5月28日放送

「テロ等準備罪」とは

「共謀罪」の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する法案は、
テロ組織や暴力団などの組織的犯罪集団が、
ハイジャックや薬物の密輸入など、重大な犯罪を計画し、
メンバーの誰かが犯罪の準備行為を行った場合、
計画した全員を処罰の対象にするとしています。


「テロ等準備罪」は必要か否か

政府は、国会での議論などで、現在の法制度のもとでは適切に対処できず、
「テロ等準備罪」の新設を必要とする具体的なケースを挙げています。
その1つが、テロ組織が、飛行機を乗っ取って高層ビルに突入するテロを計画し、
メンバーの1人が、航空機のチケットを予約したケース。
また、テロ組織が、殺傷能力の高い化学薬品を製造して
大量殺人を行うことを計画し、原料の一部を入手したケースなどです。
こうしたケースについて、民進党などは、現在の法制度のもとでも、対処できると指摘しています。



また、政府が、「テロ等準備罪」新設の理由として、繰り返し説明しているのが、
2000年に国連総会で採択された「国際組織犯罪防止条約」、通称「TOC条約」の締結です。
この条約は、現在、187の国と地域が締結していて、
締結した国の間では、犯罪人の引き渡しがよりスムーズになるほか
国際的な捜査協力が進めやすくなるとされていますが、
締結の条件として、
重大な犯罪を実行することで合意した場合などの処罰を可能とする法整備が求められています。
このため、政府は、条約締結には「テロ等準備罪」の新設が欠かせないとしていますが、
民進党などは、現状のままでも締結できるとしています。


一般の人への影響は

「テロ等準備罪」の新設により、一般の人への影響があるかどうかをめぐって、
民進党や共産党などは、「捜査機関の恣意的な判断により、一般市民も対象になりかねない」としています。
こうした指摘に対し、政府は、かつての「共謀罪」法案では、「団体」としていた対象を、
今回は、「組織的犯罪集団」とした点を強調。
安倍総理大臣は、
「対象団体は、組織的犯罪集団に限定されており、
市民団体や一般の人が対象となることはない」と述べています。



この「組織的犯罪集団」とは、何を指すのか。
法案では、テロ組織や暴力団、薬物密売組織など、
「一定の犯罪の実行を目的とする集団」とされています。
また、政府は、正当な目的を持った一般の団体であっても、
「一定の犯罪を目的にした集団」に一変した場合は、
「組織的犯罪集団」に認定される可能性があると説明しています。

一方、法案審議では、憲法が保障する「内心の自由」、
つまり、心のうちで何を思うかの自由への影響についても、議論が交わされました。
民進党などは、法案によって、「内心の自由を侵害する可能性が極めて高い」と指摘。
金田法務大臣は、「犯罪の計画に加えて、準備行為があって初めて処罰の対象とすることで、
内心や思想・良心を処罰するものではない」としています。


5月21日放送

「北朝鮮 “新型”ミサイル発射について」

北朝鮮による弾道ミサイル発射から1週間、分析が進んでいます。
北朝鮮は14日、北西部クソン付近からミサイル1発を発射し、
およそ800キロ飛んで日本海に落下しました。
北朝鮮の国営メディアは、新型の中距離弾道ミサイル「火星12型」の発射実験に成功したと発表。
通常より角度をつけて高く打ち上げる「ロフテッド軌道」での発射で、
高度は初めて2000キロを超えたと推定されています。
韓国国防省は、仮に通常の角度で発射された場合、
射程が最大で、5000キロに達するという見方を明らかにしました。



この5000キロというのは、日本や、アメリカ軍基地のあるグアムが射程に入り、
アメリカ本土のアラスカ付近まで迫っています。

北朝鮮の国営メディアはきのう、日本について言及し、
「すべての攻撃手段はアメリカ本土とともに
在日アメリカ軍基地を照準に入れている」と威嚇しました。
圧力強化に向けてアメリカとの連携を強める日本をけん制するねらいがあるとみられます。


「日本の備えは」

まず、日本近海に展開するアメリカ軍の動きです。
アメリカ国防総省の当局者によりますと、今月16日に横須賀基地を出発した
原子力空母ロナルド・レーガンを朝鮮半島周辺の日本海に向かわせ、
すでに展開している原子力空母カール・ビンソンとともに、
合同の演習を行う計画だということです。
空母2隻による合同演習は極めて異例で、
核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に対する圧力を、さらに強める構えです。



