【みえDE川柳】 お題:わくわく
行き先はこれから決める自由席/颯爽さん
ミステリーツアーというのもわくわくするだろうが、この旅はまったくの一人旅。何ものにも束縛されず、まるっきり自由なのだ。わくわくしない筈(はず)がない。「自由席」は必ずしも「指定席」に対するものに限らない。行き先も交通機関も宿泊地も、すべて自由という意味での「自由席」なのだ。作者は、おそらく旅慣れた人でしょう。
お互いに早く来すぎる初デート/福村まことさん
う~ん、統計は取られてないだろうけど、おそらくこの句の通りでしょう。初デートから遅刻すると心象を悪くするのは必定。遅刻の常習者だって早めに来るに違いない。この句は作者の若い頃を思い出して詠まれた句かも。しかし、双方が早く来すぎても時間差はあるはず。たぶん、作者の方がずっと早く来られたのでしょう。
わくわくとだけはしました宝くじ/お~寒さん
橋本征一路という人の句に「運のない人で成り立つ宝くじ」という句があります。宝くじの句はたくさん詠まれています。宝くじには人々の期待や思いが凝縮されているからでしょう。しかし、ほとんどの人は「運のない人」で終わっています。
この句の頭の部分、「わくわくとだけは」が全てを言い表して秀逸です。
<入選>
何を詰めようカラフルなランドセル/水たまりさん
キッチンに小さな椅子が増える春/やんちゃんさん
ハートマークもしやと思うメール来る/草かんむりさん
菜の花色のブラウスで行く初デート/あそかさん
いい月だ今日は告白されそうだ/沢田まさしさん
合格の知らせ一足飛びに春/さくら餅さん
わくわくはせぬ初めての内視鏡/アラレさん
わくわく感あるうちは行くクラス会/にったみささん
錆びついた頭を磨く孫が来る/よもやま話さん
わくわくして見落としていた落とし穴/鶏冠さん
吉崎柳歩先生
「わくわく」という擬態語の珍しいお題でした。「どきどき」に似ていますが、より「期待感や喜び」のイメージが強いですね。前句付けの要領で「楽しみなこと楽しみなこと」と前句を仮定すると詠みやすかったかも。だが、「作りすぎ」はいけません。実生活や実体験から探してくると、リアリティのある楽しい作品が生まれたでしょう。そんな作品を入選句に頂きました。