2015年4月24日

【みえDE川柳】 お題:新しい

天 落書きがしたくなるほど新しい/アラレさん

宮村典子先生 完璧なものに対すると壊したくなる、美し過ぎるものに対すると汚したくなる……誰にでも、このような少しゆがんだ、反逆の感情というものが心理の根底にあるような気がする。挑戦の視点でもあろうか。この句はさらりと言いながら、まさに人間の本質を突いている。秀逸の天である。

 

地 ていねいに書きます新しいノート/田川士郎さん

宮村典子先生 当たり前のことを言っているようだがそうではない。この句の「ていねい」「新しいノート」は、普段の生活態度の全てに当てはまる気がする。何でも、どんなことをするのも、最初はとてもていねいに使ったり取り組んだりするのだが、そのうちに、慣れたり飽きたりするとどちらも乱雑になってしまう。作者は、今から始める新しいことを前にして改めて、「ていねい」な気持ちで取り組むことを自分に言い聞かせているようだ。意識して生活することの大切さを思う。

 

人 新しい眼鏡が曇る消費税/一人静さん

宮村典子先生 消費税が2014年4月から8%になった。いくら必要税だと説明されても、増税により我々の暮し向きは苦しくなった。どんなに気分を一新しても、この先の生活に不安を感じるばかり……。2017年には10%に引き上げられるらしい消費税を思うと新しい眼鏡も曇るというものだ。庶民の憂いを吐いた時事句として妙。

 

<入選>

真っ新(まっさら)なこころを背負うランドセル/こはくさん

新人類初出勤は親連れて/あさか舞さん

新社員鈍感力はすでにある/samuさん

左遷でも地酒が美味(うま)い新天地/極楽トンボさん

新年度わたしも脱皮しなくては/相模秋茜さん

水たまりまたいで走りたい新車/お~寒さん

新しい道で無口な中古ナビ/春うららさん

新品にするため光るまで磨く/B子さん

新しいうわさは直ぐに売り切れる/桜草さん

新しい地名になった過疎の村/零れ種さん

 

宮村典子先生 宮村典子先生

今月(新年度)から、入選が13句になりました。ちょっとうれしいですね。毎月のように言っていますが、課題に対してどんな視点から詠むかという姿勢がとても大事です。今月も、「ピカピカのランドセル」「1年生」など安易な発想の句が多く、又、技巧に走り過ぎて意味不明な句もありました。分かりすぎてもダメで、分からない句もダメなら、どんな句を書けばよいのでしょう?読む人(聞く人)に大きな(深い)共鳴を得られる句を目指していただけたら……と思います。簡単そうで難しい川柳ですがどんどんチャレンジしてくださいね。

投稿者:NHK津放送局 | 投稿時間:18:50 | 過去の入選作 |   | 固定リンク


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