6月9日放送「専門家はどうみる? イラン情勢・北朝鮮問題」

緊張続くイラン情勢

トランプ政権は、一貫してイランに強硬姿勢をとっています。
去年11月には、「史上最強の制裁を科す」として、
イラン産原油の禁輸などエネルギー分野を対象とした経済制裁を発動。
また今年4月にはイランの「革命防衛隊」をテロ組織に指定しました。
革命防衛隊は最高指導者直轄の精鋭部隊で、
国の安全保障を担うとともに政治や経済にも幅広い影響力を持つ組織です。
さらにアメリカは中東地域に原子力空母や爆撃機を派遣するなど、
圧力を強めています。
一方、イランは、アメリカの圧力に屈しない姿勢を強調していて、
本格的な核開発の再開も辞さないとしています。




緊張が高まる中、事態の打開をめぐる両国の主張です。
トランプ大統領は、
先週、軍事行動の可能性を排除しない姿勢を示してイランをけん制したうえで、
「もちろん話し合いの方がはるかにいい」と述べ、
対話による解決が望ましいとの考えを強調しました。
一方、イランのザリーフ外相は、
「対話はアメリカにとって圧力の一環でしかない。
協議に応じることは考えにくい」と述べていて、
両国の立場の違いは依然として大きなままです。

こうした中、安倍総理大臣は今週12日からイランを訪問する方針を固めています。
日本は、1979年の「イスラム革命」でイランが反米政権になったあとも、
友好的な関係が続いています。
今回の訪問では、ロウハニ大統領に加え、
最高指導者のハメネイ師とも会談する方向で最終調整が進められています。


対立の背景に何が

イランの核開発問題をめぐり、アメリカ、イギリスなど6か国とイランは、
2015年、イランの核開発を大幅に制限する見返りに、
アメリカやEUなどが科していた経済制裁を
解除することで最終合意しました。
しかし去年5月、トランプ大統領は、
「いまの核合意のもとではイランの核保有を止められない。
核合意は根本的に欠陥だ」と述べ、
核合意からの離脱を表明したことで両国の対立が深まる事態となっています。




アメリカとイランの対立は根が深いものがあります。
1979年、指導者ホメイニ師が「イスラム革命」で親米政権を倒し、
イラン・イスラム共和国を樹立。
同じ年、首都テヘランで
イランの学生たちがアメリカ大使館を占拠する事件を引き起こします。
これをきっかけに両国は国交を断絶、
40年近くにわたって鋭く対立してきました。


中東地域への影響は

対立の構図は中東地域に影を落としています。
反米のイランに対し、親米のサウジアラビア。
イスラム教の宗派をめぐってもシーア派とスンニ派に分かれる両国は、
周辺国を巻き込む形でペルシャ湾の覇権を争い、対立を続けています。




今回のイラン情勢を受けて、サウジアラビアでは、
先月、イランを除く形で湾岸諸国とアラブ諸国の首脳会議が行われました。
会議に先だちサウジアラビアの外相は、
中東でのイランの影響力拡大を脅威とする自国の立場に理解を求めました。
一方、イランの支援を受ける民兵組織などが
先月、周辺国のイラクやレバノンなどで大規模な集会を開き、
各地の勢力と連携してアメリカへの抵抗を続けていく構えを強調しました。


初の米朝首脳会談から1年 北朝鮮問題は

去年行われた初の米朝首脳会談で、
トランプ大統領は北朝鮮に体制の保証を提供する約束をし、
キム委員長は朝鮮半島の完全な非核化について揺るがない決意を確認しました。




しかし今年2月、ベトナムのハノイで行われた2回目の首脳会談は、
非核化をめぐって合意に至りませんでした。
こうした中、北朝鮮は先月、短距離弾道ミサイルを発射。
そして先週、北朝鮮外務省は談話を発表し、
「アメリカは一方的な核放棄ばかりに固執。
われわれの忍耐にも限界がある」としてアメリカを非難しました。

トランプ大統領は、先週、
「キム委員長は交渉をまとめたいだろうし私もそうだ。
適切な時期に彼と会うことを楽しみにしている」と、
3回目の首脳会談への期待を述べています。


北朝鮮はいま

北朝鮮の国営メディアは、今月に入り、
キム委員長が軍需工場などを相次いで視察したことを伝えています。
また、アメリカの研究グループは先週、
北朝鮮がさきに廃棄する意思を示した核施設の衛星写真を公開。
大型車両や10人以上の活動が確認されたことから、
北朝鮮が濃縮ウランを製造している可能性が高いと分析しています。





