12月17日放送 「米大統領“エルサレムを首都に”どうなる中東情勢」

トランプ大統領の発言とこれまでの動き

トランプ大統領は6日、エルサレムをイスラエルの首都と認め、
アメリカ大使館をテルアビブから移転する方針を明らかにしました。
これに対し、パレスチナ側は強く反発。
8日金曜には、イスラム教の集団礼拝にあわせて各地で抗議デモを行い、
イスラエル軍との衝突で2人が死亡したほか、その後も連日、衝突が続きました。
13日には、57のイスラム教の国と地域で作る「イスラム協力機構」が
トルコのイスタンブールで、緊急会合を開催。
アメリカとイスラエルを強く非難する共同声明を発表しました。
そして15日の金曜日を、パレスチナ側は「怒りの日」として、
集団礼拝のあと各地で抗議デモを行い、イスラエル当局と衝突。4人が死亡しました。
さらに、今週20日には、アメリカのペンス副大統領が、
エルサレムでユダヤ教の聖地を訪れることにしていて、
抗議行動が激しくなることも懸念されています。




エルサレムをめぐる歴史的経緯

エルサレムは、誰がここを支配するかをめぐって、古くから紛争の火種となってきました。
とりわけ、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の重要な聖地が集中する
エルサレムの東半分、「東エルサレム」の帰属が問題になってきました。

第二次世界大戦後の1947年、エルサレムは、国連決議で、
どの国にも属さない「国際管理地区」と定められました。
その翌年に、イスラエルが建国。
これを認めない近隣のアラブ諸国との戦争が繰り返されましたが、
1967年、第3次中東戦争で、イスラエルが「東エルサレム」を占領し、一方的に併合。
イスラエルは「永遠かつ不可分の首都」だと主張しましたが、
パレスチナ側も「将来の独立国家の首都」と位置づけ、
国際社会は、エルサレムをイスラエルの首都だと認めてきませんでした。

こうした中、1993年にアメリカが仲介したオスロ合意で、
イスラエルとパレスチナ、2つの国家の共存が約束され、
エルサレムの扱いについては、和平交渉の中で協議されることになりました。
ただ、ユダヤ系の資本家が強い影響力を持つアメリカでは、1995年に
エルサレムをイスラエルの首都と定め、大使館を移す法案を、議会が可決。
しかし、歴代の政権は大統領の権限で、半年ごとに法律の執行を先送りしてきました。
  

こうした中、トランプ大統領は、去年の選挙中、
アメリカ大使館をテルアビブから移転すると公約しました。
そして今回、エルサレムを首都と認めると宣言。
「イスラエルとパレスチナの対立への新たなアプローチの始まりだ」と述べています。


中東全体への影響は

中東の各国とアメリカとの「距離感」は国によって様々です。
例えば、「アラブの盟主」を自認するサウジアラビアが親米路線をとる一方、
もう一つの大国、イランはアメリカと敵対。
長年、中東の覇権を争ってきた両国は、去年外交関係を断絶するなど対立を激化させています。

こうした中でのトランプ大統領の決定を受けて、13日には、
57のイスラム教の国と地域で作る「イスラム協力機構」の緊急会合が開かれました。
ここでは、アメリカとイスラエルを強く非難する共同声明が発表された一方、
親米路線をとるサウジアラビアなどは首脳級の出席を見送り、
アメリカとイスラエルに対して、具体的な対抗措置を打ち出すまでには至りませんでした。


シリア情勢について

シリアでは、2011年から6年あまりにわたって内戦が続いてきました。
独裁的な体制をとるアサド政権をロシアが、反政府勢力をアメリカがそれぞれ支援。
さらに長期化する内戦の混乱につけ込んで
過激派組織IS=イスラミックステートが勢力を拡大し、
三つどもえの構図となって内戦は泥沼化しました。

このうち、ISについては、シリア軍が掃討作戦を続けてきましたが、
先月、ISの最後の拠点だった東部の都市アブカマルを完全に制圧したと発表。
またロシアのプーチン大統領は、11日、事前の予告無しにシリアを訪れ、
内戦終結のメドはたったとして、駐留するロシア軍の大部分の撤退を命じました。

