がMVでコラボ!
人気アイドルグループ「AKB48」のニューシングル『根も葉もRumor』。このミュージックビデオで、メンバーと共演しているのが、“ダンス強豪校”三重高校ダンス部の部員たちです。
出演のきっかけは、なんと新型コロナウイルスの感染拡大にあったといいます。“奇跡のコラボ”を果たした理由とは?共演した部員の思いに迫ります。
(津放送局 村木麻衣ディレクター)
本当なん?奇跡のコラボ
「自分たちがAKB48さんとコラボするっていうのが普通ではありえない貴重なこと。いろいろな人から『すごいな!』とか『本当なん?』と驚かれました」
そう語るのは三重県松阪市にある三重高校の3年生でダンス部のキャプテンを務める柳瀬綺心(あやみ)さんです。
三重高校ダンス部『SERIOUS FLAVOR』は全国大会で準優勝したこともある強豪。今回、部内からオーディションで選ばれた80人がAKB48のニューシングル『根も葉もRumor』のミュージックビデオに出演しました。
激しい動きが特徴のロックダンスですが、なかでも圧巻なのがサビの部分で披露される『ウィッチウェイ』。両足を交互に上げる動きが特徴で、人数も相まって見た人に圧倒的な印象を残します。
コロナ禍に「今できることを!」
コラボのきっかけは、ある1本の動画でした。
去年、新型コロナウイルスの影響でなかなか集まることができずにいた部員たち。そうした中でも、顧問の神田橋純さんがオンラインで指導を続けるなど、新しい形での部活動を模索していました。
「今できることをやろう!」
そう考えた部員たちは、それぞれの自宅でダンスを撮影し、それを1つにまとめて編集した動画をユーチューブで公開しました。
キレのあるダンスに加え、トランプをしたりジャグリングをしたり、お気に入りのぬいぐるみが登場することも。部員ひとりひとりの個性が詰まったダンス動画は、ネット上であっという間に話題となりました。
まさかの秋元康さんからのオファー
この動画が音楽プロデューサーの秋元康さんの目に留まり、神田橋さんの元に連絡がありました。
「部員のほとんどが部活動で初めてダンスをやりだしたという点を評価してもらったみたいです。『初心者にダンスを教えるのが得意な先生がいると聞いたけれど、AKB48の子たちにもダンスを教えてくれないか』って連絡があって」
まさかの依頼に最初は驚きを隠せなかったという神田橋さん。「根も葉もRumor」の振り付けを考えて、さらにAKB48へのダンス指導を担当することになりました。
そして、部員たちもミュージックビデオに出演することになりました。
練習期間はわずか1か月…
振り付けが完成したのは6月でしたが、撮影は7月に決まっていたので、練習期間はわずか1か月。コロナ禍での活動制限や、夏の全国大会の練習などで、1日に確保できる時間は30分程度しかありませんでした。
それでも部員たちは部活以外の空いた時間に自主的に練習に励み、あっという間にマスターしていったといいます。
「テンポが速いので、それに振りを合わせていくのが大変でした。そして何より、何十人と大勢で踊るので、振りを合わせるのも難しかったですね」(柳瀬さん)
そして迎えた撮影当日。静岡県伊東市の学校に、AKB48のメンバーと、部員80人が集まりました。
分からないことだらけで緊張するときもあったものの、いざ撮影が始まってみると、自然と体が動いていったという部員たち。AKB48のメンバーのミュージックビデオへの熱意に、「自分たちも頑張ろう!」とやる気が出てきたと話します。
コロナを越えた先に…“プロから学んだこと”
「コロナ禍で色々できないことがあって悔しい思いをしました。でも、辛いときでもそれに負けずに『自分たちができること』を考えながらやってきたことで、前より強くなったと思っています。それを活かして出演したミュージックビデオなので、地域の人にも全国の人にも、自分たちのダンスを見て元気になってもらいたいです」
そう力強く語った柳瀬さん。AKB48という“プロのアイドル”の魅せるダンスを間近で見て、一緒に踊ったことが、彼女たちを大きく成長させたことがうかがえました。
来年3月には自主公演も予定。コロナ禍の“奇跡のコラボ”の経験を糧に、前を向いて活動を続けます。