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未来へ阿波おどり 未来へ阿波おどり
阿波おどり関連のニュース・企画


これまで放送した2021年の阿波おどり関連のアーカイブです。

総踊り

日本を代表する夏祭りの1つ、徳島市の阿波おどり。コロナ禍でも、2年ぶりにお盆期間に開催されることになった。

毎年、市の中心部に有料演舞場が設置され、街全体が熱気に包まれるが、この夏は感染対策のために踊りを披露する場を限定する。屋内外の2会場に限定され、屋内会場のホールでは観客数を約50%に制限し、屋外会場となった競技場は無観客のうえライブ配信をする予定にしている。日程も1日短縮されることになった。

阿波おどりは長年、地元のさまざまな人たちが支えてきた。地域経済や阿波踊りの伝承が課題となる中、コロナ禍の開催に何を思うのか。そこにあったのは「当たり前の夏」への願いだった。

「当たり前の夏があるように」


練習風景

「当たり前の阿波おどり、当たり前の夏があるように願うばかりです」。
2年ぶりに屋外の練習が再開されたあと、男性の踊り手はこう語った。

“有名連”と呼ばれる高い技量を誇る、踊り手グループの1つ、「阿呆連」は6月から屋外練習を始めた。
この日は約60人が参加し、笛や三味線で奏でる、特有のお囃子「ぞめき」に合わせて、踊り手たちは足や体の動きを確認した。

練習風景

通常の練習に加え、新型コロナウイルスの感染対策も徹底した。練習前の検温に加えて、2メートルおきにコーンを配置し、密を避けた練習となった。
2年ぶりの開催を前に、女性の踊り手は期待と不安を込めて語った。
「お盆に踊れるかどうか分からないけど、踊れても踊れなくても自分の踊りをスキルアップできるように、練習を頑張っていこうと思っています」。

笛用に特製マスクを…!?


笛専用のマスク

コロナ禍で阿波踊りをどう支えていくのか。
徳島市内にある阿波踊り用品の専門店も試行錯誤を繰り返している。

コロナ禍での阿波おどり


笛専用のマスク

例年1万足を生産する足袋は、去年の在庫を抱えているため、ことしの生産は見送った。店全体では去年の売り上げは例年の3割にとどまり、今年も厳しい経営状況が続いている。こうした中でも「阿波踊りを忘れてほしくない」との思いで、阿波踊り用品の生地を使った財布や帽子など新商品の開発に取り組んだ。この中でも注目を集めているのが「笛専用のマスク」だ。

阿波踊りで笛を担当する人は、マスクを着用できないため、飛沫対策を取れずにいた。
そこで、マスクの鼻にかかる部分の角度を調整して前に張り出すことで、笛を吹くための空間を確保した。
阿波踊りのために開発した商品だが、全国の古典芸能に携わる人たちから注目を集め、東京や京都、石川などから注文が相次いでいる。

岡本社長は阿波踊りの道具を通じて交流を続けてきた人との日常を懐かしむ。「実際、密になってはいけないのが現状なんですけど、それを心配する程ね、店のフロアにあふれかえるっていうのが、やはり懐かしい思いでいますね。里帰りじゃないですけど、そんな気持ちでね、また店に来ていただいて、話ができたらうれしいですよね」

しかし宿泊施設は……


しかし宿泊施設は……

「うちに剣山ホテルって書いた、浴衣があるんです。それを踊りに着てくださいって」 徳島市内のホテルを営む、森浦源泰さんは毎年多くの観光客を受け入れてきた。お盆の4日間は、約250人分の部屋は満室となる。
今年は開催の方針が示されていたことから、約200人分の予約を受け付けていた。

宿泊キャンセル

しかし、6月末に踊り手団体と観客は「県内在住が対象」へと方針が転換され、街なかでの有料演舞場も設置が見送られた。森浦さんはキャンセルをするよう連絡を入れた。
「相手の方は残念って言って、大変悔しがっておりました。来年も楽しみしてまっとるわっておっしゃってましたけどね」。
にぎやかな夏を期待しつつも、ワクチン接種の進捗具合や感染状況で覚悟はしていたと語る森浦さん。再び街に活気が戻って、宿泊客たちと「ぞめき」を楽しむ日を心待ちにしている。
「コロナを絶対打ち返しますから大丈夫です。いつか徳島市は、祭りは祭りでどんちゃんやって、楽しく、弾んでほしい」

阿波おどりを支えてきた人たちは、以前のような“当たり前の夏”が戻ることを願いつつ、コロナ禍での2年ぶりの阿波おどりを迎えようとしている。

取材:藤原哲哉記者
徳島局に赴任して2年目。一貫して阿波おどりを取材。

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