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ディレクター’sメモ

2016年6月に寄稿されたものです

ディレクター'sメモ

今回の「いじめをノックアウト」は、前回に引き続き いじめが原因で自殺をした中学3年生 松竹景虎くんが書き遺した作文「空気」を使いながら、いじめの“空気”(=同調圧力)を変えるための方法について考えていきます。

松竹くんは、いじめの“空気”を変えるためのキーワードとして『笑顔』と作文の中で書いています。そして、実際に、クラスメイトからの悪口や嫌がらせが続いても『笑顔』を欠かすことはなかったと言われています。

高橋みなみさんは、いじめの空気を変えるために松竹君がとった『笑顔』について、考えることに大変苦心していました。
いつもなら、答えに迷うことなく、自分の考えをダイレクトに伝えてくれる高橋さん。 しかし、今回のスタジオ収録では・・・

高橋さんもちろん人って生きていく中で、笑いたくなくても笑っとかなきゃっていうときってあるけど、ずっと無理して笑い続けていると、自分の普通のときの顔忘れてしまうなって。一番大事なのって素の自分じゃないかなって思うんですよ。素の自分であれる方法を探すっていうのがすごく大事。

ノックアウトくんでも何か本当にツライ時って、逆に“笑うことしかできない”ってことないのかな?

高橋さんそうですね・・・。泣きたくて泣ける人って強いし、ある意味すごく楽になれるんですよ。自分の感情に従えるって。でもある程度の人ってやっぱり悔しかったりとか、人に迷惑かけたくないって思ったりすると、大丈夫じゃないのに『大丈夫』って言ったりとか、笑ったりとかする・・・すごいあるなって思うんですよね

ノックアウトくんつらいときに笑ってしまう・・・偽りの笑顔。周りの子が偽りの笑顔に気がついてあげることって?できるのかな?

高橋さんそうですね……。でも、その笑顔の仮面に気づくのはかなり難しいと思います。正直周りからしたら、「笑ってくれるならよかった」って、どこかスルーしてしまうんですよね。自分の思ってることとか感情って、案外言葉だったり表に出さないと伝わらないし、相手がキャッチしようと思わないんですよ。それがもしかしたらすごい気を使って建前で「大丈夫、何でだよ」って嘘で笑ってるとしても、「笑ってるからセーフ」って思っちゃうんですよね、すっごい悔しいですけど。笑顔という仮面によって大丈夫なんだって、周りをある意味安心させてしまう。
だから笑えないときは笑わなくていいんじゃないかなって、それぐらい正直に生きてもいいんじゃないかなって思いますけどね・・・

ノックアウトくんでも、正直に生きることって意外と難しいのかもしれないよ。
だから、松竹くんみたいな選択をしてしまう子がいる・・・

高橋さんすごいあると思います、それは。でも、言わないと解決はしない。あ~やっぱり、だってそれって口に出さなかったら自分だけのことで終わってしまうから。本当に確かにつらいときって正直誰にも知られたくないくらいつらくて、隠すし、言わないし、言えないし。でもその隠し切ったつらいことって結局解決はしていなくて、自分で解決できないから悩みだとも思うし。難しいですね。だからといってね、「無理くりどうにかして言えよ!」みたいなことではないんだけれども・・・。
言える環境を周りがつくるっていうのもすごく大事だし、これは難しいな……。

友達のキモチを知る、友達が見せる『笑顔』に込められる思いを感じることって本当に難しいと思います。
個人的には、高橋さんが言うように、ツライときには無理して笑わないでいい。ツライと大声で泣くことが大事だと思っています。
でも、今回松竹くんのことを取材したり、作文を使って授業をした高校生たちの話を聞いてきて感じたことは、自分のキモチを正直に出せる“場”“自分が素直になれる居場所”がとても大事なのではないかと改めて考えてしまいました。
どうしたら“自分が素直になれる居場所”を作れるのか?これは、決してマニュアルがあるものではないと思います。それぞれの学校、教室、担任の先生や集まる生徒が変われば、居場所の作り方も変わってくる。
ひとつ今回の取材で発見したことから言うと、作文を使って授業をおこなったクラーク記念国際高校の担任の関野亜沙美先生とクラスメイトたちの関係にヒントがあるのではないかと思っています。
関野先生は決して、自分の考えを押し付けることはしません。生徒の前で、自分の学生時代の体験を語り、失敗経験さえつつみ隠さず語る。一方で、生徒たちの話には素直に耳を傾ける。ときに、生徒と一緒になって驚き、生徒一緒になって共感する。このような先生と生徒の関係がつくれれば、子どもたちが素直に自分を語れる居場所づくりになるのではないかと思いました。

みなさんも、どうすれば自分のキモチを素直に話せる居場所をつくれるのか、友達や先生と考えてみませんか?
そして、考えたあと、松竹くんが作文の最後に書いてある一文の意味を改めて考えてみる・・・。

「学校で習う数学の公式や英単語を忘れても 笑顔の大切さだけは忘れないでください」

みんなのクラスは?本当の笑顔で笑いあえるクラスですか?もし偽りの笑顔をしている人がいるとしたら、どうすれば本当の笑顔で笑いあえるクラスになりますか?

松竹君が「笑顔」に込めたもう一つのメッセージ。
残された僕たちに問いかけているような気がしてきませんか?

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