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ディレクター’sメモ

2016年6月に寄稿されたものです

ディレクター'sメモ

今回の「いじめをノックアウト」は、いじめが原因で自殺をした中学生が書き遺した作文「空気」をもとに、いじめがどうして起こるのか?いじめの“空気”という視点で考えていきます。

作文を書いたのは中学3年生の松竹景虎くん。クラスメイトからのいじめが原因で2014年1月8日 自ら命を絶ちました。

松竹くんへのいじめが始まったのは、中学3年生の1学期。担任のすすめで学級委員になったことがきっかけだと言われています。目立つことをよく思わない一部のクラスメイトから「ウザい、キモい、死ね、上から目線」という悪口がはじまり、次第に悪口はクラスメイトの半数以上に広がっていきました。その中には、松竹くんと仲が良かった友だちも含まれていました。
自殺といじめの関係を調べた第三者委員会の調査報告書によると、松竹君に対して中心的に悪口を言っていた生徒も「自分は松竹君のことが嫌いではなかった、親切で優しかったと」と涙ながらに話した生徒もいたといいます。
そんな状況を目の当たりにしていた松竹君が、夏休みの宿題として出された人権作文の課題で書いたのが番組で使用した「空気」というタイトルの作文です。
(※番組ホームページから全文ダウンロードできます。)

「友達から『あの人嫌い。あなたもでしょ?』と言われたら『いいえ』と答える勇気があるだろうか?」

みなさんは、松竹くんが作文の中で指摘しているような経験をしたことはありませんか?

これまで取材を通して、子どもたちがどうしていじめに加担してしまったのか?話を聞く機会が たくさんありました。代表的な理由は・・・

「友だちが嫌いな子と 仲良くするのってものすごく気を使う。」(小学6年 男子)
「自分が嫌われてしまうのではないかという不安がある。」(小学6年 男子)
「クラスのリーダー的な子が嫌いな子とは、どうしても距離をおいちゃいます。
周りも距離を置いているから自分だけ仲良くするとちょっと浮くのが怖い。」(中学1年 女子)
「リーダー的な子が、悪口や嫌がらせをしていたら申し訳ないけど見て見ぬふりをしちゃいます。自分の居場所を確保するなら、長いものにまかれることが大事。」(中学3年 男子)

わたしは、松竹くんが作文で指摘する いじめの“空気”とは、クラスメイトたちが周りの友達の目を気にして生まれる“同調圧力”のことだと考えています。
クラスのリーダー的な子に、話を合わせないと自分が浮くのではないかという不安。浮いてしまうと、次は自分がいじめのターゲットになるのではないかと周りの子どもたちは考え動いてしまう。
一方、いじめに積極的に関わってしまったリーダー的な子もある意味“同調圧力”に直面しています。以前わたしは、気がつかないうちに、いじりからいじめにエスカレートしてしまった経験もつ中学生に話を聞く機会がありました。
「最初は、仲がいい友達同士の仲間内でいじりあっていたんです。でも、友達をいじっていると周りの子たちも盛り上がるから、どんどんエスカレートしてしまって、いじりがプロレスごっこになって、気がついたら暴力っぽいことに・・・。」

まさに松竹君が作文に書いているように、「いじめの加害者・主犯(しゅはん)でさえも空気(=同調圧力)によって動かされている」のです。

この同調圧力という問題は、学校のクラスだけ、子どもたちだけに存在するものではないと思います。大人の社会にだって存在しています。すぐに解決策が見つかるものではありません。
高橋さんが言うように地道な取り組みになると思いますが、いざというときに自分が「ちょっと嫌だな~」と思ったことを、正直に言える人間関係をどうやって作っていくのか?このことを、クラスのみんなで話し合ってみる。担任の先生、お父さんお母さんが、自分の経験談・失敗談を赤裸々に語りながら、考えるきっかけを与えてあげる。そんなことから始めていくことが大切なような気がしています。

いじめに同調しない。加担しないために普段からどんな友だち関係を作っておくべきなのか?
子ども同士、子どもと先生、親子で考えてみる。
是非 みなさんからのご意見・ご感想をお待ちしています。

次回は、
松竹景虎くんが作文で訴えた、いじめの“空気”を変えるための方法“笑顔”について考えていきます。

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