みんなの毎日 第6号 今回のテーマ 私の宝物 みんなの毎日 第6号 今回のテーマ 私の宝物

番組で語りを担当する檀ふみさんによる書き下ろしエッセイです ウチの子 檀ふみ 番組で語りを担当する檀ふみさんによる書き下ろしエッセイです ウチの子 檀ふみ  むかし、私が大好きだったおとぎ話には、二つのパターンがあった。
 パターンその1、貧しくも心美しい主人公が、王子様と結婚して「めでたしめでたし」。
 パターンその2、貧しくも勇猛果敢な主人公が、金銀財宝の山を我が物にして「めでたし、めでたし」。
 そうしたおとぎ話に繰り返し読みふけっているうちに、私の思考は、だんだん現実からかけ離れていってしまったらしい。
 すなわち、夢は、ステキな王子様とめぐりあい、結婚して、金銀財宝を手にする。
 もちろん、現実というものもどこかで意識しているから、口には出さない。口には出さねど、けっこう大きくなるまで、真面目にそんなことを夢想していたような気がする。
 近所に、金や銀、真珠のネックレス、ダイヤモンドの指輪などをショーウィンドウに飾っている店があった。たぶん質屋さんで、質流れ品が並んでいたのだと思うが、そんなことは知るよしもない小学生は、学校の帰り道、店の前にたたずんでは、その輝きを飽かず眺めていた。
 あのころのしびれるような思いは、どこへ行ってしまったのだろう。
 いまの私には、王子様はもとより、金銀、宝石への憧れは、まったくない。持たざるものの負け惜しみではなく、いつの間にか、金も銀も、宝石の類も、私にとって「たからもの」とは思えなくなっているのだ。
 そもそも「たからもの」ってなんだろう。
 辞書を引いてみると、

宝【たから】
① 金・銀・宝石など、希少で価値の高いもの。宝物。
② かけがえのない、大切な人や物。
            (明鏡国語辞典)

 ふ〜ん、つまり、金・銀・宝石は、①としての「たから」ではあることに違いないが、だからといって、②としても簡単に認められるわけではない、ということでしょうか。
 金や銀や宝石が、その人にとってかけがえのないものであれば、②の「たから」になることも、もちろんあると思う。
 たとえば、母の遺品のなかに、
 「これは、お父さまが初めての原稿料で買ってくださったものなの」
 という指輪でもあれば、それはどんなに安っぽくても、たしかに「たからもの」である。だが残念ながら、指輪はみんな、母がどこかのバーゲンで衝動買いしたものばかり。サイズも合わないので、兄嫁に譲ってしまった。
「とと姉ちゃん」こと常子には、そうした「たからもの」があっただろうかと、つらつら考えてみたのだが、常子もあまり「もの」に執着するタイプではないようである。
 常子にとってかけがえのないのは、なんといっても家族だから、「家族を守る」「鞠子、美子を嫁に出す」「家を建てる」という自分で書いた3枚の「短冊」が、「たからもの」にあたるのかもしれない。
 もう一つ大きな「たからもの」があった。雑誌『あなたの暮し』である。
 再会した星野との関係に悩んでいるとき、常子は言う。
「私にとっては会社が子供で、その成長を見られることが本当に幸せだと思ってるの」
 千三百年前のこの歌を思い出す。

銀(しろかね)も金(くがね)も玉(たま)もなにせむに
優(まさ)れる宝 子に及(し)かめやも
(銀も金も玉もどうして優れた宝は子供に及ぼうか
 我が子以上の宝はないのだ)
     万葉集(巻五・八〇三)
     山上憶良(やまのうえのおくら)

 そう。本当の子供ではなくても、「ウチの子」と思って育てていけるものがあれば、それもまた「たから」なのだと思う。
 私は「ウチの子」を育てたことがあるかしらと、ダンフミとしては、ただいま猛省中。

檀ふみ
檀ふみ
女優。国内で映画「男はつらいよ・寅次郎純情詩集」「山桜」、ドラマ「日本の面影」「藏」他、数多くの作品に出演。昨年の大河ドラマ「花燃ゆ」では、主人公・美和の母親役で出演。エッセイも執筆し、「ああ言えばこう食う」は第15回講談社エッセイ賞を受賞。他に「父の縁側、私の書斎」「檀流きもの巡礼(たび)」などがある。「とと姉ちゃん」では、語りを担当。

