2017年6月30日

【みえDE川柳】 お題:誓い

天 反戦を誓って歌う子守唄/ロッカマイベイビーさん

宮村典子先生 戦後72年の平和の先に、きな臭い空気が漂ってきているような気がして仕方(しかた)がない。しかし、国民の不安はなかなか国政に届かない。「子守唄」は、たまらない気持で平和を念じる祈りの歌なのである。国を先導する偉い方々に、この祈りの歌が届きますように。

 

地 軽石とシーソーしてる俺の意志/銅男さん

宮村典子先生 自己主張が出来なくて、他人の意見にすぐに同調してしまう自分は、まるで軽石ぐらいの存在だと自嘲しているのである。それを「軽石とシーソーしてる」とした表現の意外さに注目。「石」と「意志」が、発音的には「いし」になり、ごろ合わせのようでもあるが人間臭のある内容を優先した。

 

人 げんまんの針千本がまずは嘘/夜半亭あぶらー虫さん

宮村典子先生 この世は全て嘘(うそ)で成り立っていると思った方が身の為(ため)であるということだろうか。何事もまずは疑ってかかれ…と冷めた眼(め)で世の中を見ている作者を感じるし、「まずは嘘」に実際、そうかも知れないナ…と思わされる。
 しかし、突き放し、諦め、悟ったようなその想(おも)いの底に、それでも果たされない約束(誓い)を信じたいという人間的な感情が流れている気がする。

 

<入選>

選手宣誓千人分の声でする/デコやんさん

誓約に便利な消せるボールペン/颯爽さん

禁煙を患者にだけは誓わせる/さだえばあちゃんさん

花束の真っ赤な薔薇にある誓い/夏羽さん

千年の先にも君を愛します/いさおくんさん

若き日の誓いアイロンかけ直す/汐海岬さん

誓いなど何一つない軽い靴/てんじょうさん

誓っても誓わなくてもこの結果/にったみささん

いつまでも心に咲いている誓い/まゆゆさん

初心などとうに忘れた草の丈/比呂ちゃんさん

 

宮村典子先生 宮村典子先生

 「誓い」という課題は作り易(やす)い分、簡単な、第一発想的な句が多かった気がします。基本的に第一発想は捨ててくださいね。
 「上手(うま)いこと表現しているな」「この句からは人間の臭いがするな」と思いながら選をしています。特に、天の句は、私の心に強く響きました。人間を生きる人が詠んだ不滅の社会吟だと思います。地の句、人の句は「誓い」を詠み込まずに誓いを表現して印象の深い句です。課題を頭に入れておくと、日常生活の中でふと思ったこと感じたことに結びつくことがあります。川柳は暮らしの中にあるということを信じてください。

投稿者:NHK津放送局 | 投稿時間:18:50 | 過去の入選作 |   | 固定リンク


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