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ディレクター’sメモ

2016年8月26日放送時に寄稿されたものです

ディレクター'sメモ

中学生の9割以上が使っていると言われるLINEなどのSNS。
便利さの一方で、トラブルのきっかけになることもありますが、今回の取材を通じ、最近では「禁止」ではなく「どう使うか」を指導しようとする学校が増えつつある、という印象を受けました。遠ざけるのではなく、より積極的に、自分たちの課題としてとらえていこう、という流れです。

そこで今回は、SNSの課題を「自分ごとにする」ことについて、取材を通して私が見た「指導する側」と「指導される側」の視点から考えてみたいと思います。

まず、SNS利用を「指導する側(先生など)」を見て感じたこと。
取材を通してお話を聞いたどの先生も、指導の難しさを痛感していらっしゃる様子でした。
・SNS以前はトラブルが「目につきやすかった」が、いまでは先生が事態を把握できない
・ツールがどんどん進化していくので、対策が後手に回ってしまう
・外部の講師を招き講演をしてもらっても、どうしても一定数の生徒はトラブルを起こしてしまう
など、指導方法は常に手探り状態のようです。

今回、特別授業をして頂いた静岡大学准教授の塩田真吾先生も、とても苦心されていました。
LINE社の方たちと30回以上の打合せを重ね、何度も授業案を改定。
今回の「予想」をテーマにした授業も、その中で生まれてきたアイデアです。
生徒がSNS利用に関する指導を受けても「どうせ自分はトラブルにならない」と感じられてしまうこと。どうしたら、それを「自分ごと」として考えてもらえるのか、を重視して授業を設計されていました。

続いて、「指導をされる側(生徒)」を見て感じたこと。
取材で入らせて頂いた東深沢中では、生徒会が普段から、生徒同士の人間関係をより良くし、いじめを防ぐための活動に取り組んでいるなか、学年の枠をこえた「大型グループ」の存在が懸念になっていました。元々は行事などの際に生徒同士が仲良くなるために作られたものですが、まだ敬語に不慣れな1年生の「言葉づかい」が、トラブルのきっかけになってしまうこともあったそうです。

生徒会メンバーは当初、「直接対面する部活などと異なるLINEでは、言葉づかいを注意してあげるのは難しい」という考え方でしたが、解決のヒントを探して受けた塩田先生の授業後の話し合いでは、「LINEを楽しく使ってもらうために、あえて先輩が伝えてあげるべき」という意見も多くあがりました。
東深沢中では今後も継続して、SNS利用について生徒自身が考える活動をしていくそうです。
授業をきっかけに、より当事者意識が高まったのでは、という印象を受けました。

これは、SNSのトラブルに限らず、いじめの問題全般にも言えることだと思いますが、指導をする側・される側、双方にとって、いかに「自分ごと」にできるかがポイントになるのだと、改めて感じました。

とくに、上級生と下級生が一緒に同じテーマで考えたり、上級生が下級生にSNS利用について指導することは、とても有意義なのでは、という考えに至りました。
下級生にとって、SNSの世界を数年多く経験している「SNS利用の先輩」からのアドバイスや意見は、ときに大人が教える以上に「自分ごと」として届くのではないかと思います。

取材中、ある先生が「SNSの指導は交通安全指導と同じようなもの。年齢にそって、丁寧に重ねていくものだと感じている」とおっしゃっていたのが印象的でした。

登場してからの歴史が浅く、まだ交通安全ルールのようなものが完全には整備されていないSNSの世界。スマホやSNSという新しいツールの「乗りこなし方」は、子どもたち自身も当事者として話し合いながら作っていけたらいいのかな、と思います。

番組の本編では紹介しきれませんでしたが、HPの「みなみの考え」では、「LINEを使う前に知っておきたいポイント」についても高橋さんが語ってくれています。
こちらもぜひ、クラスや家庭で、一緒に考えてみて頂ければと思います。
授業で考え、話し合った皆さんなりのポイントも、お待ちしています。
〒150-8001
NHK「いじめをノックアウト」まで
(※今後の番組づくりの参考にさせていただきますので、感想なども送ってください)


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