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ディレクター’sメモ

2017年12月8日放送時に寄稿されたものです

ディレクター'sメモ

「運動会や学芸会の練習など、子どもたちの思い入れが強まる大きなイベントでは、自分が正しいと思っている意見やその意見をもとに作られるクラスのムードが、『実はそうでもない・・・』と思っている子には辛く感じることがある。」ある先生が教えて下さった問題提起が、企画の発端となりました。

自分の思い入れが強まるほど、なかなか気付くことが難しくなる他者との感じ方の違い。話し合いなどを通じて発見・共有し、考え方を少し変えたり、新しい行動をとるきっかけづくりになる授業ができないだろうか?
これまで「いじめをノックアウト」を使った授業や授業プランを考えてくれている川崎市立新城小学校の片岡義順先生(前 川崎市立下布田小学校)に相談したところ、まさに学校現場で日々直面している課題であると賛同してくれました。

取材当時、新城小学校は修学旅行を控えた時期。小学校最後の思い出作りの場となることから、修学旅行の部屋割りは6年生の間で最大の関心ごとでした。
修学旅行のグループ決めは教師が決める学校もありますが、新城小学校では、子どもたち同士が主体的に決める過程で、お互いの個性や違いを認める気持ちを養うという狙いから部屋割り、バスと電車の座席、班行動のグループ決めもすべて子ども達に任せることにしています。
しかし、子どもたちにそのまま部屋決めなどを任せてしまうと、自分の意見ばかり主張する子が孤立したり、強引な決め方が原因でケンカやいじめの芽につながる可能性があります。そこで片岡先生は、部屋決めのプロセスで、友達同士の感じ方や立場の違いを想像し、共有してもらう時間を、部屋決め本番前に設けることが大切だと言います。

■「誰もが自分の希望通りにいくとは限らない。それを当然のこととして放置するのではなく、
希望が通らなかった子に気を使ったり 自分が譲歩する気持ちの大切さに気付いて欲しい・・・」


実際に片岡先生は、どんな授業をしたのでしょうか?部屋決めをする前、片岡先生は2時間つかって、子どもたちと「イヤな思いをする決め方はあるのかないのか?」話し合うための時間を作りました。
(詳しくは、きょうざいに掲載予定の授業プランを参照下さい)
重要なのは、同じような決め方でも、人によって感じ方が違うことを発見・理解してもらうことでした。
番組で紹介したように、「イヤな思いをする人が出ないように、みんなで譲り合いましょう」という考え方でも違いが出てきます。譲ることで満足する子どももいれば、ちょっと不満がありつつもみんなのために譲るという子もいる。そのことに気付いてもらう、それをふまえて、子どもたち自身で部屋決めをしてもらうようにしたのです。

番組で紹介したさきさんたち以外のグループでは、次のような意見の違いの発見もありました。

イヤな思いをする人が出ないように「どんなグループになりたいのか、みんなの意見を取り入れる」「みんなの意見を尊重するためにも、自分の意見は尊重しない決め方がいい」

他にも、決め方ではないこんな意見も・・・

イヤな思いをする人が出ないようにするためにも「不満があったら口に出してちゃんと言ってくれれば対処できる」「不満があっても口に出せない。また不満を言われてもすぐに対処できるとは限らない」という意見の違い。

小学校生活最後の一大イベントの修学旅行、みんなの共通する目的は、「クラスみんなでいい思い出を作ること」。しかし、それぞれの思っていることを見ていくと、ちょっと我慢をする人がいたり、みんなの雰囲気を壊さないように、不満を口に出さない人もいる事実が判明していきます。

■「心のすみでは嫌な気持ちを持ってる人がいるかもしれない
 自分が楽しいのも大切だけど みんなも楽しむことが大切」


授業での話し合いが終わったあと、子どもたちはどんなことに気付いたのでしょうか?
書いてくれた感想文から一部紹介します。

「はじめグループ決めは簡単だと思っていた。でも今日の学習で嫌な思いを出さないようにするのは大変だと分かった」(たつまささん)

「意見は同じでも感じ方や考え方は違うと思った。他の人の意見もしっかり受け止めなければいけないとおもった。」(たくみさん)

「自分の考えでみんな幸せと思い込むのではなく、他の人の意見も聞きたい」(あいのさん)

「意見の違いは分かったが、同意はできなかった。」(はるかさん)

「何かしら問題が起こるのは当たり前だと思うので、ポジティブに考えたい」(みことさん)

「広い心をできるだけ保つ」(ほのかさん)


多くの子どもたちが、自分と友だちの間で、考えていることが違うことに気付いていました。
だからこそ問題が起きることもありえるが、プラスの方向にとらえ、何か自分たちで解決できる方法はないのか?考えていこうとする姿勢を感じることができました。

今回、片岡先生は、部屋決めの前に設けた話し合いと部屋決めに合計で4コマの授業時間をつかっていました。グループ決めをする前に、子どもたちと先生がじっくり話し合う時間を設けたことの重要性をあらためて感じた次第です。新城小6年1組のみなさん、片岡先生本当にありがとうございました。

追伸

修学旅行の後、部屋をゆずってくれた子が旅行の感想で、次のように記していました。

「部屋決めではゆずったけど、すごくこのメンバーが面白くて『ゆずって良かったな』と思いました。」

グループが決まった後も、譲ってくれた子の中に〝あるかもしれない気持ち“に気付いた部屋のメンバー1人1人が、お互いが楽しめるような働きかけやムードを作っていったのではないかと思います。

ご意見・ご感想は・・・
〒150-8001
NHK「いじめをノックアウト」まで
(※今後の番組づくりの参考にさせていただきますので、感想なども気軽に送ってください)

2017年 冬



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