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あまった新聞紙で便利袋

よっちゃん さん

以前、母があまった新聞紙を折って袋を作っていました。台所の生ゴミを入れたり、買ってきた野菜を入れて保存したり、いろいろと使い道がありとても便利です。

くふうの生い立ち

母があまった新聞紙でやっていました。

くふうのワンポイント

新聞紙を二重にして折ると強度が増します。

「あまった新聞紙で便利袋」をやってみた

1.新聞紙を広げて、全体の1/4程度のところで上へ折る。

2.1/4に折った状態。

3.裏返して折った面を下にして、三つ折りにする。

4.三つ折りにする際、先に折った部分の二重になっている部分に、次に折る部分を差し込む。

5.三つ折りにした状態。

6.ふたたび裏返して、さらに上下を反対にする。

7.下部分を中心に向かって三角に折る。

8.上部から出ない程度に三角部分を折って、折り目をつける。

9.折り目をつけたら、二重になっている部分の間に差し込む。

10.これで完成。

11.野菜などを保存したりゴミ袋として使用したり多様に使える。

12.新聞紙を見開きで折ると、横28cm×縦20cm程度のサイズで、片面で折ると、横18cm×縦15cm程度のサイズになる。

捨てない美味しい工夫

れいこ さん

夏に楽しみな西瓜(すいか)。母は西瓜の皮をお酢の物やぬか漬けにし、食卓の一品にしていました。お酢の物が苦手だった子供時代、西瓜の酢の物...

あまり布で簡単コサージュ

しろくまぐろ さん

あまり布を筒状に縫ったあと、クルクルと巻き付けていくだけで可愛い薔薇(ばら)のモチーフになります。コサージュピンを付けたり、ヘアゴムに...

手づくりジャム

アキ さん

果物があまったときや、残った皮、果汁などは、とっておいて時間のあるときにジャムを作ります。蜜柑、柚子などの柑橘類の皮は、漬物を作るとき...

網のカゴを吊るして干し野菜

ヒモで吊るしづらい野菜などは、網状のカゴに入れて、風通しのよい場所において乾燥させます。

肉じゃがのあまりでコロッケ

常子がニンジンがあまり好きでない青葉のために、肉じゃがをコロッケに調理し直していました。

電話カバーで可愛らしくアレンジ!

常子の机にある電話には、青いカバーが掛けられていておしゃれです。また、電話機の下には同じ柄のざぶとんも。

むかし生活 第6号 住まいと家電

西洋の生活文化が輸入され、一般家庭の生活に浸透していった昭和初期、
便利な家電などが登場して生活が一変した高度経済成長期。
昭和の人々の生活を彩った「家電」についてご紹介します。

家電が変えた“日本の暮らし”