また、日本は、ミサイルに対する防衛態勢の整備を進めています。
海上自衛隊のイージス艦は、発射されたミサイルの追尾を行い、迎撃ミサイルで撃ち落とします。
また、地上配備型の迎撃ミサイル「PAC3」は地上近くで迎撃することができます。
さらに、防衛省では、迎撃能力の向上のため、イージス艦と同様の能力を地上に配備する
「イージス・アショア」と呼ばれるシステムの調査・研究を進めています。


「対北朝鮮 国際社会の連携は」

岸田外務大臣は16日、アメリカのティラーソン国務長官と電話で会談。
「対話のための対話では意味がなく、北朝鮮に圧力をかけていくことが必要だ」と述べ、
ティラーソン長官も同様の認識を示したということです。
また両外相は、韓国とも国連の場を含め、引き続き緊密に連携していくとともに、
中国がさらなる役割を果たすよう求めていくことを確認しました。

一方、国連の安全保障理事会は、緊急の会合を開催。
各国がこれまでの制裁決議を着実に履行することでは一致したものの、
新たな制裁を含む追加的措置については意見がまとまりませんでした。
アメリカのヘイリー国連大使は、
追加的な措置について中国と協議していることを明らかにしました。
今後は、アメリカと中国が中心となって協議が続けられる見通しです。


「制裁の具体策は」

国連の安全保障理事会は、去年、
各国が北朝鮮から輸入する石炭の量を制限することなどを盛り込んだ制裁決議を採択しました。
この石炭の輸入について、中国政府は、
今年1月から3月にかけての北朝鮮からの輸入量が、
去年の同じ時期と比べて51.6%減少したと公表しました。
中国として、制裁を着実に履行している姿勢を強調しました。
また、今後の追加の制裁について、
アメリカのヘイリー国連大使は、
「石油の供給停止など北朝鮮への圧力を強める選択肢はいくつもある」として、
圧力を強化していく方針をあらためて強調しました。





「国連の制裁決議」

国連の安全保障理事会は去年、 北朝鮮が5回目の核実験を強行したことを受けて制裁決議を採択しました。
「モノ」については、
▼北朝鮮から輸入する石炭を制限、
▼銀・銅などの輸入を禁止。
「カネ」については、
▼北朝鮮国内にある外国企業の事務所・銀行口座の閉鎖。
「ヒト」については、
▼渡航制限や資産凍結の対象となる個人や団体をこれまでより拡大すること、
などが盛り込まれています





5月14日放送

「北朝鮮情勢への対応について」

ミサイルや核開発を続け、挑発を繰り返す北朝鮮に対しては、
これまで日本やアメリカと足並みを揃えてきた韓国で、先週、新たな大統領が誕生しました。
北朝鮮に融和的な姿勢を示してきたムン・ジェイン(文在寅)氏です。
ムン大統領は就任後の会見で
「条件が整えば、ピョンヤンにも行く。
朝鮮半島に平和を定着させるためならば、私にできることはすべてする」と述べ、
安全保障問題に全力で取り組む考えを示しました。



その翌日には、安倍総理大臣と電話で会談。
安倍総理大臣が「北朝鮮の非核化を実現すべく、緊密に連携していきたい」と述べたのに対し、
ムン大統領も、「北朝鮮についての問題意識は、安倍総理大臣の思いと同じだ」と述べたということです。
こうした中で、北朝鮮が今後、どんな動きを見せるのか、注目されます。


「憲法をめぐる安倍首相の発言」

今月3日、安倍総理大臣は自民党総裁として
「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と述べ
憲法を改正し2020年の施行を目指す意向を表明しました。


「“憲法9条に条文追加”について」

安倍総理大臣が改正項目として、まずあげたのが、憲法9条です。
第1項で「戦争放棄」を、第2項で「戦力を保持しない」などと定めている憲法9条。
安倍総理大臣は、この1項、2項は残し、
「3項以降に『自衛隊を明記する』」という考えを示しています。

先週の国会で、その理由について問われたのに対し、
「憲法学者の7割、8割が自衛隊は『違憲』と言っている。
そういう状況を変えるのは私たちの世代の責任だ」と述べました。


「“高等教育の無償化”について」

いまの憲法では26条で、教育を受ける権利とともに、教育を受けさせる義務を定め、
「義務教育は、これを無償とする」とされています。
安倍総理大臣は、この義務教育の無償化を評価した上で、
「高等教育についても全ての国民に真に開かれたものとしなければならない」と述べ、
高等教育の無償化なども改正項目としてあげました。




