【みえDE川柳】 お題:焼く
点火して秋を焼いてる彼岸花/ジュンペーさん
9月に入ると彼岸花がぼちぼち咲いてくる。そしてそれはまもなく、田畑や堤防ののり面などを真っ赤に染めていく。その「ぼちぼち」と「一面に咲く様」を「点火して秋を焼いてる」と詠んだ作者の感性が素晴らしい。
夕焼けを引っぱっている赤トンボ/高節(こうせつ)さん
正式名称は「アキアカネ」。夏には御在所の山頂でも見られる。秋になると平地に降りてきて群れて飛ぶ。空中でホバリングしていたかと思うと、ツツーっと水平移動したりする。その様子を「夕焼けを引っぱる」と表現したのは見事。
ラブレター焼かずに全部取ってある/木村伝之介さん
たぶん女性が詠まれた作品。もうお孫さんもいらっしゃる奥さんかも知れない。結婚する前に今の御主人からもらったラブレターなんだろう。「全部取ってある」に今の幸せな結婚生活がうかがわれる。それとも、他の人のラブレター?
<入選>
バーベキュー月に見とれて焦げた肉/月子さん
七輪で焼いたサンマは高級魚/BBブンゴさん
焼き蛤殿も美味だとかぶりつく/桑名出のちづちゃんさん
焼かれたらゴメンなさいをするスルメ/デコやんさん
あ美しく焼くトーストもジェラシーも/こはくさん
ときめいて胸を焦がしただけの恋/エブリィ・ベアーさん
急げ急げ火勢と競う消防車/一寸法師さん
吉崎柳歩先生
焼き餅を焼く、恋に身を焼く場合は「焼く」でいいが、単に嫉妬する、妬む場合なら「妬く」と書くべきで、題の意味には外れる。ちなみに「焼く」は他動詞、「妬く」は自動詞。
同じ発想の句を、少し表現を変えて何句も出される方があるがもったいない。よく考えて(推こうして)一つに絞ろう。そして違う発想の句を、それもよく推こうして出されたほうが、入選の可能性はぐんと高くなるでしょう。