2016年1月

【みえDE川柳】 お題:招く

天 招かざる客と語っている背中/みぢんこさん

吉崎先生 招かざる客とは、あまり来て欲しくなかった客ということ。たぶん、一家言のある人で、下手に扱うと面倒なことになる人なのかも知れない。相づちを打ちながら当人と語っている主催者側の一人の背中に、その苦慮がうかがいとれるのだ。主催者の微妙な心理を描写した好句。

 

地 招く側にも最前列にする理由/流星さん

吉崎先生 「招く側にも」と「にも」が付いているのは、招かれた側も最前列のほうが居心地がいいということ。招かれた人は招かれた立場上、主催者以外の人々と軽々に話をしないほうがいい。また主催者側も、招いた人を紹介するにも、壇上に上がっていただくにも、最前列のほうが都合がいい。川柳の大会でも言えることだ。

 

人 招かれて今日一日をフイにする/比呂ちゃんさん

吉崎先生 「フイにする」とは無駄になること。作者はきっと毎日を有意義に過ごそうと思っているのだろう。しかし、せっかく招かれたのだからと、義理もあって出席したのだが、あまり楽しいものでもなかった。こんなことなら断ればよかった、と後悔している気持ちを、無駄のない17音でうまく表現している。

 

<入選>

サミットに両手を上げる招き猫/志摩ちゃんさん

お伊勢様世界平和も頼みます/ゆめかさん

福相のばあちゃんうちの招き猫/よっこりんさん

招いても昼寝ばかりの福の神/しょうたろうさん

千手観音の手招きだけは断れぬ/木村行吉さん

受付はロボットがするおもてなし/颯爽さん

善い人になれよと招く募金箱/デコやんさん

招かれざる客にならぬか自問する/春爺さん

招かれて座った椅子が固すぎる/アラレさん

ええとこやに招待状は伊勢弁で/しだれ梅さん

 

吉崎先生 吉崎柳歩先生

 「招く」のように、生活に密着した動詞の題は作りやすいかも知れません。しかし、入選に及ばなかった句には、頭の中で組み立てたような安易な句が多かったように思います。
 選者や読者の共感を得るには、「招く」「招かれる」をテーマに、ご自分の体験を総ざらいしてみて、何らかの感動や発見、疑問など強い思いを抱いた「こと」を探して、その「こと」を575で表現されるといいでしょう。それが実感句となり、力を持つのです。

投稿者:みえ~るくん | 投稿時間:18:50 | 過去の入選作 |   | 固定リンク


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