1月19日放送「最新分析 中東情勢の行方は」

米イラン対立 現状は?

今月3日、アメリカ軍は、トランプ大統領の指示をうけ、
イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官をイラクの首都バグダッドで殺害。
国民から英雄視される司令官の殺害を受けて、情勢は一気に緊迫しました。
イランは8日、
イラクに駐留するアメリカ軍の2か所の拠点をねらって16発の弾道ミサイルを発射。
司令官が殺害されたことへの報復だとしました。




緊張が高まる中、トランプ大統領は8日、演説の中で、
「われわれは強力な軍や装備品を持っているが、使いたくはない」と述べ、
これ以上の事態の悪化は避けたいという姿勢を示しました。
イラン側も、国連のグテーレス事務総長に書簡を送り、
イランとしても報復の応酬は望まないという考えを示したことで、
本格的な衝突はひとまず回避できたという見方が広がりました。

一方、トランプ政権はイランによる攻撃を受けて、
イランの高官や企業などに新たな制裁を科すと発表し、
イランへの圧力を強めていく方針を示しました。
こうした中、アメリカ軍の部隊が駐留するイラクの基地などに、
アメリカを敵視する勢力によるとみられるロケット弾による攻撃が相次いでいて、
対立の火種がくすぶっています。


イラン内政は?

アメリカとイランの緊張が高まっていた、今月8日、首都テヘラン近郊で
ウクライナ国際航空の旅客機が墜落して乗客乗員176人全員が死亡。
イラン軍は誤って撃墜したことを認めました。
国民の間からは死者に多くのイラン人が含まれていた上、
当初、指導部が撃墜を隠ぺいしようとしたとして、各地で抗議デモが起きました。
指導部は神経をとがらせ、治安部隊がデモ隊の排除に乗り出しました。
これについて、トランプ大統領はツイッターに
「イランの指導者へ。抗議デモの参加者を殺すな。世界が見ている。
なによりアメリカが見ている。」と投稿し、イランをけん制しました。





日本の対応は 自衛隊派遣は

原油の多くを湾岸諸国に依存する日本。
政府は日本に関係する船の航行の安全を確保するため、情報収集を強化するとして、
中東地域に自衛隊の哨戒機と護衛艦を派遣することを決定。
活動海域は、オマーン湾、アラビア海北部、バーブルマンデブ海峡東側のアデン湾で、
沿岸国の排他的経済水域を含む公海としています。
今月11日には、海上自衛隊の哨戒機の部隊が、日本を出発しました。
そうした中、安倍総理大臣は、サウジアラビア、UAE、オマーンを訪問。
自衛隊派遣について各国から支持を取り付けました。





イラン核合意の行方は?

2015年、当時核兵器開発の疑惑をもたれていたイランに対して、
核開発を大幅に制限する見返りに、アメリカやEU=ヨーロッパ連合などが
それまでに科していた経済制裁を解除することで合意しました。
しかし、2018年にトランプ大統領は核合意から一方的に離脱。
「史上最強の制裁を科す」として、イランの生命線とも言える、
原油の輸出を断ち切るとする制裁を発動しました。
これにより、イランでは経済の悪化が深刻化し、
合意で約束された経済的な利益が得られていないとして不満を募らせてきました。
そして、去年5月以降、核合意の制限を段階的に破る措置をとっていて、
今月5日にも、ウランの濃縮活動を強化すると発表しました。




フランス、ドイツ、イギリスの3か国は、14日、
合意の義務が果たされていないとして、
国連の制裁再開につながる手続きに踏み切り、圧力を強化しました。
ハメネイ師は17日の演説で、
「彼らは何もできず、アメリカに従っているしもべだ」として、
ヨーロッパ各国への不信感をあらわにしました。


アメリカの中東政策をどう見る?

アメリカは長年、石油を安定的に確保し、利権を守るため中東地域を重視してきました。
1953年、豊富な石油資源の国有化を進めたイランの政権を転覆させ、
親米政権を誕生させました。
ところが、1979年、親米政権はイスラム革命によって崩壊。
ホメイニ師を最高指導者とするイラン・イスラム共和国が樹立されました。
首都テヘランでは、学生たちがアメリカ大使館を占拠する事件が起き、
アメリカとイランは国交を断絶しました。
その後、イランは、中東きっての反米国家として影響力を増し、
アメリカや中東の親米国家と鋭く対立してきました。




トランプ大統領は、就任直後から、
イランと敵対するイスラエルやサウジアラビアといった
伝統的な同盟国との関係を重視する姿勢を打ち出しました。
イスラエルに対しては、国際社会の反対を押し切る形で
長年係争地となってきた、エルサレムをイスラエルの首都と認定。
サウジアラビアには、多額の武器を売却するとともに、展開兵力を増強しています。


“シェール革命” アメリカの中東政策は?

アメリカでは、国内のシェールオイルの生産量が増加し、
去年9月には70年ぶりに原油と石油製品の輸出量が輸入量を上回り、
「純輸出国」となりました。
中東地域へのアメリカの関与にどう影響するかが焦点となっています。





Page Top