2015年10月

【みえDE川柳】 お題:味

天 イタダキマス世界遺産は母の味/かぐや姫さん

宮村典子先生 誰にとっても母の味こそが最高の味、永遠の味と言えましょう。それを「世界遺産」と表現した作者に脱帽です。「イタダキマス」と上五を片仮名にしたのも意外性を醸し出しています。表記の方法も句を成功させる大事なところですからね。

 

地 賞味期限捨てる決まりは書いてない/samuさん

宮村典子先生 なるほど、うまいこと言いますネ。消費期限と違って、賞味期限は、記載の日付を過ぎると味は落ちますが(食べられます……)ということでしょうが、確かにその先いつ頃には腐敗しますとは書いてありません。作者は「そこが書いてないじゃないか」「書かなくていいの?」と問題提起をしています。消費者問題ですね。

 

人 失敗もおんなじ味の目玉焼き/アンドブルーさん

宮村典子先生 目玉焼きって一番簡単な料理のように思われていますが、これがなかなかうまくいかない場合が多いのです。簡単だからというので卵の扱いが雑になり「ああ、しまった…」ということに。形が崩れても味に変わりはないという発想から、人間は中身が大事…、ちょっとした失敗なんか気にしない方がよい…との思いがくみ取れます。

 

<入選>

御在所の味をむすびで食べつくす/デコやんさん

おにぎりの隠し味です青空は/美実さん

口コミが列を作らす隠し味/正司(まさし)さん

便利さを食べて忘れる母の味/ほろ酔いさん

サバイバル料理に子から星三つ/ゆきよしさん

大家族の味忘れないおでん鍋/神無月さん

人間味加え頼れる介護ロボ/颯爽さん

味付けはしない小さな正義感/比呂ちゃんさん

ウン十年漬け込みやっと夫婦味/内須みどるさん

辛酸を舐(な)めた湯飲みは燻(いぶ)し銀/C子さん

 

宮村典子先生 宮村典子先生

366句の投句をいただきありがとうございました。1句ずつ大切に拝見させていただきましたが、「母の味」が圧倒的に多かったですね。秋の味としては、まつたけ、くり、さんま等の句がありましたが、いずれも推敲不足の感があり残念でした。また、気になったのは「夏季過ぎて柿とカキの味くらべ」「アジフライ今日は金曜フライディ」と、語呂合わせの句があったことです。川柳は語呂合わせではありません。「人間を詠む五七五の文芸」としての川柳を大切にしたいと思います。課題から連想する自分の思い(気持ち)を五七五に込めて詠んでください……。それが川柳です。

投稿者:NHK津放送局 | 投稿時間:18:50 | 過去の入選作 |   | 固定リンク


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