2020年12月25日

【みえDE川柳】 お題:掃除

天 計画は完璧だった大掃除/かぐや姫さん

橋倉久美子先生 思わず笑ってしまった句。「計画は完璧だった」と言うのだから、実際がどうであったかは言わなくてもわかる。
 朝から晩まで、分刻みのスケジュールを立てたのだろうか。それとも、今週は台所、来週は居間というように、週末ごとに区画を分けて掃除する予定だったのだろうか。いずれにせよ、よほど意志の固い人ならともかく、たいていの人にとって綿密過ぎる計画はかえって失敗のもとなのである。
 軽く述べられた「こと」から、事実や気持ちを想像させられる句である

 

地 大掃除終えて夕陽に褒められる/汐海 岬さん

橋倉久美子先生 天の句が大掃除に失敗(?)したのに対し、こちらは充実感にあふれた句である。掃除日和の晴天の日、おそらくは家族みんなで、朝から夕方までしっかり大掃除にいそしんだのだろう。達成感、満足感、すがすがしさといったものが、「夕陽に褒められる」という言葉でうまく表現されていて、きれいになった家を赤々と照らす夕陽まで見えてきそうである。
 どことなく昭和を感じるのは、現在よりも家族全員で大掃除を初めとする季節の行事を行うことが多かったからだろうか。

人 耳掃除毎日やって叱られる/羽馬愚朗さん

橋倉久美子先生 耳掃除は気持ちのいいものだが、外耳道を傷つけるおそれもあるのでやりすぎは禁物、むしろしなくてもいい行為なのだそうだ。この句を読んで「だれに叱られるのだろう?」と疑問に思ったのだが、耳鼻科に行かない限り医者に叱られることはないので、そういう知識を持った家族に叱られるのだろうか。
 はっきり言っているわけではないが、この句からコロナとの関連も感じた。在宅時間が増え、手持ち無沙汰でつい耳掃除をしてしまうのではないか。叱られない程度に、ほどほどにしておきましょう。

 

<入選>

念入りに取っ手も拭いて大掃除/あさか舞さん

退屈と言ったばかりに風呂掃除/西井茜雲さん

片付けてからにしてよと掃除ロボ/ゆきちさん

お身拭いされて仏像嬉しそう/ホッと射てさん

口開けてお掃除を待つ歯科の椅子/水たまりさん

耳掃除余分なことも聞こえそう/谷てる子さん

冷蔵庫の掃除も担う食べ盛り/福村まことさん

塩っぱいなと呟く土俵掃く箒/青い鳥さん

お掃除のおまけが付いた仕舞い風呂/やんちゃんさん

今日は雨だから掃除はまた明日/猫原えみさん

 

橋倉久美子先生 橋倉久美子先生

 419句いただきました。時節柄大掃除の句がたくさんありましたが、部屋・家や庭はもちろん、耳・歯・腹・心など自分自身、お墓、変わったところではドラえもんのポケット、壮大なものでは政界や地球まで、さまざまなところを掃除していただき、楽しく選をしました。
 中8、下6の句が少なくなったようで、うれしく思います。「口語で、5・7・5のリズムに乗せる」ことは、川柳の基本です。またそのような句は、一読したときすんなりと心に入ってくるし、記憶にも残りやすいものです。
 暮らしの中でのちょっとした気づき、誰もが思うけれどまだ誰も言っていないようなことを、5・7・5にできるといいなあと、私自身もいつも思っています。

投稿者:NHK津放送局 | 投稿時間:18:50 | 過去の入選作 |   | 固定リンク


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