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ディレクター’sメモ

初回放送日:2018年1月26日(金)

ディレクター'sメモ

『いじめ?自分はしなかったし、されなかったし、見たこともないなぁ…』
これは、私が「いじめをノックアウト」の制作を担当する前までの認識です。私にとっていじめは縁遠い世界の出来事で、関わった事のないものだと思っていました。
そんな私の認識を一変させたのが、今回取り上げたマンガ「3月のライオン」です。元々愛読していたマンガでしたが、作中にいじめの描写があったことを思い出し「何か考えるきっかけになれば…」と改めて読み返すことにしました。

いじめに注目して読んでみると、被害者・加害者・傍観者、また家族や先生の心情が実に繊細に描かれており、目の前で起こっているかのようにグイグイと引き込まれていきました。また当事者や家族が壁にぶつかる度に「自分ならどうする?」と考え、読む手が止まりました。階級について語られるシーンには、自分の学生時代に感じていた息苦しさを追体験し、そしてその空気を一緒になって作り上げていたことを思い出しました。読み終わる頃には、「いじめはしたし、されたし、目の前にあった」と180度認識が変わっていたことを今でも鮮明に覚えています。2年前のことです。
それ以来、過去の行いを反省しながら番組作りに励んできました。しかし、番組を制作する度に【いじめに関わっていない子どもたち】に真剣に考えてもらう難しさに直面してきました。「どうしたらいじめを自分事として考えてもらえるだろう…」散々悩んだある日、ふと2年前の体験を思い出しました。「もしかしてこのマンガを読んでもらうことが一番いいのでは!?」それが、今回「3月のライオン」を題材に使わせてもらった経緯です。

そんな一個人の思いつきから始まったこの企画でしたが、作者・羽海野チカ先生と出版社である白泉社の皆様から全面的なご協力をいただくことで今回の実現に至りました。皆様ご多忙にも関わらず、打ち合わせの際には長時間に渡っていじめについての思いを語ってくださいました。
特に羽海野先生は「いじめを描く事はライフワーク」と語るほど強い問題意識を持っておられ、
言葉の端々から膨大かつ丁寧な取材と考察をされていることが伝わってきました。
また、マンガで描いていたひなたや周囲の行動については、「あくまでもひなたのケース。いじめ対応の正解として描いたわけではない」とおっしゃっていました。番組ではひなたの行動を取り上げていますが、「みんなもひなたのような行動をしよう!」というものではありません。先生方におかれましては、指導の際にご配慮いただければ幸いです。

ひなたのいじめは7巻で一旦終わりますが、転校したちほの近況は、その後も折に触れて描かれています。また別のいじめとの向き合い方が描かれていますので、是非お読みいただけたらと思います。

ご意見・ご感想は・・・
〒150-8001
NHK「いじめをノックアウト」まで
(※今後の番組づくりの参考にさせていただきますので、感想なども気軽に送ってください)

最後に、今回の企画に賛同いただきご協力くださった羽海野チカ先生、白泉社の友田様、徳留様、アニプレックス太田様、向原中学校の生徒のみなさん、垣内先生にお礼を申し上げます。誠にありがとうございました。

2018年1月



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