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ディレクター’sメモ

初回放送日:2019年12月6日(金)

ディレクター'sメモ

今回番組で取りあげたテーマは、「いじめの乗り越え方」です。

「いじめられる」可能性を前提としたこのテーマに、違和感を感じる方もいらっしゃるかもしれません。もちろん、いじめが起こらない環境を作るため、世の中からいじめをなくすために、様々な防止策を講じるのは大切です。しかし、いじめの認知件数が54万件を超える現状、いじめの被害者になりうる可能性は、誰にでもあるのではないでしょうか。

■中学校進学にあたって、一番不安なことは…?

今回取材をさせていただいた川崎市立新城小学校6年2組の生徒たちは、とっても素直。小学校6年生とは思えないほど感情表現が自然で、愛くるしい笑顔をディレクターの私にも惜しげもなく披露してくれる、ステキな子供たちです。「小学校は楽しかった」「今のクラスは最高」「一生小学生でいたい!」と、楽しい思い出を口々に語ってくれました。だからこそ、中学校へ進学するにあたり、不安があるみたいで…。「先輩との上下関係が不安」「勉強が不安」という声が上がる中、一番多かったのが「友達関係が不安」「いじめられないか不安」という声。「中学校は人数も多くなるし、いじめも激しくなるのではないか」と漠然とした不安を抱えている生徒たちが多かったんです。

■「もしもいじめられたり、つらい思いをしたらどうする?」いざという時に備えて考える

担任の北林新菜先生は、生徒たちの不安な声を受けて「みんなとても素直で良い子だからこそ、将来友達関係でつらいことがあった時に乗り越えられる力をつけてあげたい」と熱い思いを持って授業を計画してくれました。いざという時に備えて、一人一人が、自分なりの解決方法を見つけてみよう、という試みです。授業の教材として選んだのは、「つらいいじめをどうやって乗り越えたのか」世界中の人たちから寄せられた2分間の証言動画「FACES」。どんなにつらい状況でも、きかっけがあれば乗り越えられる…そんなメッセージがつまった動画を子供たちに見てもらいながら、自分だったらどうやって乗り越えられそうか?ヒントを探していきました。

■十人十色の乗り越え方法

北林先生の授業で子供たちが視聴したのは以下の4人です。
・アナスタシア(ブラジル)…多くの友達から外見に関する悪口を言われ続け、自殺未遂をするまで追い詰められた。大好きな本をたくさん読むことで、現実を忘れて本の世界に没頭することができた。さらに、自らもいじめの体験を本に綴ることで、自分に自信を取り戻すことができた。
・ローラ(メキシコ)…肌の色や人種、体型のせいでひどくいじめられてきたが、両親はいつも励ましてくれた。演劇学校に入り自信が持て、自分を愛せるようになり、幸せを感じることが多くなった。
・ナタリア(ブラジル)…人気者のグループに入りたいがために、同級生と共に転校生をいじめていた。相手が自殺未遂をするほど悩んでいたことを母親伝いに聞き、自分のやった行為の重さに気づいて心から謝った。自分を見つめ直すために武道を始めたことで、人にも優しくできるようになった。
・タカヒロ(日本)…中学校までいじめを受け自分の世界に閉じこもっていた。高校の時に自分の経験を教師に話したことがきかっけで、行動を起こすと何かが変わることに気づけた。「自分を変えよう」と演劇にチャレンジしたりすることで、友達の輪も広がり、自分の人生を楽しめるようになった。

「好きなことに熱中する」「家族の支え」「行動を起こす」「信頼できる人に相談する」…世界中のいじめサバイバーたちは、それぞれ異なるきかっけで乗り越えてきました。経験者が発する力強い言葉から、子どもたちはヒントをもらったようです。

ここで大事なのは、決して答えは一つではないこと、一人一人違うきっかけがあることに気づくことではないでしょうか。選択肢がたくさんある…という事実に気づくことで、自分なりの乗り越え方を見つける、大きな一歩を踏み出せると思います。

自分なりの乗り越え方を見つけることは、「自分らしさ」を見つけることにつながります。

少しでも多くの子どもたちが、今回の番組や「FACES」を通じて、困難な状況を乗り越えるためのヒント、「自分らしく生きる」ヒントを見つけてくれたら、嬉しいです。

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