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ディレクター’sメモ

2015年5月29日放送時に寄稿されたものです

ディレクター'sメモ

新しいクラスがスタートして、まもなく2カ月。今回は『いじめが起きにくいクラスって、どんなクラスだろう?』『いじめが起きにくいクラスをつくるために必要なことって、なんだろう?』とみんなで考えてもらいたいと 思って番組を作りました。

4月の中旬から2週間余り。神戸市立櫨谷中学校の3年3組におじゃまして、わたしがたどりついた答えは「話す」ことです。その理由は2つ。

ひとつ目は、放課後クラスメイトが語ってくれた言葉です。
「3年間で築きあげてきた友だち関係を変えるのは難しい」
「いまさら話しかけても、ひかれるだけじゃないか。。。」
「話をしたくないんじゃない。話すきっかけが見つからない」
「なんか苦手意識が生まれちゃって。心のどこかでひっかかっている。。。」
多くの生徒がクラスメイトと『話をしたくても話せない』『きっかけが見つからない』と悩んでいたのです。しかも、よくよく話を聞いていると面白い具合に“両想い”であることにも気がつきます。

ふたつ目の理由は、担任の笠原先生が、クラスメイトが「話す」きっかけを必死でつくろうとしていたこと。
番組では時間の関係で描いていませんが、生徒たちの自己紹介を掲示したり、自腹をきって観葉植物を買ってきたり・・・。道徳の授業では、「話す」きっかけを学ぶ『エピソード10』というオリジナル授業をおこなったり。(※『エピソード10』など笠原先生の取組は、番組特設ホームページ「行動宣言を使った授業」を参照)。

実際、笠原先生に話を聞いてみると「自分とタイプの違う友だちと『話す』ことって難しいですよね。」「クラスづくりの早い段階で『話す』ことができるようにならないと、その後まったく話をしない生徒も出てきます。」「そのことが原因で生徒同士の誤解やキモチのすれ違いが生まれ『いじめ』につながる危険性もあるんです。」と『話す』ことの重要性を教えてくれました。

でも、どうすれば普段あまり話しをしたことがないクラスメイトと『話す』ことができるようになるのでしょうか?

そのヒントは、番組で取り上げたあみさんとめいさんが教えてくれました。班ごとにクラスの目標を話し合う場で、あみさんが「中1のときひとりぼっちになったことがあること」「ホントウに悲しくて、寂しかった」と自分の体験を語ったことで、めいさんも自分の体験を語り「積極手に話ができるように努力しなくちゃいけないなって思う」とキモチを伝えることができました。『お互いを知る答え合わせ』ができたからこそ『話す』ことができるようになったのです。

ただし、ここで注意しなくてはいけないことは、3組の他の班であみさんとめいさんのように「お互いを知る答え合わせ」ができた生徒がいたかというと、できた子もいれば、できなかった子もいるという現実です。

確かにクラスの目標を話し合うときに担任の先生は、「自分たちの体験を話しながら、どんなクラスにしたいのか考えよう!」と伝えていました。しかし、クラス委員を務め「みんなと話せるようになりたい」というキモチをひといちばいもっていたあみさんでさえ、自分の体験を話すことに大変躊躇していました。特に、他のクラスメイトもいる班で語ることは、下手をすると話し合いの雰囲気そのものを壊してしまうのではないか?といった心配もあります。“空気をよむ”ことを大切にする子どもたちにとっては、グループの中で自分を語ることは大変勇気がいること。だれもが簡単にできることではないと思います。

さまざまタイプの子どもたちが集まる教室。『話す』きっかけを子どもたちが確実なものにするための方法はないのか?ここで重要になってくるのは、高橋みなみさんが『みなみの考え』で伝えている「担任の先生が確実に渡すことができる“きっかけ”」なのではないでしょうか?

高橋さんは、『みなみの考え』で「担任の先生が休み時間。無理やりにでも二人で時間を過ごさせる」とひとつアイデアを出しています。一見強引じゃない?と思われるかもしれませんが、そこには高橋さんなりの『二人の時間を作る』ことへのこだわりがあります。AKB48グループの総監督 高橋さんは24歳。最年少のメンバーは14歳。さまざまな年齢、個性をまとめていくなかで、「みんなの前では自分のことが話せない子も二人きりになる時間があれば話すことができる・・・」という自論をもっているのです。

教室の中で子どもたちに『二人の時間を作る』ことができるのは担任の先生しかない。収録のとき高橋さんは次のように訴えていました。「子どもたちはやっぱすごく繊細だから、自分たちで動けないところがある。大人はやっぱ動けるはずなんですよ、気づくこともあるし、行動にも起こせる。自分は傷ついても先生ですからっていう確固たるものを持ってると思うので、もっとストレートに子どもたちに言ってあげた方がいいと思うんですけど。。。」

番組をご覧いただいた全国の先生方に提案があります。おそらく番組を子どもたちに見せれば「たかみな、なに言ってんだよ!」「そんなことやりたくねーよ」という声があがることは間違いありません。
でも、こんなやりとりをして教室で議論を深めてみてはどうでしょうか?

 「○○くん、どうして嫌なの?」
 「嫌だったら 他の方法って何かあるかな?」
 「みんなだったら、どうやって あまり話したことがないクラスメイトと
                    話せるようになる“きっかけ”つくる?」

といった具合に、お互いを知る“きっかけ”づくりの方法についてアイデアを出し合う。きっと答えは、ひとつだけではないと思います。

新しいクラスがスタートしてから2カ月。もしかすると「クラスの友だちと話をしたい。でもきっかけが見つからなくて話ができていない」と悩んでいる子どもがいるかもしれません。

友だちのことを「知るということは、嫌いになれないということ」。いじめが起きにくいクラスづくりをしていくためにも、友だちのことを知る=『話す』“きっかけ”や“場”づくりについて、担任の先生と子どもたちが一緒になって考えてみてはいかがでしょうか?

みなさんからの 授業をおこなった感想・意見をお待ちしています!

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