「『テロ等準備罪』法案について」

「共謀罪」の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する法案は、
テロ組織や暴力団などの組織的犯罪集団が
ハイジャックや薬物の密輸入など、重大な犯罪を計画し、
メンバーの誰かが犯罪の準備行為を行った場合、計画した全員を処罰の対象にするとしています。
これまでの法案審議では、一般の人も処罰の対象になることはないのかや、
捜査のあり方などをめぐって、政府与党と民進党などの対立が鮮明になっています。



こうした中、法案をめぐって、先週、自民・公明両党と日本維新の会が修正協議で合意し、
衆議院に修正案を提出しました。
それによると、取り調べなどの捜査が適正に行われるよう
十分配慮することを義務づける規定を法案に追加した上で、
付則に、取り調べの際の録音や録画のあり方について速やかに検討することが盛り込まれています。
これに対して、民進党や自由党などは、「テロ等準備罪」を新設する法案の廃案を目指す一方、
テロ対策の重要性は高まっているとして、独自の法案をまとめ、衆議院に提出しました。
具体的には、テロ対策として、空港の保安体制の強化を政府に求めることや、
組織的な人身売買と詐欺に、あらたに予備罪を設けるとしています。


5月7日放送

「中国と北朝鮮の関係について」

先週、北朝鮮の国営メディアは、中国がアメリカに同調して圧力をかけているとして、
「親善の伝統を抹殺しようとする許しがたい妄動にほかならない」と批判しました。
北朝鮮が中国を名指しで批判するのは異例のことです。
これに対し、中国は、外務省報道官が、「批判はあたらない」という認識を示したほか、
中国メディアも、北朝鮮に厳しい論調を展開する事態となっています。



こうした中、北朝鮮では先月、
キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長が最高指導者になって5年となるなど、
節目の日を相次いで迎えることから、新たな挑発行為に踏み切るのか、注目されましたが、
国際社会が懸念する核実験は行われませんでした。

一方、弾道ミサイルをめぐっては、3月22日に北朝鮮東部から1発を発射。
その後も、相次いで弾道ミサイルを発射しましたが、いずれも失敗に終わったと見られています。


「対話をめぐる各国の思惑は」

トランプ大統領は、先月30日、北朝鮮のキム委員長について、
「若くして権力を掌握しており、とても頭の切れる人物だ」と発言。
さらにその翌日には、北朝鮮の核・ミサイル開発問題をめぐって、
「正しい状況のもとでなら、キム委員長と会うだろう」と述べるなど、
対話の可能性も排除しない姿勢を示しています。



ただ対話をめぐっては、各国の立場の違いが浮き彫りになっています。
アメリカのティラーソン国務長官は、核兵器の完全な放棄に向けた交渉であれば、
直接対話に応じる考えを示していますが、 
北朝鮮は、「アメリカが敵視政策と核の脅しをやめない限り、
核武力を中心とする国防力と先制攻撃能力の強化を続ける」として、対決姿勢を強調。
また、対話の枠組みについては、中国がアメリカと北朝鮮の直接対話を支持する一方で、
ロシアは、6か国協議を再開させることが重要だとしています。 


「対話の経緯について」

アメリカと北朝鮮との間では、これまで首脳会談が行われたことはありませんが、
実務者レベルなどで、対話が繰り返されてきました。
2006年、北朝鮮がキム・ジョンイル総書記のもとで、初めて核実験を行うと、
当時のブッシュ政権は、それまでの強硬な路線から対話に転じ、
翌年の6か国協議では、核施設の無能力化などを条件に、各国がエネルギー支援を行うことで合意。
その後、アメリカは北朝鮮のテロ支援国家の指定を解除しました。
2009年、北朝鮮が2度目の核実験を実施すると、オバマ政権は北朝鮮と直接交渉を重ね、
核実験やウラン濃縮の一時凍結などと引き替えに食糧支援を行うことで合意します。
ところが、2013年2月、北朝鮮は3度目の核実験を強行し、
その後、対話は途絶えたままになっています。




「トランプ外交について」

大統領選挙の期間中、アメリカ第一主義を掲げ、
「アメリカは世界の警察にはなれない」と発言していたトランプ大統領。
就任後は、化学兵器を使用した疑いのあるシリアのアサド政権に対して軍事攻撃に踏み切ったほか、
北朝鮮に対しては、朝鮮半島周辺に原子力空母を派遣するなど、
軍事力を誇示しながら圧力を強める動きも見せています。



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