日朝首脳会談は

安倍総理大臣は、
前提条件をつけずにキム委員長との首脳会談の実現を目指し、
拉致問題の解決につなげたいとしています。
これに対しトランプ大統領は、
先月の日米首脳会談で、全面的に支持する考えを示しました。
一方、北朝鮮は国営メディアを通じて、先週、声明を発表。
「前提条件のない首脳会談の開催について
あれこれ言っている安倍一味はずうずうしい」と反発しています。
これについて日本側は、
「北朝鮮側の発信のひとつひとつにコメントするのは控えたい」としたうえで、
拉致問題の解決に向け、首脳会談の実現を目指す考えを示しています。





6月2日放送「川崎殺傷事件を考える」

事件の概要

先月28日の朝、川崎市の路上でスクールバスを待っていた小学生や大人が、
男に次々と包丁で刺されるなどして、
小山智史さん、39歳と、小学6年生の栗林華子さんの2人が死亡。
45歳の女性と小学生、あわせて18人が重軽傷を負いしました。
事件を起こしたのは、岩﨑隆一容疑者、51歳。
手袋をはめ、両手に包丁を持ち、走りながら振り回して切りつけたあと、
自殺したということです。
警察が行った自宅の捜索では、包丁が入っていたとみられる空き箱4つのほか、
ノートなどあわせて数十点の関係資料が押収されましたが、
事件の動機などをうかがわせるような書き込みはなかったということです。
また、パソコンやスマートフォンなどは見当たらなかったということです。





岩﨑容疑者について

警察によりますと、
岩﨑容疑者は川崎市麻生区の自宅で
80代のおじとおばと3人で暮らしていたということです。
川崎市によりますと
容疑者の親族は、おじとおばへの介護サービスの導入などについて、
おととしから川崎市に面談や電話で14回にわたって相談をしていて、
その中で、容疑者について、
「長期間仕事に就かず、ひきこもり傾向にある。
どのようにコミュニケーションを取ったらいいか分からない」と
話していたということです。
容疑者は部屋に閉じこもりがちで、
おじやおばと会話を交わすこともほとんどなく、
おじやおばは容疑者のために食事を冷蔵庫の中に置いておいたり、
仕事をしていない容疑者に小遣いを渡すこともあったということです。
また、捜査関係者への取材から、
容疑者の自宅から、海外の過去の大量殺人に関する事例などを集めた
雑誌2冊が見つかったことが分かっています。




川崎市によりますと、
岩﨑容疑者の親族から相談を受けた川崎市の担当者は
手紙でやりとりする方法を提案しました。
これを受けて、ことし1月、おじとおばが部屋の前に手紙を置いたところ、
岩﨑容疑者はその数日後に
「食事も洗濯も自分でやっているのに、ひきこもりとは何だ」などと
おばに口頭で伝えたということです。
一連の川崎市への相談では、
おじやおばが容疑者を「あまり刺激したくない」という意向を示し、
川崎市が本人と接触することはなかったということです。

今回の事件について、
ひきこもりの当事者などでつくる団体は、
「ひきこもる人たちをひとくくりに否定することに向かいかねない」として、
誤解や偏見が助長されることを懸念しています。


過去に起きた殺傷事件について

平成13年、
大阪・池田市の小学校に刃物を持った男が侵入し、
8人の児童を殺害、教師含む15人にけがを負わせました。
男は、裁判の中で、
「以前から自分の人生を幕引きするときは大量の人を殺害し、
道連れにしようと考えていた」などと証言していました。
また、平成20年、
東京・秋葉原の繁華街に男がトラックで突っ込み、
通行人をはねたり、ナイフで刺したりして7人を殺害、
10人に重軽傷を負わせました。
男は事件前、インターネットの掲示板に、仕事への不満や将来への不安に加え、
「みんな殺してしまいたい」「他人を巻き込んでやる」などと
書き込みをしていました。





学校現場の安全対策について

大阪・池田市の小学校で児童が殺害された事件の翌年、
文部科学省は、学校への不審者の侵入を防ぐため、「危機管理マニュアル」を策定し、
▼登下校の時以外は出入り口を施錠したり、
▼インターホンや防犯カメラの設置などの対策を進めてきました。




一方で、登下校中の子どもが被害に遭う事件はあとを絶ちません。
警察庁によると、
通学路などで13歳未満の子どもが事件に巻き込まれたケースは
去年、全国で573件に上っています。
去年、新潟市で小学2年生の女の子が下校途中に殺害された事件を受け、
政府は再発防止策を取りまとめました。
▼全国の通学路で安全点検を行い、危険箇所を確認し、
▼警察によるパトロールを重点的に実施する
などとしています。

そして、今回の事件を受けて、政府は緊急の閣僚関係会議を開き、
安倍総理大臣は、通学路の安全確保の徹底や、
不審者情報を共有する仕組みの強化など、早急に対策を講じるよう指示しました。
警察庁は、全国の警察に登下校の時間に子どもが集まる場所の警戒強化を指示。
文部科学省は、全国の教育委員会に安全確保に向けた協力要請を行っています。


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