一方、残ったアサド政権側と反政府勢力側による内戦の終結に向けた動きも、始まっています。
先月下旬からは、国連が仲介する和平協議が始まりました。
しかし、進展が無いまま、2週間あまりで終了。
国連は、来月にも改めて協議の場を設ける考えです。
また、国連による協議とは別に、
ロシアとトルコ、それにイランの3か国も独自の枠組み作りを模索していて、
シリアの内戦終結に向けた主導権を握ろうとしています。


日本への影響は

こちらは、日本が輸入している原油のうち、
どれぐらいの割合を中東諸国に依存しているか、示したグラフです。
今から50年前の1967年には90%を超えていましたが、
2度の石油危機もあり、中東以外の国からの輸入を進めた結果、
1980年代には70%前後まで減りました。
しかしその後、エネルギー使用量の増加とともに
依存度が高まり、いまでは90%近くを中東から輸入しています。




12月10日放送 「“新政策パッケージ” 経済再生の道筋は」

「人づくり革命」について

まず、幼児教育・保育の無償化についてです。
対象は、
▼0歳から2歳までは住民税が非課税の世帯、
▼3歳から5歳までは所得にかかわらず一律で、
認可保育所や認定こども園、幼稚園を無償にするとしています。
ただ、幼稚園については、保育料が高額な私立幼稚園もあることから、支援額に上限を設けます。
また、認可外の保育施設などについては、
無償化の範囲を、来年の夏までに結論を出すとしています。



かねてから社会問題となっている待機児童の解消に向けては、
2020年度末までに、32万人分の保育の受け皿を整備するほか、
保育士の処遇改善にも取り組むとしています。

一方、大学や短期大学などの高等教育の無償化については、
住民税の非課税世帯を対象に、
▼国立大学の場合は授業料を免除。
▼私立大学の場合は、国立大学の授業料に一定額を加えた金額を上限に支援を図る
などとしています。
こうした政策の財源について、
政府は、消費税率を10%に引き上げた際の増収分などをあてるとしています。


“全世代型の社会保障制度”について

政府は、社会人が大学などで再び学ぶ「リカレント教育」について、
抜本的に拡充するとして、来年の夏に向けて検討するとしています。
また、介護人材の確保については、
介護サービス事業所における勤続10年以上の介護福祉士などを対象に、
月8万円相当の処遇改善を行うとしています。
政府は、教育無償化の政策も含めて、
「社会保障制度を、子ども・若者から高齢者まで、誰もが安心できる
『全世代型』へ転換していく」としています。




「生産性革命」について

政府が掲げる「生産性革命」では、
2020年までの3年間を「集中投資期間」と位置づけ、
来年度以降、3%以上の賃上げの実現や、
設備投資額を昨年度比で10%増やすことなどを目標にしています。
具体的には、賃上げなどに積極的な企業に対し、
法人税の負担を軽減するなどとしています。

では、賃金の現状がどうなっているのか、みてみます。
こちらは、賃金の推移です。
最新の数値では、名目賃金は、前の年の同じ月に比べ、0.9%のプラス。
物価の変動分を反映した実質賃金は、0.1%のマイナスとなっています。


景気の現状について

働く人たちに景気の実感を聞く内閣府の調査では、
先月、全国12の地域すべてで、「景気の現状を示す指数」が、
景気が上向いていると判断される目安の50を超えました。
これは、消費税率をいまの8%に引き上げる前の2014年3月以来、
3年8か月ぶりです。

企業の景気判断では、大企業と中小企業で、差が出ています。
日銀の調査によりますと、
景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を
差し引いた数値は、大企業では、
製造業でプラス22ポイント、
非製造業でプラス23ポイントとなっています。
一方、中小企業では、
製造業でプラス10ポイント、
非製造業でプラス8ポイントでした。


12月3日放送 「“新型ICBM”発射 分析 北朝鮮でいま何が…」

弾道ミサイル発射をどうみる

北朝鮮は先週、およそ2か月半ぶりに弾道ミサイル1発を発射しました。
高度は4000キロを大きく超え、これまでで最大となり、
日本のEEZ=排他的経済水域内に落下したと推定されています。
通常より角度を上げて打ち上げる「ロフテッド軌道」で発射されたと見られています。
北朝鮮は声明で、新型のICBM=大陸間弾道ミサイル「火星15型」の
発射実験に成功したと発表しました。