ターニングポイントは昭和30年代
高度経済成長期を迎えた昭和30年代半ばになると、さまざまな「家電」(家庭用電器製品)、特に主婦の家事の負担を大幅に軽減する家電が急速に普及しました。電気洗濯機、電気冷蔵庫、テレビは「三種の神器」などと呼ばれ、人々の憧れだったというのは有名な話ですね。そのほかにも、1955(昭和30)年ころに発売された「自動式電気釜」や、終戦後の食料事情から需要が増えはじめた「トースター」などの家電が続々と一般家庭に普及していきました。
しかし当時、これらの家電はとても高価なものでした。1960(昭和35)年の公務員の初任給を基本とすると、洗濯機は約2か月分、テレビは約3.5か月分、冷蔵庫にいたっては約5.5か月分と、庶民が現金一括払いで購入するには高価過ぎるという難点も。
そのため、商品を先に購入して後から分割で支払う「割賦(かっぷ)販売」という日本ならではのシステムで家電を購入するのが一般的でした。中でも、月給暮らしのサラリーマンにはありがたい「月賦払い」の店が増えたことなどで、普及のスピードを上げていきました。“三種の神器”の中では電気洗濯機の普及が一番でした。“神器”の中では一番値段が安く、購入しやすかったこともあるでしょうが、それまでの手洗いの洗濯が、いかに大変だったかを物語っているのかもしれません。
「三種の神器」の洗濯機、冷蔵庫、テレビは庶民の憧れ。
『あなたの暮し』の「商品試験」は、家電購入に当たってとても参考になったことでしょう。
洗濯機は女性たちの救世主!?
昭和初期、西洋的なアイテムを取り入れることで生活は便利にはなりましたが、その一方で和洋折衷のスタイルならではの苦労も。特に、シャツやシーツなどの白物をたらいに手洗いというスタイルで美しく洗い上げ、さらにアイロンで仕上げるというのは、大変手間と時間がかかる作業だったに違いありません。
そんな女性たちの悩みに応えたのが「電気洗濯機」でした。洗濯機の普及に大きく貢献したのが「二槽式洗濯機」で、普及率は、わずか3年で50%を超えるほどに。「三種の神器」の中でもいち早く普及したのが、「電気洗濯機」だったことからも、いかに女性たちが洗濯という重労働からの解放を願っていたのかがわかりますね。
現在は、洗濯から乾燥までしてくれる便利な洗濯機が登場していますが、実は最近、「二曹式洗濯機」も注目を浴びています。洗濯物の出し入れは手間ですが、脱水しながら次の洗濯が始められるというメリットがあります。たくさん洗濯をする場合は、時短にもつながり効率がいいとのだとか。
常子も自宅ではたらいで洗濯していました。
水田家もいち早く洗濯機を購入しました。
「日本の朝ごはん」を変えた家電たち
「三種の神器」と並んで日本の暮らしを大きく変えた家電が、1955(昭和30)年に発売された「自動式電気釜」です。スイッチ一つで炊き上がり、火加減を気にする必要もない電気釜。“憧れ”の色彩が強かった「三種の神器」に比べ、毎朝の煩雑な炊事から解放してくれる、より実用的な生活必需品として受け入れられました。
発売当初は、自動炊飯のアピールをするため、デパートや農村などで実演販売もしていたとか。その甲斐あって、発売開始後数年で日本の家庭の約半分に普及するほど爆発的なヒットに。
ただ、今では当たり前のように付いている保温機能は、当時はついておらず、別に保温・保冷ジャーというのがあったそう。その反面、機能がないシンプル構造だから、壊れにくく長持ちしたんだとか。
「自動式電気釜」は、実用的な生活必需品としてあっという間に普及しました。
憧れのミシン、洋裁学校の流行
昭和50年代になるまでは、まだまだ既製服が一般的ではなく、衣服は家庭で作るものでした。そのため、戦後の主婦たちにとって「ミシン」は家族の衣服を縫うためにも、稼ぎの手段としても、重要なアイテムだったそう。
特に戦後は洋装が急激に広まった影響もあり、女性たちの間で家庭で洋服が縫えるようにと、ミシンを手に入れて洋裁学校に通うことが流行しました。服を買うことが当たり前となった現代ではミシンのない家・ミシンを使えない人も珍しくはなくなりましたが、当時は嫁入り道具としてミシンを持っていく女性も多かったんだとか。その影響もあってか、戦前は2%にも満たない普及率だったのが、1960(昭和35)年には75%の家庭にミシンがあったといいます。
当時、ミシンは嫁入り道具の一つにもなりました。

「昭和家電」の魅力とは?

今見てもカワイイ! 昭和レトロな家電たち
最近、にわかに注目されつつあるのが「昭和家電」。家電業界草創期のメタリックでシンプルなものから、昭和30~40年代に大流行した木目調や花柄をあしらった遊び心のあるものまで、デザインもかわいらしいと評判です。数十年の時を経て、“昭和テイスト”の家電製品が復活するかもしれませんね。
こんな組み合わせアリ?!「合体家電」の魅力
「昭和家電」といえば、多くの「合体家電」が“発明”されたのも特徴の一つ。本来は別々の機能を持つ家電が合体した製品です。ただ、多数の機能を1台でこなす「合体家電」の中には、「まさかこんなものを組み合わせるなんて!?」というものも。電気釜の内部が2つに分かれていてご飯を炊きながら味噌汁を作れる炊飯器や、ソロバンと電卓が合体した計算機、トースト・ホットミルク・目玉焼きの3種類の料理を同時に作れる調理器など……定着せずに消えていったものも少なくなかったのです。
一方で、オーブンと電子レンジの機能が合体した「オーブンレンジ」、ラジオとカセットプレーヤーが合体した「ラジカセ」など大ヒットした「合体家電」があったことは案外見過ごされています。あまりにも身近になりすぎて気がつかない方も多いかもしれません。現在も続々と新作が生み出されている「合体家電」。あなたの家でもたくさんの「合体家電」が活躍しているかも?!
今や、懐かしくも感じる「ラジカセ」。

監修:小泉和子(昭和のくらし博物館館長)

「とと姉ちゃん」に登場した昭和家電

テレビ
テレビ
テレビ
テレビ
テレビ
トースター
トースター
トースター
トースター
トースター
トースター
トースター
トースター
トースター
アイロン
アイロン
アイロン
アイロン
アイロン
電気釜
電気釜
電気釜
電気釜(ガス)
洗濯機
洗濯機
洗濯機
洗濯機
洗濯機
洗濯機
冷蔵庫
冷蔵庫
冷蔵庫
ラジオ
ラジオ
ラジオ
ラジオ
ラジオ
ラジオ
電話
電話
電話
電話
オーディオ
オーブンレンジ
ポット
ポット
ミキサー