【みえDE川柳】 お題:味
イタダキマス世界遺産は母の味/かぐや姫さん
誰にとっても母の味こそが最高の味、永遠の味と言えましょう。それを「世界遺産」と表現した作者に脱帽です。「イタダキマス」と上五を片仮名にしたのも意外性を醸し出しています。表記の方法も句を成功させる大事なところですからね。
賞味期限捨てる決まりは書いてない/samuさん
なるほど、うまいこと言いますネ。消費期限と違って、賞味期限は、記載の日付を過ぎると味は落ちますが(食べられます……)ということでしょうが、確かにその先いつ頃には腐敗しますとは書いてありません。作者は「そこが書いてないじゃないか」「書かなくていいの?」と問題提起をしています。消費者問題ですね。
失敗もおんなじ味の目玉焼き/アンドブルーさん
目玉焼きって一番簡単な料理のように思われていますが、これがなかなかうまくいかない場合が多いのです。簡単だからというので卵の扱いが雑になり「ああ、しまった…」ということに。形が崩れても味に変わりはないという発想から、人間は中身が大事…、ちょっとした失敗なんか気にしない方がよい…との思いがくみ取れます。
<入選>
御在所の味をむすびで食べつくす/デコやんさん
おにぎりの隠し味です青空は/美実さん
口コミが列を作らす隠し味/正司(まさし)さん
便利さを食べて忘れる母の味/ほろ酔いさん
サバイバル料理に子から星三つ/ゆきよしさん
大家族の味忘れないおでん鍋/神無月さん
人間味加え頼れる介護ロボ/颯爽さん
味付けはしない小さな正義感/比呂ちゃんさん
ウン十年漬け込みやっと夫婦味/内須みどるさん
辛酸を舐(な)めた湯飲みは燻(いぶ)し銀/C子さん
宮村典子先生
366句の投句をいただきありがとうございました。1句ずつ大切に拝見させていただきましたが、「母の味」が圧倒的に多かったですね。秋の味としては、まつたけ、くり、さんま等の句がありましたが、いずれも推敲不足の感があり残念でした。また、気になったのは「夏季過ぎて柿とカキの味くらべ」「アジフライ今日は金曜フライディ」と、語呂合わせの句があったことです。川柳は語呂合わせではありません。「人間を詠む五七五の文芸」としての川柳を大切にしたいと思います。課題から連想する自分の思い(気持ち)を五七五に込めて詠んでください……。それが川柳です。