日本政府は、この弾道ミサイルの射程距離は1万2000キロから1万3000キロに達し、
ニューヨークやワシントンを含むアメリカ全土が射程に入るという見方を強めています。

北朝鮮の国営テレビは、発射に立ち会ったキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長の発言を紹介。
「きょう、ついに国家核武力完成の歴史的な偉業、
ミサイル強国の偉業が完成した」と述べたとしています。


ミサイル発射で北朝鮮をめぐる緊張は

安倍総理大臣は、アメリカのトランプ大統領と電話で会談。
中国のさらなる役割が重要という認識で一致しました。



また、安倍総理大臣は、記者団に対し
「いかなる挑発行為にも屈することなく、圧力を最大限まで高めていく」と述べました。

アメリカのトランプ大統領は、演説で、
キム委員長を念頭に、「小さなロケットマン。彼は病的だ」と批判。
ティラーソン国務長官は、声明を発表し、北朝鮮の物資や資金の調達を止めるため、
「海上交通を阻止するなど、さらなる措置をとるべき」と訴えました。

また、トランプ大統領は、中国の習近平国家主席と電話で会談。
「中国は北朝鮮に対し、あらゆる手段を駆使する必要がある」とした上で、
「中国は、北朝鮮への原油供給を止めるときが来た」と伝えたということです。

そして、国連の安全保障理事会は、北朝鮮のミサイル発射を受け、緊急の会合を開催しました。
アメリカが「すべての国に、北朝鮮とのあらゆる関係を断つことを求める」と呼びかけたのに対し、
中国とロシアは「北朝鮮の人道状況を考慮すべき」などと主張し、
双方の意見の違いが、際立つかたちとなりました。


兵士亡命・相次ぐ木造船漂着 いま北朝鮮で何が…

先週、北海道南部の松前町の沖で、木造船が漂流しているのが見つかりました。
乗っていたのは男性10人で、巡視船の呼びかけに対し、
「食料がないので提供してほしい」と伝えてきました。
全員が北朝鮮の本人確認証などを持っていたということです。



こうした木造船の漂着が、日本海側の各地で相次いでいます。
秋田県由利本荘市では、先月23日、男性8人が乗った船が漂着しました。
8人は「北朝鮮を出港し、イカ釣り漁をしていて船が壊れた」と話したということです。

他にも木造船の漂着は相次いでおり、無人の船や、遺体が見つかるものもあります。
どこの国の船か分からないものもありますが、
船内に残されていたお金やタバコの箱などから、北朝鮮の船と見られるケースもあります。

一方、こんな動きもありました。
韓国と北朝鮮を隔てる軍事境界線にあるパンムンジョムで、
北朝鮮軍の兵士が、韓国側に亡命しました。
北朝鮮側が発砲し、兵士は腹や肩にケガをして、意識不明の重体となりましたが、
その後、意識が回復したということです。


北朝鮮の経済状況について

キム・ジョンウン委員長は、国内経済の発展に力を入れる姿勢を打ち出しています。
ことし10月の演説では、「人民経済の自立性を全面的に強化する」と強調しました。
また、キム委員長は、「並進路線」を打ち出し、
「核開発と平行して、経済の立て直しを進める」としています。

一方、北朝鮮の食糧事情は悪化しています。
FAO、国連・食糧農業機関が7月に発表した報告によりますと、
干ばつなどの影響で、小麦やじゃがいもなどの収穫量は、去年と比べ30%以上減少し、
深刻な食糧不足に陥るおそれがあると指摘しました。


ロシア議員団 北朝鮮訪問

先月26日から、ロシア議会の議員団が、北朝鮮のピョンヤンを訪問し、
キム委員長の側近などと意見を交わしました。
議員団長を務めた議員は、帰国後、記者団に、
「北朝鮮は、ロシアの仲介のもと、対話に応じる用意はある」という認識を示しました。




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