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ディレクター’sメモ

初回放送日:2020年6月12日(金)

ディレクター'sメモ

新型コロナウイルスによる感染拡大防止のため、学校が休校になって3か月・・・緊急事態宣言の解除にともない、学校が再開され始めました。新学期のスタートが長期休校になってしまうという未曾有の事態です。NHKいじめを考えるキャンペーンサイト「マダ友」には、10代の子ども達からさまざまな不安の声が届きました。その中で、学校が再開し始めるタイミングで増えたのが『長い休校が明けて再び学校に行くことが不安』という声でした。今までも夏休みなど長期休暇はありましたが、今回の長期休校は従来の長期休暇とはまったく違い、子ども達に大きな影響を及ぼしています。

■学校が再開することへの不安

学校が再開するにあたり「久しぶりに学校に行くのが楽しみ」「友達や先生と会えるのが嬉しい」という声がある一方、「学校に行きたくない」「休校が明けてしまうのが不安」という声もある現状…何が子ども達を不安にしているのか取材を進めていくと、「休校明けの友達作り」に不安を抱いている子供たちが多いことが分かりました。

■交流する時間がないと、悪いウワサが広がってしまう?

「マダ友」にお手紙をくれたマリ子さん(12歳)は、新中学1年生。3つの小学校が合併するため、クラスの3分の2のクラスメートは初対面です。入学式は簡略化して行われたそうなのですが、担任の先生から『学校が再開すると、通常新学期なら行われる”学活”の時間が取れなくなって、授業が中心になるだろう』と言われてしまいました。小学生の時にいじめを受けたマリ子さんは「友達作りが本当に苦手」と話します。授業の遅れを取り戻すため、学活やレクリエーションなど生徒同士が交流する時間がなくなってしまうと、どうやって友達を作っていいのか分からないと大きな不安を抱えています。とくにマリ子さんが心配しているのは「交流する時間がないと悪いウワサが広がってしまう」ことです。かつて自身がウワサによっていじめられた経験から「ウワサって本当に怖い」と取材でも過去を思い出しながら話してくれていました。直接交流する機会が少ない状況で、悪いウワサが広がらないようにするには、どうすればいいのでしょうか?勉強の遅れを取り戻さなければいけない、三蜜を避けなければいけない、色々な制約があるのは分かるけど、クラスメートと交流する機会を作ってほしい、とマリ子さんは切実に望んでいます。

■SNSから始まった友達関係、リアルに仲よくなるにはどうすればいい?

はるぱかさん(15歳)は新高校1年生。知り合いが一人もいない高校に入学しました。入学式は簡略化して行われたそうですが、お互い気軽に話しかけられる雰囲気ではなかったそうです。当日、クラス委員を決めることになり、少しでも周りとつながりたかったはるぱかさんは、勇気を振り絞ってクラス委員長に立候補しました。そして副委員長になった子に「LINEのIDを交換しよう」と話しかけ、つながれたそうです。一人知り合いができたことで「ゼロとイチじゃ安心感が全然違った」と、とても嬉しかったそうです。しかし、入学式当日の放課後、ほんの1~2時間後に、その副委員長の子からクラスのグループLINEに招待をされたことで、はるぱかさんはとても驚きました。驚いたと当時に「もし招待されていなかったら・・・」と不安が押し寄せたそうです。
はるぱかさんから、入学式の当日にすでにクラスのグループLINEができていたと聞いたとき、私もとても衝撃を受けました。NHKいじめを考えるキャンペーンサイト「マダ友」には「うちの学校も入学式の当日にグループLINEが作られてました。どこも同じですよ」という書き込みもあり、大人の私は面食らってしまいました。リアルな人間関係が構築される前に、SNSでつながる・・・そんな状況に、今の子ども達は置かれているんですね。もちろん年齢や地域差はあるかもしれませんが、新学期のスタートが休校になってしまったことで、その傾向はより大きくなったのかもしれません。

入学式の翌日からまた休校になってしまい、クラスメートと交流できなくなってしまう・・・焦りを感じたはるぱかさんは、グループLINEに参加していた全員に、個別チャットで「よろしくね!」とメッセージを送ってつながりを作ろうと頑張りました。でも、仲良くなりすぎてはいけない、なるべく顔文字は使わないように、グループLINEではあまり個人的な話をしない、など、はるぱかさんは気を遣いながらもクラスメートとSNSでつながっていきました。SNSでの人との距離感って、本当に難しいと思います。
はるぱかさんの高校では、休校期間中に1日だけ登校日がありましたが、LINE上ではクラスメートとつながっていても、実際に会うと相手の顔が分からなくて、教室内で直接話しかけられなかったそうなんです。普段なら、クラスで一緒に過ごしているうちに仲良くなって、それからSNSでつながるところが、休校によって順番が逆になってしまった状況。SNSから始まった友達関係、休校が明けて学校が再開したあと、どうやってリアルな関係を深めていけばいいのか、はるぱかさんは不安を抱えています。 はるぱかさんも、マリ子さんと同じく、クラスメートと交流する機会が少なくなってしまうことを心配していました。仲良くなりたいけど、話しかけたいけど、コロナの影響もあって密になってはいけない・・・きっと多くの子ども達が感じているジレンマだと思います。

■忘れてはいけない、元々学校に行きづらかった子たちの存在

「マダ友」には「テレビを見ていると親が友達と会えない子を心配する、そんなものばかり。学校に通うのがつらかった子どもの存在はどうでもいいの?」「いじめが原因で不登校になった自分の気持ちをみんな分かればいいと思う」など、元々学校に行くのがつらいと感じていた子ども達からも不安の声が寄せられました。休校明け、学校に行くプレッシャーに押しつぶされることのないよう、オンライン学習など学校に通わずに学びが続けられる環境が、今まで以上に必要になってくるかもしれません。

■休校明け、大人が考えなければいけないこと

現場の先生たちも、感染対策、授業の遅れの取り戻し、子ども達の心のケアなど、きっと苦心されていると思います。『コロナいじめ』など、差別や偏見が原因となるいじめが大人の世界でも存在してしまっています。今の状況は、誰も体験したことがない事態で正解はありませんが、子どもたちだけでは休校明けの教室でコミュニケーションを円滑に進めることは難しいかもしれません。休校明けの教室でいじめを生まないために大切なことは何なのか?ぜひ教室で、子ども達と共に、先生達にも一緒に考えてほしいと思っています。ソーシャルディスタンスを保ちながらできる交流の仕方など、大人が知恵を出し合って、子ども達の学校生活がより良いものになるよう、番組も引き続き取材を進めていきます。

最後に、学校での取り組みなどありましたら、
NHK for school「いじめをノックアウト」ホームページ おたよりからお寄せください。
お待ちしております!

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