【みえDE川柳】 お題:ボーナス
ボーナスの語源はきっとシャボン玉/ムギさん
お日さまに当るとしゃぼん玉は、とても美しい色彩を見せて喜ばせてくれるのだけど、あれ、あれってすぐに消えてしまう。で、はかないものの喩(たと)えに使われるが、この句はボーナスに重ねて妙。ちなみにボーナスの語源はラテン語の「ボヌス」で「良い」という意味らしいが、開き直りのように「語源」「きっと」を持ってきて明るく愚痴ってみせる。発想の勝利。
留守電に寒くないかと母の声/比呂ちゃんさん
母の声には多額のボーナスの魅力に負けない力がある。温かい「母性愛」という力である。仕事を終え、冷え切(き)って帰宅した作者にとって「寒くないか」の母の声は最高のボーナスだったに違いない。そして、それをボーナスだと捉えた作者の心の温かさ。心の通じ合える親子関係に、胸がジンと熱くなった。素敵(すてき)なボーナスをありがとう。
デパートがこんなに広いボーナス日/福村まことさん
普段(ふだん)は、目指す商品の売り場へ一直線。そして一直線に帰宅という、ちょっぴり寂(さみ)しいデパートなのだが、ボーナスが出た今日は違う。ゆっくり歩いてみる。広い、広い、デパートってこんなにも広かった? そんなことに気付くだけでも嬉(うれ)しいのである。
「こんなに広い」という着想に庶民の哀愁が漂う。
<入選>
本物のビールが2本ボーナス日/ゆずきちゃんさん
賞与でて百円ショップで大人買い/茶唄鼓(チャカドン)さん
人生のボーナスだろう孫五人/おでんさん
和ませるこの一粒の飴玉が/E子さん
ボーナス日家族の笑顔買いに行く/やんちゃんさん
初めての賞与母さんありがとう/かぐや姫さん
回らない寿司食べられるボーナス日/フーマーさん
暗算が冴えるボーナス支給前/汐海岬さん
通帳に痕跡だけはある賞与/金子鋭一さん
ボーナスで決まるサンタのスケジュール/あそかさん
宮村典子先生
今年もいよいよ終りに近づきました。今月は、12月にピッタリの課題「ボーナス」で、379句の投句をいただきましたが、予想通り、ボーナスからの発想は皆さん同じでしたね。そんな中で、いわゆるマネー(お金)でないところにボーナスを見つけたり、ボーナスをユニークに使ったりした意外な発想の作品を入選としました。庶民にとってのボーナスは嬉しくて切ないものだと改めて思いました。みえDE川柳が皆さんの心のボーナスになりますように……。