【みえDE川柳】 お題:島
風船を付けると島が持ち上がる/比呂ちゃんさん
「本当のようなうそ」もまた川柳の真骨頂です。ちっぽけな島でも風船ぐらいで浮き上がるわけがない。そんなことは誰が考えても分かる。そうするとこの島は「架空の島」だということが分かる。「ひょっこりひょうたん島」かも知れないし、作者だけの思い入れのある島かも知れない。いずれにしても、誰も思いつかない「風船で持ち上がる島」に作者独自の着想があって感心しました。
人情にほだされ島の人となる/つれづれさん
左遷か島流しか、はたまた気楽な一人旅かは分からないが、しばらく島の生活をすることになったのだろう。都会とは違って人を疑うことを知らない島の人々。その人情にほだされて、この島に永住することになった。一編の小説でも書けそうな一句。「人情にほだされ」が、ほのぼのしていいですね。
夫とは行きたくはない無人島/あーさままさん
川柳らしいとっても愉快な句。もしこれが女性の句なら、おそらく本音だろう。と言っても本音のすべてではない。こういう気持ちもちょっぴりある、ということ。川柳は、こういう形で本音の一端を披露できる文芸です。もしこれが男性の句なら、「妻はこう思っているんだろうな」という、とても謙虚な句です。
<入選>
無人島自足自給の夢を見る/翔のんまなさん
冗舌(じょうぜつ)家の僕には住めぬ無人島/ポストさん
日焼け止め不用私は島育ち/C子さん
信号は学習用にある離島/福笑いさん
地球儀に有るか無しかの島に住み/samuさん
領海がもれなくついてくる小島/アラレさん
断捨離をしすぎ孤島にいるようだ/夏実さん
忠敬もてこずったろう島の数/加藤当白さん
婚活もありと聞かされ島巡り/崖っぷちさん
サミットに離れ小島も美しい/半田山々坊さん
吉崎柳歩先生
来年5月には伊勢志摩サミットが開かれます。主会場、賢島はじめ、英虞湾は無数の島々が浮かぶ風光明美な場所。その「サミット」を読み込んだ句が多かったのは当然ですが、ただサミットと島々を並べただけの句が多かったように思います。入選句のように、あなた独自の思いなり見解を詠んで欲しかった。また、「取り付く島がない」という慣用句を使った句も多かった。「慣用句の力」に頼らず、あなたのこれまでの人生と生活から見つけた島を詠まれると、入選の可能性が広がったでしょう。