2016年11月

【みえDE川柳】 お題:気合い

天 曲がらないように気合を入れるエビ/霜月さん

吉崎先生 これは海老(えび)の天ぷらの調理法ではない。エビ自身が、これ以上曲がらないように背を伸ばしていることを詠んでいる。つまり、このエビは作者自身。油断していると背や腰が曲がってしまう老いの坂。ときどきは気合いを入れて、ラジオ体操や上体そらしを敢行しているのだ。擬人法の反対で擬物法と言えるだろう。

 

地 長生きの秘けつは気合い入れぬこと/よしじろうさん

吉崎先生 説得力のある川柳。長生きをされている方にその秘訣(ひけつ)を伺うと、早寝早起き、よく噛(か)んで食べる、お酒は適量に、くよくよしない、腹を立てない、などの答えが一般的。
 しかし、この方は「気合いを入れないこと」とおっしゃる。つまり、常に自然体であれとのご託宣。現に長生きをして人生を楽しんでいる方の作品だろう。

 

人 とりあえずハチマキだけは巻いて見せ/汐海岬さん

吉崎先生 ハチマキは気合いを入れるときに頭に巻くもの。作者は、配偶者か上司に「そろそろ本気になったら?」とネジを巻かれたのかも知れない。立場上逆らうわけにも行かず、やる気を見せておかねばならない。そこでハチマキを巻いて見せた。「とりあえず」で、まだ本気でないことが窺(うかが)われる。「とりあえず」に、とぼけた味があります。

 

<入選>

中学生八十路に気合負けしてる/E子さん

履歴書に気合いを入れた楷書体/草かんむりさん

気合い抑えて面接室をノックする/福笑いさん

店頭にならぶ新刊書の気合い/比呂ちゃんさん

缶ビール開けるときにもいる気合い/アラレさん

三重に降る初雪気合い入れてくる/スミレの花束さん

しっかりと気合いを入れて買う野菜/ゆきちさん

ポイントが5倍に妻の勇む足/スランプさん

児童より気合いの入る保護者席/加藤当白さん

大掃除気合いのタクト振り下ろす/麦乃さん

 

吉崎先生 吉崎柳歩先生

 どんな時に気合いを入れるか? やはり、勝負、受験、仕事、化粧、見合いなどが多かったようです。それらが悪いわけではありませんが、もう一歩踏み込んだところを詠めば独自性が出てくるでしょう。相撲なら睨(にら)み合い、仕事ならレスキュー隊など、見合いなら頭のてっぺんから足のつま先まで、句材を探してみましょう。そこに何らかの発見があり、それをうまく575にできたら入選間違いなしです。

投稿者:みえ~るくん | 投稿時間:18:50 | 過去の入選作 |   | 固定リンク


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