とく6特集

「首都圏目指す地方銀行」≪2/15(水)放送分≫

 人口減少で地方経済の衰退が懸念される中、経営の統合などで生き残りを図る地方銀行の動きが全国で相次いでいます。こうした中、徳島市に本店のある地方銀行でも首都圏への進出を進め、活路を見いだそうしています。その戦略を取材しました。

【東京の新支店は企業向け営業専用】  電車や車が行き交う東京・江東区の駅前の通りに面したビルの7階。2月9日、徳島市に本店がある徳島銀行が、東京都内で3つ目となる新たな支店をオープンさせました。

 店舗にはATMがありません。受付の窓口も1つだけです。個人客向けではなく、企業への営業に特化した支店だからです。
 新たな支店が担当するのは都内東部の5つの区で、この地域だけで徳島県全体の2.5倍にあたるおよそ7万6000社の企業があります。銀行では、地元の金融機関にこだわらず融資を求める中堅企業や中小企業が多くあるとみています。
 徳島銀行亀戸支店の辺見剛支店長は「非常に人と人とのつながりがすごく持てる地域なので、踏みこんでいくといくらでも幅広い営業ができるのではないか」と話します。

【東京で取引先の開拓を】  徳島銀行は平成26年7月にも中小企業などの多い東京・大田区に蒲田支店をオープンさせました。行員は、融資を必要とする企業がないか、電話や飛び込みなどの営業活動で顧客の開拓を積極的に進めています。

 支店長の武市洋典さんはこの日、世田谷区にある取引先の不動産管理会社に足を運びました。この会社は、支店ができた後に新たに融資の契約を取り付けました。
会社では、太陽光発電事業も行っていて、新たな発電所の建設用地を探しています。
そこで武市さんは、安定した発電量が期待できる土地を提案しました。企業の期待に応える提案を行うことでビジネスを成立させ、銀行の新たな融資にもつなげようとしています。
 不動産管理会社の丸山剛史社長は「西日本の銀行なので関西圏の情報も入手できる。金融機関から投資や事業のマッチングの話をもらえるのは魅力に感じている」と話します。
 大田区の支店の開店後、東京地区での貸出金はさらに増え、平成28年9月の時点では東京の2つの支店だけでおよそ1100億円と、銀行全体の12パーセントほどを占めています。徳島銀行はさらに東京都内に1店舗増やし、4店舗体制とする計画です。
 蒲田支店の武市支店長は「今後も東京のエリアはまだまだ伸びしろがあるエリアと感じているので、この2年半の実績からすればまだまだ伸びていくチャンスはあると感じている」と話します。

【徳島の企業にも貢献を】  東京に支店を開くことについて徳島銀行では、新たな融資先の開拓だけが目的ではないとしています。徳島県内の企業が、東京へ進出しようという動きをサポートする狙いがあるというのです。
 徳島銀行の吉岡宏美頭取は「徳島の経済は、当然人口は減少していて、徳島の事業所も減少している。徳島の企業がビジネスのチャンスを広げるためには東京のマーケットに出て行くことが当然必要になってくる」と話します。
 具体的には銀行が、徳島と東京の企業の間を取り持って、ビジネスチャンスを広げることを目指しています。吉岡頭取は、「取引している企業の具体的な情報を提供して、お互いが商売になるようなビジネスのチャンスを作ってもらう。
そういうことで東京のお客さんにもプラスになるし、地域のお客様にとっても大きく成長するチャンスが生まれる。そのために東京戦略があると思っている」と話します。
 首都圏に活路を見いだそうとする地方銀行の戦略。それを地元の企業の支援にもつなげられるのか、その成果が注目されます。

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