【みえDE川柳】 お題:食べる
太陽をゆっくり食べる地平線/高節さん
「太陽を食べる」という発想がすてきですね。意外なものを食べて大成功です。地平線に沈んでゆく夕陽を見ながら、これから先のことに思いを巡らしている作者の姿が目に浮かびます。「この先の人生をゆっくり生きていきたい」という思いが句の後ろに感じられます。上手な句です。
弁当をきちんと食べる反抗期/極楽トンボさん
反抗期の子供は、何を言っても「うるさい!」で返してきます。それでも朝になると何事もなかったようにお弁当を作る母親、そして弁当箱を空にして帰ってくる子供。お弁当でつなぐ絆を信じる母性愛が胸に響いてきます。『お母さん、子供の反抗期が始まったら、お弁当を作ってあげましょう!』そんなことを教えてくれるような句です。
チョコレートここが我慢のダイエット/鬼ころしさん
2月14日のバレンタインデーには、私も、息子がもらってきた義理チョコを、3箱ぐらい食べてしまいました。
カロリーの高いチョコレートはダイエットの天敵なのに、目の前に置かれると食べてしまうという根性無しです。
「ここが我慢の」が効いていて説得力があります。続行!ダイエットですね。
<入選>
恋わずらい食べてるうちは大丈夫/草野たえさん
食べごろの私に誰も気づかない/たまきさん
山盛りの愛ですたんと召し上がれ/岡本恵さん
恋文を食べてポストの赤い顔/すずらんさん
食べ尽くすのは不可能なイチゴ狩り/アラレさん
足だけを食べ放題にされる蟹(かに)/流星さん
同じ釜の飯を食ってもつく格差/マイクさん
宮村典子先生
「食べる」という課題は、作りやすかったようですね。その分、同想句がたくさんありました。いわゆる「食べられるものを食べる」という発想ですと、食べ方の工夫やひねりが必要になります。「食べられないものを食べる」という発想に持っていくと意外性のある作品になります。そして、どちらも表現の方法が鍵です。入選句を参考にしてくださいね。